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日常の壊れる最悪の非日常  作者: ネツアッハ=ソフ
非日常との出会い
10/27

剣術指南、後

「うぅっ・・・・・・」


「ああ、まぁ・・・すまん」


 真っ赤な顔のマキに、俺は申し訳なさそうに(あやま)る。先程から、その繰り返しだ。


 マキが真っ赤な顔で俯いて唸る。可愛いんだが、申し訳ない気分になってくる。うん、でもやはりマキが可愛い事には変わりない。思わず、俺の頬が(ゆる)む。


 そんな俺を睨み付けるが、正直そんなマキの顔もかなり可愛いと思う。やべえ、顔がにやける。やはり可愛いは正義だな。俺はこっそり確信(かくしん)した。


 マキはそっと溜息を吐いた。


(ソラ)、覚悟は良い?」


「ああ、うん・・・お手柔らかに」


 ちなみに、今現在俺は竹刀を構えてマキと向き合っている。場所は、体育館跡だ。


 体育館の端には、痣火(あざか)が俺達を見ている。その目はさっさとやれと言っている。仕方がない、俺は竹刀を正眼に構えて呼吸を整える。そして・・・


「ふっ!!!」


 気合一閃———


 一息に距離(きょり)を詰め、竹刀を振るった。決まった、そう確信するが・・・


「甘いっ!!!」


 すぱあーーーんっっ!!!!!!


 軽快な音が、体育館跡に響き渡る。俺の頭に、鈍い痛みが(はし)る。頭を竹刀で叩かれた?


 ・・・え?今、一体何があった?


 訳が解らないまま、目の前を見る。其処にはマキが鋭い目付きで此方を見ていた。その構えに、一切の隙はありはしない。何処を打ち込んでも、容易く打ち返されるだろう。


 ・・・ああ、なるほど。俺は納得(なっとく)した。納得して、理解した。


 どうやら、マキの実力を見誤っていたらしい。俺は、今度こそ本気で竹刀を構える。ゆっくりと呼吸を整えて正眼に竹刀を構える。そして、魂の奥底に眠る俺の力を呼び起こす・・・


 ・・・俺の瞳が、焼き切れそうな程に熱を放出する。今にも、視神経が()き切れそうだ。


 しかし、だからどうした?そんな事、知った事か。身体の奥底から、昂揚(こうよう)する。


 気分が高鳴る。


「ふっ!!!」


「っ!!?」


 一瞬で、マキの懐に潜り込み竹刀を振るう。それにマキは驚いた表情をするが・・・


 しかし、それをマキは最小限の動作で()け、そのまま竹刀を胴に向かって振るう。


 (かわ)せない。躱せる筈がない。だが・・・しかし・・・


 俺の瞳が、更に熱く発熱する。意識が、白熱(はくねつ)する。限界を、大きく超える。人間を、超越する。


「っっ!!!!!!」


「なっ!!?」


 躱せないなら、受け止めるだけだっっ!!!


 俺はぎりぎりの所でマキの竹刀を受け止める。そして、そのまま竹刀を起点にして流し、払う。恐らく今の動作はかなりの無茶があったのだろう。全身の筋肉が(きし)みを上げる。


 しかし、それでも・・・


 俺は、そのまま竹刀を全力で振るう。マキの(どう)に向けて・・・


 しかし。


 次の瞬間、軽快な音と共に俺の胴に軽い痛みが奔った。俺の、敗北(はいぼく)だった。

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