エピローグ
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・随分と手酷い傷を受けたな、真」
異能者の本拠地。其処に、異能者の首領である空亡真と腹心のミズチが居た。真の身体は既に傷だらけのボロボロで、こうして平然としているのがむしろ不思議なレベルだ。
しかし、真はこうして平然としている。まるで、そんな事はどうでも良いかのように。むしろ、その表情は探し求めていた物の手がかりをようやく見付けたと言わんばかりだ。
その嬉々とした表情に、ミズチはそっと溜息を吐く。そんなミズチに、真は言った。
「ミズチ、ようやくだ。ようやく見付けた・・・」
「ああ・・・」
何を、とはミズチは断じて言わない。そんな事は言わずとも知れている事だ。真たちが、ずっと探し続けてようやく見付けた、真なる敵の手がかり。それを思い、彼は笑みを浮かべる。
「ようやくだ、ようやく・・・俺達は解放される時が来たんだ」
「ああ、そうだな・・・」
真は探し求めていた標的を見付け、好戦的に笑みを深める。その笑みは、まるで獣のよう。
それでも、真はその笑みを止められない。好戦的に、獰猛に、彼は笑う。
「ようやく・・・俺達をこの世界に縛り付ける神の許に辿り着ける」
———真なる自由を得る事が出来る。そう信じて、異能者の首領は笑う。
・・・・・・・・・
ある空間。其処は何処とも繋がっておらず、そして何処をも見通せる場所だった。
其処に居るのは、たったヒトリの超越種のみ。そして、その超越種はヒトリ笑う。
・・・物語は、動き出す。




