~『巫女』の上司を名乗る女性の降臨~
取り急ぎ、続編を投稿いたします。
先日と同じように、『みこと』が『巫女』を『西音寺尊』の探偵事務所に連れていくべく迎えに行き、その日は、『西音寺尊』の探偵事務所の入り口の扉の前まで送った。
『巫女』は一礼すると、扉を開け、中に入って行った。
『みこと』が自分の弁護士事務所に戻ろうと、『西音寺尊』の探偵事務所を出ると、空から『人』が舞い降りてきた。
くるくると反時計回りに回転をしながら。
その者の服装は、『巫女』と同じ服装だった。
地に舞い降りた女性は、横目で『みこと』を確認した後、『西音寺尊』の探偵事務所へと入って行った。
その頃、『西音寺尊』の探偵事務所では、『西音寺尊』はすでに出社しており、『巫女』も先日と同じ服装で、自席に座っていた。
そこで、『西音寺尊』の探偵事務所の扉がひとりでに開いた。
『巫女』と同じ服装をした女性が頭を垂れたまま入ってくると、『巫女』がすくっと立ち上がり、『西音寺尊』とその女性の間の通路に歩いて、その女性の方を向くと、頭を少し下げてスススッと後ろに歩いた。
『西音寺尊』は右手で頭を掻きながら立ち上がった。
『巫女』が、『西音寺尊』から見て左斜め前に立つと、『巫女』と同じ服装をした女性の後ろにある扉はひとりでに閉まり、その女性が韓国語でこのように言ってきた。(《》内は韓国語。)
巫女の上司を名乗る女性《わたくしは、その『巫女』の上司にあたる役職を与えられた者。何故このようなことになっているのか、説明していただきにまいりました。》
尊「…。」
『巫女』も頭を下げたまま、その女性の方を向いている。
巫女の上司を名乗る女性《説明、していただけますでしょうか。》
尊「貴殿らの話は、相当程度当方において解読に成功している。まず、そこが契機であると承知している。」
巫女の上司を名乗る女性は、『巫女』の席をチラッと見た。
巫女の上司を名乗る女性《それは、『日本国』の人々がという意味でしょうか?》
尊「いや、当方の方でという意味に近い。」
巫女の上司を名乗る女性は、一度頭をあげた。一瞬、『巫女』をにらんだようにも見えた。その女性の服装は、正に、『巫女』の服装とうり二つに見えた。
尊「大いに、憂う心情は察しうる。」
巫女の上司を名乗る女性は、再び頭をわずかに下げた。
巫女の上司を名乗る女性《我々の国の国民の間でも、解読は試みられているはずですが…。》
尊「おそらくそうであろうという事は分かります。」
巫女の上司を名乗る女性《それは、我々の国の国民の解読が、貴殿の解読に及んでいないということでしょうか?》
尊「いいえ。必ずしもそうではありません。」
巫女の上司を名乗る女性《ではどのような意味でしょうか。》
尊「『他国』であるからこそ解読できる部分が、ある一定の観点から見たときに肝要であったということです。」
巫女の上司を名乗る女性は頭をあげて、半ばにらむ表情で『西音寺尊』の方を見た。
尊「その心情、察するに余りある。」
すると巫女の上司を名乗る女性は、笑みとも、失笑とも取れる笑顔を浮かべた。
巫女の上司を名乗る女性《再び、ここに訪問しても差し支えないでしょうか?》
尊「差し支えありません。」
巫女の上司を名乗る女性《では、そのようにさせて頂きます。》
尊「承知致しました。」
巫女の上司を名乗る女性が一度頭を深く下げ、頭をあげると、後ろの扉が開き、その女性は後ろにスススッと歩いて、壁際で止まった。
扉が閉まり、その女性は階段を下りて行った。
西音寺尊の探偵事務所の外では、『みこと』が待っていた。
巫女の上司を名乗る女性は『みこと』の方に一度目をやって会釈をすると、両腕を広げて時計回りに回り始め、空高く舞い、去って行った。
みこと「…あ、尊!」
『みこと』は、『西音寺尊』の探偵事務所に入り、少しばかり話して、お茶を飲んで帰っていった。
その間、『巫女』の女性は、自席に座ったままでいた。
引き続き、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。
ことそばらすか。