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日常の壊れる最悪の非日常  作者: ネツアッハ=ソフ
非日常との出会い
9/27

剣術指南、前

 さて、どれくらい時間が()ぎただろうか?見詰め合う俺とマキ。どちらからともなく顔が近付く。


「そろそろ()いか?二人共?」


「「っ!!?」」


 突如聞こえた痣火の声。それも、すぐ背後から聞こえてきた。


 俺とマキはばっと勢いよく離れる。顔が熱い。見ると、痣火は俺達二人をにやにやと意地の悪い笑顔で見下ろしていた。これは、ずっと見られていたな?・・・これは()ずかしい。


 ・・・うん、顔が熱い。まさか見られているとはな。


 マキなんか、あまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にして(うつむ)いていた。それが何だか可愛くて、思わず抱き締めたくなるがその寸前で抑えた。俺は理性の無い獣では無いからな。これ重要。


 ・・・一体誰に言い訳してるんだか。まあ良い。俺はごほんっと咳払いする。


「それで、一体何の用だ?」


「そう不貞腐れるなよ、少年。君の力量は正確に把握した。まずはマキに剣術の基礎(きそ)を習うと良い」


「・・・・・・マキに?」


 俺はマキの方を見た。マキは何とか立ち直ったのか、元の冷静な表情に戻っている。えっと、マキに剣術の指南を受けるのか?・・・彼女に?


 別の事にハッスルしそうだな。俺、頑張(がんば)っちゃうよ?


不服(ふふく)かね?」


「・・・別の事に意識を持っていかれて集中出来ないかもしれんぞ?」


「っ!!?」


 その言葉を聞いたマキはばっと自分の身体を抱いて後退った。うん、いや可愛いんだがな?


 可愛すぎるんだがな?


 思わずほっこりとする俺に、痣火は苦笑を浮かべる。


「その点は大丈夫だ。私が傍で見ているからな。そんな不埒(ふらち)な真似をしている余裕は無い」


「ああ、そう・・・・・・ちっ」


「そう露骨(ろこつ)に残念そうにするなよ、少年・・・」


「無念」


「口に出しても駄目だ」


 いや、そう言われてもだな?残念な物は残念なんだよ。


 これ、何て生殺(なまごろ)し?マキを前にして酷いじゃないか?


「それとも何か?マキが可愛すぎて集中できないか?ん?」


「その通りだ」


「・・・・・・あ、あうあうあ~っ!!!」


 奇声(きせい)と共に、マキは駆け出して行った。


 俺と痣火の会話に、マキはついに真っ赤な顔で飛び出して行った。うん、からかい過ぎたか。俺と痣火はほんの少しだけ反省した。うん、ほんの少しだけな?マキは可愛い。


 少しの間、見詰め合った俺と痣火。やがて、俺達は無言で固く熱い握手(あくしゅ)を交わした。うん、痣火も同じ想いを持つ同志らしい。やはりマキは可愛い。それが全てだ。それが全てで正義だ。


 ひゃっほう、マキ可愛い!!!


 何?性格(せいかく)が変わっているって?俺は元からこんなのだ。悪いか?

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