第3章 2人の朝
第3章 2人の朝
ナディア様が琉斗だとわかった次の日の朝私は琉斗との朝食のために中庭へと足を進めていた。
ちょうどその頃、中庭では琉斗がいえ、ナディア様が昔からの学友であるフェン=リルと話しながら、アーネストのことを待っていた。
「姫さん、記憶失くしちまったんだったな。」
「ああ、だが、問題ない。」
「何の思い出もないんだろ?」
「私が思い出になるようなことを彼女にしてない」
「まぁ、そうだな。」
「これを機に彼女との時間を大切にして行くつもりだ」
「ふーん。フフッ。」
「何か、変なことを言っただろうか?」
「いや、お前に大切なものが出来たんだなぁ〜と思って。」
「2度同じ過ちはしない。」
「で、何でいきなり自分から朝食を誘うことになった。姫さんにそんな劇的な変化が現れたか?」
「見ればわかる。今日は昼食後に公爵との会うことになってる。アーネストにも出席してもらうから、昼食も誘おうと思ってる。その時はフェン=リル。お前も同席するといい」
「了解」
そうしていると、中庭にアーネストがやってきた。
「おはようございます。ナディア様。お待たせしました。」
「構わないよ。アーネスト。」
そして、2人の朝食は進んでいった。
「亜依?」
「ん?」
「今日なんだけど、俺たちを招待した公爵が謁見を希望してきたから俺は出席することになったんだけど」
「そうなの?」
「ああ、この前のことを謝りたいんだってさ。」
「そうなんだ」
「もし良かったら、亜依も出席してくれないか?」
「何をすれば良いの?」
「基本は、俺と公爵との話だから俺の隣で座っていてくれればいい。」
「わかった。なら、出席する」
「ありがとう。あと、公爵と会うのは昼食後だから2人きりとはいかないが一緒に昼食を食べないか?」
「良いの?」
「ああ、昔からの学友で今は俺の側近として働いている人の1人を紹介しておきたい。」
「わかった。」
「そろそろ、あの2人が来る頃かな」
「玲と晴なら、さっきからそこにいるわよ。玲、晴。入っていいわ」
「失礼します」
「じゃあ、アーネスト。また後で」
「はい。」
そして、ナディア様の姿が見えなくなってから玲と晴が順番に質問してきた。
まずは、玲が
「また後でとは」
「昼食後に公爵と会うことになったので、昼食も殿下と共にすることになったから、また後でということ」
「なるほど」
次は、晴が
「いつから妃殿下のことをアイとお呼びになっていらっしゃったのですか?」
「昨日かな。記憶にある範囲だと」
「なるほど」