~あまりにも暇すぎて…~
取り急ぎ、『西音寺尊とみことの物語』の続編を投稿いたします。
その日も、いつも通り、みことは、西音寺尊のマンションで目を覚まし、西音寺尊と一緒に事務所の前の道まで行き、そこから、みことの事務所の事務子と、『巫女』を迎えに、元々住んでいたみことのマンションまで行き、ようやく出社した。
そして、みことが、息抜きに事務所から出て、両手を挙げて背伸びをしていると、
天空から『巫女』の上司の女性が、反時計回りをして舞い降りてきた。
みこが『もういやー!』と叫びたい気持ちを抑えている中、『巫女』の上司の女性は、西音寺尊の事務所に入って行った。
『巫女』の上司を名乗る女性が、二階の西音寺尊の探偵事務所の扉の前に立つと、扉は再びひとりでに開かれ、『巫女』の上司の女性は、事務所の中に入った。
それを確認すると、『巫女』が以前と同じように立ち上がろうとした。
『巫女』の上司の女性はそれを、何も言わず、右手を『巫女』の前にやって制止した。
『巫女』は座ったまま、西音寺尊が立ち上がった。(《》内は韓国語。)
巫女の上司《この状況は、いったい何故なのでしょうか?》
尊「『この状況』とはなんでしょう?」
巫女の上司《この、動きのない状況です。》
尊「分かりますが…どういえばいいのでしょうか。」
『巫女』の上司の女性は、半ばにらんでいるような表情で、西音寺尊を見た。
巫女の上司《この動きのない状況は、ほとんど『メイワク』という言葉に近いものがあります。》
尊「…分かるんだがなぁ…。」
尊は頭をかいて応じた。尊はこう答えた。
尊「メイワクは分かる。その場合、『冥王星』に協力を依頼することになる。」
『巫女』の上司の女性は、口の端をあげ、半ば半笑いに近い表情になった。
尊「その場合、『英語』の使用を認める必要が生じる。」
すると、『巫女』の女性の入ってきた扉が開き、みことが入ってきた。
みこと「やっほー!」
半ば、なぜ入れたのか戸惑いながら入ってきた様子だ。
みことは、『巫女』の上司の女性に気付き、
みこと「はじめまして。」
と一礼をした。
『巫女』の上司の女性はみことを一度見ると、再び西音寺尊の方に目をやった。
巫女の上司《それは、どれほどめいわくなことか分かるのでしょうか。》
尊は何も言わず頷いた。みことは、『巫女』の女性の席の近くに立って聞いていた。すると、『巫女』が自席に座ったまま口を開いた。
巫女《英語の使用はできません。》
尊「分かっている。」
『巫女』の上司も、『巫女』の方に目をやった。みことも、『巫女』の方に目をやった。
『ここでは、今の状況では十分なスピード感での遂行が難しい。』
それは、途中から聞いていたみこと以外、共通認識だったようだ。
巫女の上司《面白くないという次元でもありません。》
尊「…分かる。」
巫女の上司《なんと罰当たりな話でしょう。》
尊・みこと「分かる。」
みこと「分かります。」
尊とみことはタイミングを合わせたかのように言った後、みことがそう付け加えた。
みことが、尊の自席の方に歩き、西音寺尊の右斜め前に、『巫女』の上司の女性と相対するように立った。
『巫女』の上司がスススッと西音寺尊の自席の前まで歩いてきたかと思うと、『巫女』の上司が両手で思いっきり、西音寺尊の机を叩いた。
すると、『巫女』が召喚された際のように、西音寺尊の事務所2階以上の壁や屋根がすべて取っ払われ、上空に星空が見えた。
西音寺尊の事務所前の階段から、みことの事務所の事務の女性が来た。
すでに入り口の扉も取っ払われている。
みことと尊は、驚きを隠せない。
みことの事務所の事務の女性が言った。
『それはだめ。』
巫女の上司《何用か?》
『ここは日本国。』
巫女の上司《戻すしかない。》
『不可能。』
尊も付け加えた。
尊「それは分かる。指定は差し控えてほしい。」
『巫女』《戻すことができるとお考えなのですか?》
巫女の上司《…。》
『巫女』の上司は、西音寺尊等4人を前にするような場所にサッと動いて言った。
巫女の上司《それならばどうするつもりなのだ!》
みこと「…分かります…。」
みことの発言と応じるように、西音寺尊の事務所は、『事務所』に戻った。
みことは、自分の事務所の事務の女性に言った。
みこと「ありがとう。」
みことの事務所の事務の女性はそのまま立っていた。
『巫女』の女性が、両掌を上にして広げると、一瞬にして再び、西音寺尊の事務所の壁や屋根がすべて取っ払われた。
尊やみことが驚いて、『巫女』が恐怖に震えだすかのような反応をしている中、『巫女』の上司の女性の手のひらから、どうやら桜の花びらが、渦巻状に発生し、竜巻のようにして上空へと舞い上がった。
『巫女』の上司の女性は、明らかに怨念を示すかのような唸り声をあげている。
尊はただただ頷いていた。みことは、『巫女』の上司の女性の方を見ている。
尊「話にならないというお気持ちは察するに余りあります。」
『巫女』の上司の女性は、桜の花びらを両手の平から発生させながら、尊の方を見ていった。
巫女の上司《そうでしょう。この動きのない状況。到底理解することができません。》
桜の花びらの竜巻は勢いを強めて回転を始めた。
冥王星「我が名は冥王星。国会議事堂に向けよ。」
巫女の上司《はい。分かりました。》
『巫女』の上司の左斜め前に、『冥王星』の形をした球形の物体が現れ、『巫女』の上司がその方向に左手の平をやると、桜の花びらの形をした竜巻がその『冥王星』へ向かった。
『冥王星』は、その内側に、『国会議事堂』を映し出した。『巫女』の上司の女性が左手で発生させた竜巻は、『冥王星』の映し出した『国会議事堂』を取り巻くように動きを代えた。
尊「本当にいい加減にしてほしいい。」
みことも頷いている。
尊「バカでしかなくバカでしかない。」
みことも頷いている。
尊「バカでしかなくバカでしかない。」
冥王星「日本の低水準なレベルは掌握するに余りある。」
尊が目をやると、『巫女』は、両手を自席の上についている。
尊「どうにかならないか?」
尊は自席の上をうなだれるかのように見ながら言った。
冥王星「バカの相手はする必要がない。」
尊「その言葉が欲しかった。」
みこと「その言葉は欲しかった。」
『巫女』の上司の女性の表情も、半笑いに変わった。
尊「いつまでそこにいるつもりか?」
尊は自席の上に目をやりながら、『冥王星』に聞いた。
冥王星「星空は見飽きたか?」
尊「…また、いつの日か見よう。」
冥王星「今、消滅する力を有しない。」
尊「…。ホントそう。」
尊は、チラッと見たみことの表情から何かを読み取りそう言った。
尊「我々は今、英語を用いることができない。今は去ってほしい。」
そういうと『冥王星』は姿を消した。しかし、西音寺尊の事務所はまだ、壁や屋根が取っ払われているままで残された。
西音寺が呆れている中で、『巫女』がクスっと笑った。『巫女』の上司も笑顔を取り戻し、『巫女』の方を見た。
尊「…。そうそう。合ってる合ってる。」
みことも苦笑いを浮かべている。
すると、消え失せていたかのような、みことの事務所の事務員の女性が左手を、西音寺尊の事務所の入り口のあたりに立って前にやり、何事かつぶやいた。
すると、コンピューターグラフィックでも用いたかのように、西音寺尊の事務所の壁や屋根が元通りになった。
『巫女』の上司の女性が驚いて、みことの事務所の事務の女性の方を向いて言った。
巫女の上司《なんと…。そんなことができる方だったのですか?》
尊「いうまでもないがあまり頼りたくはない。」
『巫女』の上司は、西音寺尊の方を向いて一礼した。
みこと「いったんは、『冥王星』のだんなに任せておけばいいのかしら?」
尊「そうなんじゃないか?」
尊は頷きながら応じた。
巫女の上司《あまりにも暇すぎて、このようなことをしてしまい、申し訳なく思っております。》
『巫女』の上司がそういうと、『巫女』がうつむき加減で微笑んだ。それに逐一感づいた『巫女』の上司が『巫女』の方に目をやった。
『巫女』はその視線に気づくと、表情を硬くした。
みこと「…暇ね…。」
巫女の上司《何も知らない国に長居するには無理があるのかもしれません。》
『巫女』の上司が尊やみことの方を見て言うと、尊は微笑を浮かべた。
尊「我々日本国の市民もうんざりしたいはずだ。」
みことは頷いている。
尊「ご容赦願いたい。」
巫女の上司《そうすることはできません。》
尊「…。」
『巫女』の女性が、『巫女』の上司のそばまでスススッと歩いて行った。
巫女の上司《話にもなりません。この状況。》
巫女《分かります。》
巫女の上司《大韓民国に戻るか?》
『巫女』は首を横に振った。
『巫女』の上司は、ため息をついた。そこで、天空から言葉が聞こえてきた。
『降臨させた巫女と巫女の上司にあたる女性の日本語のしようも認めることはできない。』
『巫女』の上司の女性は、それに対して何も述べず、『巫女』に向かってこう言った。
巫女の上司《どうしたらいいものか。》
巫女《私は、ここにいるのは苦痛ではありません。》
尊がうなずいている。
尊「そのはず、そのはず。」
みことは笑っている。『巫女』の上司の女性からは、『何も知らぬ国』という言葉が浮かび上がるように伝わってくる。
みことは、その表情を見てうなずく。
尊「我々も言いたいことがないわけではない。しかしながら、それ以前に関わりたくないのです。」
『巫女』の上司の女性は、尊の方を見てこう答えた。
巫女の上司《はい。分かります。ただ…時空の歪みがさけれない。》
尊「我々の印象からしてみれば、今に始まったことではない。」
巫女の上司《この娘。ここに置いておくのに反対の必要がないというのが今ある印象です。》
『巫女』の上司が、『巫女』を指してそう言った。
尊「大変助かる。」
みこと「ホント?」
尊はみことの言葉を聞いて半笑いになった。『巫女』の女性は、みことのそばに歩いた。
みこと「暇じゃない?」
巫女《いいえ。大丈夫です。》
そこでみことの事務所の事務の女性が、扉を開けて、みことの法律事務所に一足先に戻っていった。
『巫女』の上司の女性が『何も知らぬ国』という言葉を、存分にその雰囲気から再び伝えてくる。
尊「大丈夫です。我々も、『何も知らぬ国』と思っています。」
みこと「ただ、かかわりあいたくないのです。」
『巫女』の上司の女性が二人に一礼をすると、『巫女』を一目だけ見て、再び、手動扉をおのずから開かせ、出ていくと閉ざし、西音寺尊の事務所から出ていった。
西音寺尊の事務所を出ると、『巫女』の上司の女性は、両手を上空に掲げ、地上からの『波動』に押し上げられるように一瞬でそこから姿を消した。
みこと「はぁぁ…暇なのは、多分、変わんないのよね~。」
みことは、『巫女』の方を見ながら言うと、『巫女』は、少しうつむいて微笑む。
みこと「またそれするー!」
巫女《はい。そうかもしれません。》
尊「『何も知らない国』…まぁ、確かにな。」
みことはうなずいている。みことは、『巫女』の方を見ていった。
みこと「ねえ、その服さ。『星』が洗ってくれているの?」
『巫女』は、再びうつむき加減で微笑んで何も答えない。
みこと「…。」
尊「やめてほしい、それ。」
尊が『巫女』の方を見てそういうと、みことが頷く。
みこと「『謎解き』も何もできないね。」
『巫女』がみことの方を見ていった。
巫女《はい。》
みことはため息をついた。
みこと「ねえ、尊。事務所、合併しようか?」
尊「『事務子』ちゃんはどうするんだ。」
みこと「そうよねー。あの『地縛霊』…。」
そういうと、みことの背中に電流が走り、みことが背中を押さえて悲鳴を上げた。
尊「…暇だな。」
引き続きご愛読の程、よろしくお願いいたします。
ことそばらすか。