第4章 初めまして殿下の学友
第4章 初めまして殿下の学友
その日のお昼ごろ
私は殿下に言われた通り、殿下の執務室の前に来ていた。
フーと息をひとつついて、トントンと執務室のドアをノックした。
「はい」
中から、ナディア様モードの琉斗の声が聞こえてきた。だから、私も亜依ではなく、アーネスト王太子妃殿下モードで答えた。
「アーネストです」
すると、中から返事が返って来た。
「入ってくれ」
今度は、ナディア様モードではなく、琉斗の素の声だった。だから、私も亜依として素で返事をする。
「失礼します」
ドアを開けると、琉斗の他にもう1人、琉斗と同じくらいの歳の男性がいた。
「アーネスト。わざわざこちらに来てもらってすまない。」
「いえ、私はナディア様のように忙しくはありませんから、構いませんよ。」
そういいながら、私たち3人は昼食の席に着いた。
「ああ、そうだ。朝話したのは、彼のことだ。」
琉斗がそういうと、琉斗の隣に座っていた男性が頭を軽く下げた。
「彼は、私の学友で今は側近の1人だ。」
「初めましてといったほうがよろしいのでしょうか?フェン=リルです」
「フェン=リル?」
「和が家の苗字はとても長いので正式書類以外は略称で通ることになっているのです。どうぞ、フェン=リルとお呼びください。」
「わかりました。よろしくお願いします。フェン=リル。いつも、ナディアが世話になっています。」
「いえいえ、いつも助けられてばかりで、より一層自分の仕事を努力してつかえたいと思っております。」
「よろしくお願いします」
「さあ、お硬い挨拶はこの辺にして昼食にしよう。亜依は苦ではないと思うが、フェン=リルは今の状況がとても苦だと思うからな。なあ、フェン=リル」
「おまえ、気づいててそのままにしといたのかよ」
「亜依は記憶を失っているから、おまえと初対面となるわけだ。1番最初の挨拶ぐらい、公爵公子として、また私の側近の1人として私の妻にはしっかりとした挨拶をしてもらわなくてはならない。」
「まぁ、そりゃそうか」
「亜依。フェン=リルの素は、こっちの打ち砕けている話し方の方だ。」
「改めて、よろしくな。姫さん」
「はい」
そして、私たちは笑いながら楽しい昼食タイムを過ごした。
「じゃあ、フェン=リル。私と亜依はこの後、公爵と会うことになっているから、そちらは任せた。」
「了解」
そして、私と琉斗は、謁見の間に移動した。