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6

「~リッシュ、」


レイジスと同じく、用意された馬に乗ったミーシャが、ほんの少し離れた所から俺に声をかけてくれる。


ミーシャから、手が伸びる。


俺はその手を取って、軽く上げてもらって馬の背に跨る。


ミーシャの後ろ側だ。


俺の腕の中からじゃ前の様子が見えねぇからだろう、犬カバがぴゅっと腕を抜け出してミーシャの前に行く。


俺はそいつを見送る前にとジュードの方を見た。


「ジュー……」


ド、と目を巡らせた先には、ジュードの姿がない。


軽く近くを見渡したが、ついさっきまでそこにいたはずのジュードの姿は、何故かどこにも見当たらなかった。


その光景を目にした瞬間──俺は何故か胸の奥にじわっと嫌なモン(・・・・)を感じた。


予感って言ってもいい。


何だか嫌な予感がする。


俺の様子に気づいたんだろうミーシャが、俺の方を振り返る。


そうして俺と同じくジュードの姿が見当たらない事に気がついたらしい。


何かを俺に聞こうと口を開きかけた──……が。


「姫、我々から離れぬ様、」


ザッと、俺とミーシャの視界の先を塞ぐ様に一人の騎士(だろう、きっと)が同じく馬上から声をかけてくる。


そのどっしりと肝の座った雰囲気からするに、その辺の下っ端とかじゃなく相応の地位を持った騎士みてぇだ。


そのオーラっつぅか雰囲気に、


「ええ……」


後ろ髪引かれる様な様子ながら、ミーシャはそう返事する。


そうして俺がさっき見ていた辺りから、ちらっと俺の方へ目を配る。


俺はそいつに小さく肩をすくめて見せた。


──嫌な予感はするが。


ここでジュードを探すのは、正直ちっとばかり厳しいかもしんねぇ。


ミーシャに声をかけて来た騎士が視界の先を隠しちまってるし、それ以前に辺りのこの人の数だ。


いくら格好で浮いてるっつっても、そうパッと見つかる感じはしねぇ。


それに、だ。


あいつ、わざと俺らから離れたんじゃねぇのか……?


そんな風にも思える。


そいつがもし当たってるんだとしたら、探して見つかる様なトコにはもういねぇかもしんねぇ。


──アルフォンソの所に戻っただけ、ならいいけどな……。


そう、思ってもいねぇ期待を勝手にかけつつ──俺はミーシャへ声をかける。


「──行こう。

レイジスの兄貴からあんまし離れねぇ方がいい。

それに、主役二人がいねぇと皆もどーしていいか分からねぇだろ」


言うと「うん……」とやっぱりどこか後ろ髪引かれる様な感じで、ミーシャが返す。


もしかしたらミーシャも、ジュードがこの場にいねぇ事に俺と同じく嫌な予感を抱いたのかもしんねぇ。


けど……結局は馬の手綱を引いて、レイジスの後につく。


俺はミーシャや他の誰にも気取られねぇ様、馬上からジュードの姿を探したが……。


その姿を見つける事は、結局出来なかったのだった──……。


◆◆◆◆◆


レイジスの兄貴が取ったサランディール城までの道のりは、俺がここ数日間メイドとして城に働きに出ていた道とほぼほぼ同じ道だった。


城下町の、それも中央部の大通りを通るルートだ。


その中をこんだけの大人数を抱えて、慌てる事なく通っていく。


そいつはもう『お忍びで』って感じじゃなく、完全に向こうに存在を知らしめるのが目的だってくらい堂々としたもんだった。


レイジスの兄貴を先頭に、ガイアスと二人の護衛、そして俺とミーシャ(……と、まぁそこに犬カバも加えといてやるか)。


その脇と後ろにはさっきガイアスん家に集まっていた数多くの、レイジス風に言うなら『勇士』達が続いて、列を成してる。


こん中で明らかに浮いてんのはもちろん俺と犬カバだが、誰も俺らの事を見咎めたりするもんはいなかった。


そーいやジュードの姿が見えねぇってなった時にミーシャに『我々から離れぬ様、』と注意したあの騎士も、俺がミーシャの馬に乗ってる事自体にゃあ何も言ってはこなかった。


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