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日常の壊れる最悪の非日常  作者: ネツアッハ=ソフ
非日常との出会い
5/27

世界の真実は

「ま、まあとりあえず。俺はもう帰るよっ」


「・・・?帰るって、何処(どこ)に?」


「は?」


 痣火(あざか)の言った言葉に、俺は思わずきょとんっとなった。一体何を言っているのだろう?


 帰るって、家に帰るに決まっているじゃないか?俺はふと、疑問に思った。何故、マキは其処で気まずそうに顔を背けるのだろうか?何故、そんなに痣火は不思議そうに俺を見る?


 思わず、彼女を凝視(ぎょうし)する。その反応で彼女は何を悟ったのか、呆れた顔で言った。


「なるほどね。とりあえず、外を見てみなさい」


「・・・・・・は、はぁ」


 何処か、釈然(しゃくぜん)としない。


 俺は、部屋の外へ出る。それにしても、何かこの廃墟(はいきょ)、何処かで見たような?まあ、良いか。


 俺は、気にしない事にした。それが、全ての間違いだった。


          ・・・・・・・・・


 違和感は増してゆく。何故だ?何故、俺はこの廃墟を知っているんだ?何故、廃墟を進むごとに焦燥が此処まで募るんだ?解らない、解らない、解らない。


 次第に、俺の足は速度を上げてゆく。やがて俺は自然と小走りになっていた。


 焦燥は募ってゆく。心は(あせ)るばかりだ。


「・・・っ!!!」


 そのまま俺は廃墟の外へと駆けて行った。何故?俺は何故、この廃墟の構造を知っているんだ?俺はどうして此処まで焦っているんだ?何故、この廃墟は学校の校舎(こうしゃ)に似ているんだ?


 何故、学校の校舎がこんなにボロボロに崩れているんだ?


 俺の焦燥は募ってゆくばかり。やがて、俺は外にでた。其処は、果たして・・・


 ・・・俺は、思わず絶句した。俺の目には、絶望が(うつ)っていた。


 炎に包まれていた。町は、炎に包まれていた。いや、炎に包まれているのは町じゃない。世界だ。


「何だよ・・・これ・・・・・・?」


 呆然と、呟く。世界が炎に包まれていた。世界は猛火(もうか)に包まれていた。


 何処もかしこも炎に包まれて、何処もかしこも崩れ落ちている。まるで、末世(まっせ)だ。


 何の冗談だ、これは?俺は、夢でも見ているのか?ふらっと、俺の身体が揺らぐ。(くずお)れそうになる俺の身体をマキが支えた。マキは、何処か申し訳なさそうに俺を見ていた。


 何故、マキはそんなに申し訳なさそうな顔をするんだ?どうして、世界が燃えている?


 混乱して、もう何が何だか解らない。


「マキ・・・これは、一体何の冗談(じょうだん)だ・・・・・・?」


「何一つ、冗談じゃないわ・・・」


 マキは言った。これは冗談じゃないと、これが、現実(げんじつ)だと。そう、これが現実なのだ。


 ・・・これが、世界の真実だ。もう、俺達の世界は———


「世界は、異能者達の手で崩壊したのよ。貴方が居た日常(せかい)は、全部まやかしよ」


 そう、マキは無情に()げた。

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