第六回:テンプレが嫌い病
第六回は『テンプレが嫌い病』です。
まあ、既に書籍化している場合もあしますし、web作家だけの病とは言えないかもしれませんが、web小説発祥のテンプレなので題材としては問題無いでしょう。
『テンプレが嫌い病』は、ある程度読み専歴が長い方や、書き始めてからそれなりに時間が経った頃に発症しやすい病です。
最初の頃は、
「自分も同じような素敵なお話を書きたい!」
とか、
「自分なら同じような設定でもっと面白い話がかける!」
みたいな感じでピュアな願望を持ってたりするのですが、多くの作品を読むなり知るなりすると、余りにも周囲に同じ設定が溢れかえっているせいで辟易してしまうのですよね……
また、誰だって『人と同じことはしたくない』とか『自分が新しい流れを生み出してやる』という感情は大なり小なり持っているものなので、そういった感情が働くケースもあります。
テンプレ設定は叩かれることも多いので、それを見て避けたくなる気持ちもあるかもしれません。
上記は一部例に過ぎませんが、世の中にはテンプレが嫌いになる要素がいくらでもあると言えるでしょう。
そうして『テンプレが嫌い病』を発症すると、ちょっと特殊なことをしようとして失敗するケースが散見されます。
そして、結局よく見るような展開になったり、書きたかったことが書ききれないまま終わったり、エタったりしてしまうことも……
これも、始めるのも止めるのも容易なweb作家あるあると言える特徴でしょう。
正直な所、こういった気持ちについては大いに理解できます。
世の中に溢れかえっている同じ設定を使うよりも、「オリジナリティ溢れたことをしたい!」なんてことは今でも考えますし……
読者目線でも、「また異世界か」とか「またハーレムか」とゲンナリすることはしばしばありますので、今更そんなの書いても自分と同じ感想を持たれるだろう、なんて思いもあります。
しかし、理解はできますが、テンプレを完全に否定するのはやめた方が良いでしょう
テンプレ、つまりテンプレートは、「定型文」や「ひな形」といった、決められた様式という意味合いがあります。
これは、少し極端ですが基本と言い換えても良いでしょう(web小説ではありがちな設定という意味合いが強いですが)。
そして、それを自分の感情だけで避けていては、残念ながら成長することは難しいと思います。
何事にも言えることですが、基本をしっかり抑えないと大抵の場合失敗をすることになります。
そういったことを一度でも意識したことがある人は、少しでも良いのでテンプレと向き合うことをオススメします。
逆に、一度も意識したことがない人は、もしかしたら特殊な才能を持っているかもしれません。
そういった人は、基本を逸脱しても成功する可能性があるので、突き進むのも一つの道と言えるかも(オススメはしませんが)。
まあ、色々と書いてきましたが、実の所『テンプレが嫌い病』は勝手に治ることが多いです。
何故ならば、書き続けていると結局テンプレを避けることが困難だと気づくからです。
上記でも書いたように、テンプレは基本のようなものなので、どんなに避けても結局ぶつかることになりますから……
『異世界』『転生』『異常に長いタイトル』『ハーレム』『最弱』『最強』『チート』『奴隷』『グルメ』『ゲーム』『悪役令嬢』『VRMMO』etc...
挙げればキリがありませんが、こういった単語に少しも触れないで同じジャンルを書こうとすると結構な無理が出ます。
元読み専の人なんかは、元々読んでいた作品の影響を受けるなという方が無理な話ですしね。
結局は自分なりの落としどころを見つけて、向き合ってくことになるのです。
ただ、上記でも触れていますが、『テンプレが嫌い病』のせいでエタったり、書かなくなってしまう人もいますので、もしこの文章を読んでいる人の中にそんな気持ちが芽生えている人は、それが自分だけの気持ちじゃないこと、そしてテンプレと向き合うことのメリットを知って貰いたいなぁ、と思います。
最後に、テンプレの悪い傾向について。
これはできればやめて欲しいなぁとか、変わってくれないかなぁという本音を少々。
アイテム鑑定や言語翻訳などの機能は便利ですよね。
細かい設定を考えず、簡単に異世界に溶け込めますから。
書いてる側も楽だし、読んでる側もすんなり受け入れられるメリットもあります。
基本的にweb小説は素人が書いているものなので、こういった設定はむしろあるべき存在だと言えるでしょう。
しかし、「人間、楽な方楽な方へと進んでいくと、必ずダメになる」という格言があるように、楽だけしては必ずボロがでます。
なんでもかんでもそういった便利ツールに頼るのは如何なものかと思ってしまいます。
自分もそれなりに頼っているのであまり偉そうなことは言えませんが、こういうのは適度に使用するのを心掛けたいですね。
まあ、読者の年齢層によっては受け入れられないかもしれませんが……
それから、趣旨とは違うのでアレですが、『テンプレ嫌い病』の方は、できれば最後まで下記に羅列した内容については敬遠して頂ければなぁ、なんて……
物凄く自分の主観が入りまくりなので、一部の人が不快にならないようかなり下の方に書いておきます。
見ても文句は言わないでね!
・倫理観の欠落
…人殺しをあっさり受け入れる、毒殺、犯罪の正当化(こんな状況で気にする方が馬鹿とか)
・仲間がただの引き立て役
…主人公をちやほやするだけ、対等と呼べる仲間ではない
・イキり過ぎというか最早DQN
…仲間や目上の立場に対してすら態度を改めない、すぐに対話を諦め実力行使
・男を仲間にするより女を仲間にする方が良いに決まっている
…男を助けてもなぁ(亜種)
・上記のようなアレな主人公に何故か惚れるヒロイン達
…惚れる要素に全く共感できないのが問題、チョロイってレベルじゃない
大体主人公関連の問題。
勿論、そういうのが好きって人もいるだろうけどね!
でも、個人的にはこんな主人公の作品がさらに増えるのはちょっと嫌……