プロローグ
俺の視界は赤く染まっていた。世界が真っ赤だ。世界が真っ赤に染まっている。
···いや、真っ赤に染まっているのは俺の方か。俺は今、血で真っ赤だ。鉄臭い血の臭いが鼻をツンと刺激する。正直、血を流しすぎた。身動ぎ一つ出来ない。
···俺は、死ぬのか?こんな所で?独り?
誰かの高笑いが聞こえる。誰かが泣き叫ぶ声が聞こえる。誰かの怒号が聞こえる。
しかし、そろそろ考える事も覚束なくなってきた。どうやら、もう死が近いらしい。
「············」
···死にたくない。こんな所で、独り死ぬのは嫌だ。
どうして、こんな事になったんだろう?俺の日常は一体、何時壊れた?考えても分からない。
「························」
···死にたくない。まだ、俺は生きていたい。こんな所で死んでたまるか。
確かに、日常が退屈だと感じていた。確かに、刺激を求めていた。しかし、果たして此れが本当に俺の望んだ物だろうか?こんな非日常が?
徐々に意識が薄れていく。寒い、血を流しすぎた。それに、何故か寂しい気持ちが俺の心を満たしてゆくのを感じた。寂しい、寂しい、寂しい。嫌だ、独りは嫌だ。
一体、何故俺はこんな事になったんだろうか?俺は薄れゆく意識の中、思い返してみた。




