世界の真実は
「ま、まあとりあえず。俺はもう帰るよっ」
「・・・?帰るって、何処に?」
「は?」
痣火の言った言葉に、俺は思わずきょとんっとなった。一体何を言っているのだろう?
帰るって、家に帰るに決まっているじゃないか?俺はふと、疑問に思った。何故、マキは其処で気まずそうに顔を背けるのだろうか?何故、そんなに痣火は不思議そうに俺を見る?
思わず、彼女を凝視する。その反応で彼女は何を悟ったのか、呆れた顔で言った。
「なるほどね。とりあえず、外を見てみなさい」
「・・・・・・は、はぁ」
何処か、釈然としない。
俺は、部屋の外へ出る。それにしても、何かこの廃墟、何処かで見たような?まあ、良いか。
俺は、気にしない事にした。それが、全ての間違いだった。
・・・・・・・・・
違和感は増してゆく。何故だ?何故、俺はこの廃墟を知っているんだ?何故、廃墟を進むごとに焦燥が此処まで募るんだ?解らない、解らない、解らない。
次第に、俺の足は速度を上げてゆく。やがて俺は自然と小走りになっていた。
焦燥は募ってゆく。心は焦るばかりだ。
「・・・っ!!!」
そのまま俺は廃墟の外へと駆けて行った。何故?俺は何故、この廃墟の構造を知っているんだ?俺はどうして此処まで焦っているんだ?何故、この廃墟は学校の校舎に似ているんだ?
何故、学校の校舎がこんなにボロボロに崩れているんだ?
俺の焦燥は募ってゆくばかり。やがて、俺は外にでた。其処は、果たして・・・
・・・俺は、思わず絶句した。俺の目には、絶望が映っていた。
炎に包まれていた。町は、炎に包まれていた。いや、炎に包まれているのは町じゃない。世界だ。
「何だよ・・・これ・・・・・・?」
呆然と、呟く。世界が炎に包まれていた。世界は猛火に包まれていた。
何処もかしこも炎に包まれて、何処もかしこも崩れ落ちている。まるで、末世だ。
何の冗談だ、これは?俺は、夢でも見ているのか?ふらっと、俺の身体が揺らぐ。頽れそうになる俺の身体をマキが支えた。マキは、何処か申し訳なさそうに俺を見ていた。
何故、マキはそんなに申し訳なさそうな顔をするんだ?どうして、世界が燃えている?
混乱して、もう何が何だか解らない。
「マキ・・・これは、一体何の冗談だ・・・・・・?」
「何一つ、冗談じゃないわ・・・」
マキは言った。これは冗談じゃないと、これが、現実だと。そう、これが現実なのだ。
・・・これが、世界の真実だ。もう、俺達の世界は———
「世界は、異能者達の手で崩壊したのよ。貴方が居た日常は、全部まやかしよ」
そう、マキは無情に告げた。




