第2章 衝撃の事実発覚
第2章 衝撃の事実発覚
その日の午後3時ごろ。私の部屋に殿下がいらっしゃった。
「玲、晴。アーネストと2人きりでティータイムにしたい」
「お茶とお菓子の準備は妃殿下用のがもう整えてあります。殿下もご一緒ください。」
「分かった。玲、ありがとう。では、1時間後には、私は向こうに戻って公務の続きをするから、時間になったら教えてくれ。」
「畏まりました。」
玲と晴が答えて、2人は部屋を出ていった。
「アーネスト。心無いことなら、聞き流してくれて構わない。お前は、亜依だろ?」
「えっ?!」
私は、その発言に驚いた。
しかし、それ以上にその発言をした人物の声色、表情、オーラが誰かに、そうだ。元の世界での彼氏にそっくりだったのだ。
私は思わずその場で言葉を失ってしまった。
「やっぱり、お前、亜依?」
私は、コクリと頷いた。
そして、
「じゃあ、やっぱり琉斗?」
「ああ」
殿下はそう答えた。
そして、
「朝会った時に、もしかしたらと思ったんだ。見た目は違うけど、声色、表情、オーラが全く同じだった。」
「琉斗はナディア様になってたよ。声色も表情もオーラも。」
「そう?」
「うん。だから、朝は本当にそっくりさんなのかと思ったもの。それと同時にとっても寂しかったし、悲しかった。琉斗に似てるのに違う人だなんてってね。でも、今もう一度会って、やっぱり琉斗だなって思ったよ。」
「俺が目覚めたのは、こっちの世界では殿下と妃殿下が湖に落ちた1時間後だったから、正直いろんなことが混乱していたんだ。」
そして、琉斗はその時の話をしてくれた。
琉斗が目覚めた時、部屋の中は自分1人だったが、自分の服装を見て、自分が転生したことを悟ったという。
そして、家臣が部屋に入ってきて指示を仰いできた時に自分(琉斗)としては決して何を言ったら良いか分からないが、頭の中に答えが浮かんだのだという。
琉斗はその時に今の自分に自分(琉斗)の記憶だけでなく、記憶としてはっきりは覚えていないが必要な時に必要な情報が記憶の奥底から浮き出てくるのだという。
そして、その知識を利用して、王都に帰ってきたのだという。
妃殿下が目覚めないというのは心配していたが、犯人探しに全力で取り組んでいたそうだ。
その間に自分が書いた日記を読んで殿下が27歳であること、妃殿下が16歳であること。
自分は大学の学部を2つも卒業しているのに、まだ大学に籍を置いていること。
妃殿下は、大学には行っていないが最高レベルの大学の首席卒業レベルの学力を持っているそうだ。
「私もあるよ。琉斗と同じ体験を今日の朝、琉斗と会ったときにした。」
「そっか。なら、特別困ることはないな。」
「うん」
「これから、なんて呼ぼうかな」
「名前はアーネストだけど、亜依でいいよ。」
「えっ」
驚いたように琉斗がいう。
「アーネストのこちらでの愛称は、アーニー、アイらしいから。」
「なら、アイって呼ぶ。」
「琉斗のことは…」
「俺のことは、ナディア様って呼ぶのが1番無難だと思う。」
「そっか。分かった。」
「2人だけの時は、琉斗って呼んで」
「うん。ナディア様って呼ばれるのはあだ名だと思ってなよ」
「ああ。」
「琉斗、公務は、忙しくない?」
「大丈夫。」
そこに、トントンとドアを叩く音がした。
「もう、1時間か。。。2人とも入ってくれ」
「失礼します」
玲と晴が申し訳なさそうに入ってくる。
「時間なのだろう?」
琉斗が声色、口調、オーラを変えてナディアとして2人に聞く。
「はい」
玲が答える。
「では、アーネスト。私は、公務に戻る」
「はい。わざわざありがとうございました。公務の際も無理はなさらないでくださいね。」
「ああ。では」
「はい」
そして、ナディア様(琉斗)は、自分の宮に帰っていった。