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DeathDays  作者: 雪城ぴゅあ。
9/26

SchoolLife3

「朱雀、そろそろ寝ないで授業を受ける気にならない?

いや、それよりも受けた方がいいというか…

先生、結構怒っているみたいだし、この辺で、しっかり勉強する姿勢を見せて改善しておかないと、また先生の堪忍袋の尾が切れて、反省文とか居残りとか、罰としての掃除とかありそうだし…」

朱雀はこれまでもだが、幾度となく、お咎めを受けて、その度に罰を課されている。

然し、中々態度を改めない朱雀。

先生方が再びお怒りになりそうな予感が、何となくあった。



「ん〜、そうだけど!

俺はもう開き直ってるし★

それに、寧ろ、逆に俺はもうそっちのがマシかな!

勉強より、掃除とかのが向いてるって感じ?

俺は勉強が苦手だし、勉強っていう分野は俺には向いてない。

即ち、不向き!

だから寝る!全力で寝る!

寝る子は育つっていうし、寝る事に専念するぜ!」

(だ、ダメだ。

完全に開き直ってしまっている…

何を言ってもやる気にはならなそうだ。

やる気にさせるのは難儀かも)

「はぁ…全く朱雀は。」

それを聞いた雪斗が、呆れ顔で朱雀を咎める。

「寝るな!

開き直るな!

諦めるな!」

「雪斗、何?

その三大原則みたいなの…」


確かに。

今のは何かの標語(スローガン)とかでありそうだ。

そして、「いつやるの?」というネタを、ふと思い出す僕である。


「俺はきっと無理なんだって。

バカだし、勉強しても暗記は苦手だし、テスト勉強しても大した点数にもならない。

書いても読んでも、何をしても無駄なんだって。

それより、女の子達とデートしている方が俺の性に合うんだって。

それが俺の生き甲斐でもある訳だし?

所謂、個性っていうヤツよ。

そりゃ、お前や愛琉が試験前に手伝ってくれるから、そのおかげで赤点は回避出来てるんだけど…うん、感謝はしてる。凄く。

でも俺はきっと…」

朱雀は自信がなさげに言った。

既に、自分で諦めてしまっている様子だ。

あ、このタイミングじゃない?

ほら、諦めないで!今でしょって‼︎

実際には言わず、心の中で朱雀に向けて声をかける。


「いいか?

朱雀。

向き不向きがあるのは分かるが、努力は怠るな。」

雪斗がかけている眼鏡をクイッと左手で、スマートな仕草で直す。

実にクールで、イケメンオーラが周囲にキラキラと漂っている。

ま、眩しい!

太陽くらいに眩しい!

お星様くらいにピカピカしてる!

このキラキラ具合、雪斗からジュエルでも飛び出しているんじゃないだろうか⁉︎

な、なんて眩しいんだ〜!

目がっ!!

…ふざけるのはこのぐらいにしておくとして、雪斗が眼鏡をかけ直す仕草は毎度ながらかっこいい。


僕が心の中でふざけている間に、朱雀と雪斗との間に険悪な空気が流れていた。

「あーはいはい‼︎

分かってるっての!

雪斗の説教タイムがまた始まった〜

朝からよせよ!

気分がげんなりする。

ノーテンキに楽しく行こうぜ?」

朱雀が、授業を受けている時の不真面目な態度を咎める雪斗に対し、これ以上は聞きたくないといった様子で、朱雀は遇らう。

勘だけど、勉強をしたくない理由が朱雀なりにある様に思えた。

「だからと言って…!」

朱雀なりの事情があるのかもしれないと感じ、2人の言い争いを止めに入る。

それに、朱雀がすご〜く不機嫌そうな顔になってきた為である。

「待って!待って!

朱雀にも朱雀なりの事情があるんだよね?

それにさ、雪斗!

始業まで後もう少しだし、止めよう?ね?」

このままだと、まずいなと思って、2人の間に入り、咄嗟に仲裁した。

「…愛琉が言うならば仕方ないな」

雪斗は渋々と納得してくれた。

朱雀はまだ不満げだけど、これよりヒートアップする前には止められたと思う。


「はぁ。

話が大分逸れたけど…、

天珠の奴はテストの時も梃子摺ってたみたいだし。

俺も人の事は言えないけど…

兎に角、天珠の事だから、仮にお菓子の雨でも降ったら元気になるんじゃないか?」

「お菓子の雨か〜」

朱雀が空気を読んでくれたのか、楽しい話題を振ってくれた。

良かった。

喧嘩をするのはやめてくれたみたい。



「そうだね!

天珠は喜ぶかもしれないね!

それから、お菓子の雨が降ったら、ちょっとメルヘンで楽しげだね。」

確かに、天珠はお菓子が好きだ。

いや、正しくは食べる事全般が好きだ。

痩せ型の体型なのに、何処に入っていくのだろうかと疑問に思うくらいの大食い。

気付けば大体よく何かと食べている。

お菓子だったり、パンだったり。

この学校には学食と購買があるので、よくそこで買い食いをしている。

本当によく食べる。

放っておいたら、無限に食べ続けている様な気がする。

癒し系でもある天珠にとって、生き甲斐なのが食べる事らしい。

又、天珠は鳥に好かれてよく鳥が肩に乗っていたりする天然さを持っている。

側にいるだけで癒されるというか。

だが、天珠は気づいていないのか、それとも、気にしてないのか、ボンヤリとしながら、黙々とただ食べ続けている。

因みに、僕らにも大切なお菓子を分け与えてくれる。

そんな天珠に、手作りのお菓子を僕はよく提供している。

『ありがとう』と言って、嬉しげに受け取る天珠の姿を思い出す。

それが、僕らの友人の一人の天珠だ。

天珠は今日は休みで居ないが、朱雀や雪斗と同様に天珠も大切な僕の友人の1人なのである。


「でも、朱雀。

それは流石に…。

お菓子の雨が降るのは科学的にも今の所は不可能かも。

降ったら楽しそうだけど」

仮にお菓子の雨が降ったとしても、お菓子の雨が降っただけで天珠が治るとは考え難い。

かなり喜ぶであろう事は予測出来るけど。

お菓子の雨が降ったら、きっと天珠は家から飛び出して、お菓子を拾い集めそう。

「そっか〜…

今の段階じゃ難しい話か。」

朱雀の言葉を聞いた雪斗は、真面目な顔をして何かを考えている。

暫くの間、何かを考えていた雪斗は、漸く何かを思い付いたように口を利く。

「それは無理だな。

今の段階じゃ難しいというよりも、この先も難しいと思われる。

何せ、お菓子の雨を降らせるなんて、今の科学はそこまで発展していない。

お菓子の雨を降らせるならば…」


お菓子の雨を降らせる方法について、雪斗が首を傾げて難しげな表情で、どうしたら実現するだろうかと更に考えている。

普段、雪斗は眼鏡をかけているのだが、その眼鏡を一度かけ直す仕草をする。

それから、お菓子の雨を降らせる方法について論理的に語り始めた。

「現実的に、お菓子の雨を降らせるとして…

今のところは不可能だ。

そもそも、お菓子が降ってきたら怪我をする者が出る筈だ。

メルヘンチックで、楽しくもあるが、頭上を通過する菓子の山など危険と言っていいだろう。

雨は自然的な現象だ。

それ故に菓子は人工的な物だ。

自然の摂理に反している。

それを空から降らせると言うなら…」

雪斗がブツブツと1人、早口で呟いている。

朱雀は耳を塞ぐ仕草をすると、盛大に大きなため息を吐き出す。

「ああ…。

また始まった‼︎

雪斗の論議…

こうなると長くなるぜ…絶望的…

始業までもう少しだってのにな」

「うん、始まったね…」

お菓子の雨。

その話題から、雪斗が本格的に実現させる方法について、思考を巡らせる。

そうして、議題の様に論理的に講論する。

雪斗は頭がいいが、語り始めると長くなるのが毎度の流れだ。

然も、頭がいいから余計に答えが出ないであろう事についてはより深く思考を巡らせて、解決策を見つけてくれようとするので、何とか解決に導こうと正答を探そうとする。

そうすると、この様に論理的になって一層、話が長くなるのである。


「あー、パスパス!

雪斗の話は時々やたらと難しいんだよ」

朱雀の言う通り、ここで止めなければこの話は続くだろう。

「ごめん!雪斗!僕も今日はパス。

授業もそろそろ始まるし、また後でじっくりと聞くから。」

「む…これからがいい所なんだが。」

「うん、後で聞くよ」

(真剣に語っていた手前、少し申し訳ない気持ちになるけど)

「そうか。

ならばこの話題は取っておくとしよう。」

「うん、お願い」

「よし、よくやった!愛琉。

コレで、長々とした雪斗の話を聞かずに済むってモンだ。」

雪斗には悪いけど、また後で聞く事にした。

「で、お見舞いの話だけど、どうする?」

「じゃあ今日は、俺が放課後顔を出してくるぜ!

後、ノートやプリントも心配するな。

天珠と家は近いし、何度も行ってて行き慣れてるから帰り際にでもちゃーんと持って行くぜ!」

「うん、それなら朱雀に頼むね」

朱雀なら通い慣れているし、間違いはない。

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