空想と現実と
子供の頃思ったことがある。
猫はいいなぁって。
勉強しなくていいし、一日中寝てるし。
怒られないし。
私は大人しい子供で、ひとりで遊ぶのが好きだった。
将来なりたい夢はあったけど、とうに諦めた。
ニャー
飼い猫のミーちゃんを撫でる。
現実逃避かな。
『気持ちいい』
声が聞こえた。
ん?
周りには誰もいない。
猫を撫でる。
『もっとなでなでして』
え?
この声は猫?
しゃべっている訳ではない。
鳴いていない。
猫を覗き込んだ。
『なぁに?』
私、猫の声が聞こえるようになっちゃった!
ちょっと待って。
そんなことあるわけではない。
そーっとミーちゃんを触る。
『どうしたの?みゆきらしくないよ。』
「わぁ!」
思わず声をあげてしまった。
猫のミーちゃんもびっくりしている。
猫の声が聞こえる…。
どういうことだろう。
っていうか今は現実なのだろうか?
悲観しすぎて幻聴が聞こえているとか……。
ぶに。
顔をつねってみた。
「痛っ」
どうやら本当らしい。
私はミーちゃんに触ると、思っていることがわかってしまうらしい。
っていうか撫でるたびにこれでは癒やされない。
落ち着かないよう。
ニャーニャー
ミーちゃんは不思議そうにみゆきを見つめていた。
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