第11章 前日
第11章 領地視察という名の旅行(前日)
明日からはいよいよ領地視察だ。
楽しみと思う気持ちが強すぎてなかなか眠れないでいた。
『カラン、ロコン、カラン…』街に時刻を知らせる鐘の音が鳴り響く。
これは23時を知らせる鐘だ。
そろそろ寝ないと本当に明日、起きれなくなる!
そう思ったときドアを控えめに叩く音がした。
『トントン』
「はい」
私が返事をすると…。
「俺だけどいい?」
ドアの外から琉斗の控えめな声が聞こえる。『いい?』と聞くのは明日のことを思ってだろう。
私は返事をせずにドアだけを静かに開けていった。
「どうぞ」
「ありがとう」
そして、私達はソファーに腰掛けた。
「夜遅くにごめん。もう、寝るところだったよな」
「ううん。それは別に構わないよ。夜着でゴメンね」
「いや。全然大丈夫」
「で、どうしたの?」
「これを渡しに来た」
そういうと琉斗は私に琉斗が普段使っているカフスを手渡してくれた。
「えっ」
私が思わずいうと、琉斗が
「これはプレゼントするから、お守りがわりに明日からつけていてくれないか?」
「普段使っているものをもらっていいの?」
「普段使っているものだからこそもらってほしい。」
「わかった。嬉しい。ありがと」
「あぁ、それじゃ明日な。そろそろ寝ないと美容にも良くない。」
「うん。そうだね。もう、寝ようかな」
「ああ、そうしろ」
そういうと琉斗は私の体をフワリと持ち上げるとベットに大事そうにフワリとおいてシルクの布団を私の上に掛け、
「おやすみ。明日の朝は俺がこっちに朝食を食べに来るから朝の支度が終わったらいつものところで」
「うん」
「おやすみ」
「おやすみ、琉斗」
私がそういうと琉斗が触れるだけの優しいキスを落とした。
それから間も無く私は眠くなって来てしまい目を閉じた。
眠りにつく前に声が聞こえた。
「おやすみ。亜依、良い夢を」
これは私の出発日前日なのでした。