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日常の壊れる最悪の非日常  作者: ネツアッハ=ソフ
激しくなる戦い
12/27

プロローグ

 燃え盛る街。とある場所に、その二人は居た。二人の男は、どちらも高位の異能者(いのうしゃ)だ・・・


 故に、世界を燃やす炎など苦にもならない。


「ふむ、どうやら邪魔者(じゃまもの)が入ったらしいな・・・」


「そのようだな。一人は彼女(かのじょ)だとして、もう一人は一体誰だろうな?」


 問い掛けるその言葉に、男はにやりと笑みを浮かべる。椅子にゆったりと腰かけている彼は、どうやら異能者の集団の首領らしい。その風格は大物の気配を漂わせている。


 もう一人の男は、細身の身体ながらもしっかりと引き締まった身体をした青年だ。その腰には一振りの剣を差しており、立ち姿に一切の隙は無い。只者では無いのは明らかだ・・・


「構わないさ。どの道、我らの邪魔をするなら排除(はいじょ)するだけさ・・・」


「・・・・・・・・・・・・、そうだな。まあ、お前がそう言うならそうだろうさ」


 何か言おうとして、しかしもう一人の男は止めた。彼は知っているのだ。この男がこうなる事を知りながらもわざと少女を生かしておいた事を・・・


 本当に少女を殺すつもりなら、かつて街を焼き尽くした時に生き残りなど居なかった筈だ。それなのに少女は生きている。それは、この男が敢えて見逃(みのが)していたからに他ならないだろう。


 ・・・本当は、こうなる事を(のぞ)んでいたのではないか?そんな事を、心の中で考える。


 しかし、その内心を否定(ひてい)するかのように男は首を左右に振った。


「・・・俺はな、この世界が(ゆる)せないのさ。だからこそ、この世界を焼き尽くした。しかし、それでも尚足りないんだよ。奴に辿り着くまで、それでも足りない・・・」


「・・・・・・そうだな。しかし、それでもお前は諦めるつもりは無いのだろう?真」


 腹心の彼の言葉に、真と呼ばれた男は獰猛(どうもう)な笑みで頷いた。当然だとでもいうかのように、その表情には一切の陰りは無い。諦めという言葉など、この男にはありはしないのだから・・・


 異能者の首領、空亡真(そらなきしん)に諦めは無い。そんな物、街と共に焼き払った。


「その通りさ・・・。だからこそ、打てる手は全て打つ。その結果、奴の許に辿り着くのがあの少女ならばそれはそれで良い。奴さえ()てれば、俺はそれで良いんだよ・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


 絶対に奴を許さない。そう語る真の瞳は、闘争心(とうそうしん)に燃えていた。その表情は、不敵に笑う。


 そんな首領の様子を見て、男は思う。ならば、せめて自分は腹心として、一人の友人として彼を最後まで守り抜こうとそう(ちか)った。最後まで、彼に付き合おうと誓った。


「・・・ミズチ、最後まで俺に付いてきてくれ」


「ああ、解っているさ。真」


 そう言い、影倉(かげくら)ミズチは笑った。

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