プロローグ
あれからひと月ほど経過した・・・
空亡真と名乗ったあの男も、かなり深手を負ったのか襲撃してくる事は無かった。しかし、だからこそ俺は理解していた。恐らくはこの程度では終わらないだろうと。
だからこそ、コンディションを整えるという意味でもリハビリという意味でも俺は、毎日の特訓を欠かさずに励んでいた。それは、マキも理解しているのか一緒に手伝ってくれている。
・・・まあ、流石に竹刀を持ったマキを相手に京が素手で対応出来るとは思わなかったが。流石の俺もそれだけは予想外だったと思う。まあ、負けた後でマキが不貞腐れて俺にいつもより甘えてきたのは少しだけ嬉しいと思ったが。それは流石に秘密だ。
そんな俺達を見て、京が今にも砂糖を吐きそうな顔をしていたが。それも知らんったら知らん。
しかし、そんなある日の朝。早朝から師匠である痣火の姿が見えなかった。
不審に思った俺達は、廃墟から出ていった。延々と延焼し続けていた街の炎は鎮火し、朝の日差しが街を照らしていた。しかし、それと同時に俺達は疑問に思う・・・
あれ程延々と何時までも消える事無く延焼し続けていた街の炎が消えている。そして、街を覆い尽くしていた破壊音も何時の間にか消えていた。これは一体どういう事だ?
いや、理由はおおむね察している。しかし、それを納得する事は俺達には出来なかった。
そして、ついに俺達は街の中心部に辿り着いた・・・其処に、全ての答えがあった。
答えは、既に提示されていた。
「これ、は・・・・・・」
「っ・・・・・・」
俺とマキは思わず絶句した。目の前の状況を素直に信じる事が出来なかった。そして京に至ってはもはや言葉すら出ない様子だった。それ程の衝撃を、目の前の光景に受けていた。
それは・・・
「む?ようやく来たか。待っていたぞ?」
異能者の首魁。空亡真とその腹心の二人を殺害し全身に血を浴びた痣火の姿だった。
急☆展☆開‼




