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異世界放浪記 ダンジョンマスターの憂鬱

 古城探索


 どうやら古城の側面に出たらしいがどうも様子がおかしい。

 人が住んでいないはずだが明かりが灯っている、どうやら盗賊系統の住処になっているみたいだが、ここのモンスターはそれほど弱くはない。

 そこそこ腕の立つ者がいると思った方がよさそうだ。

 「ご主人様、中々立派な城ですね。居城にしてはいかがですか?」

 アリスはそんな事を言っているが虎族やエルフ、その他の部族もいるとなるとちょっと嫌だが。

 「ご主人様のお家ですか?アリス姉様、これだけ広いと掃除も大変ですよね。」

 アリシアは呑気な事を言っている。虎族の戦士たちは明かりのある事を確認するとジーギが話掛けてくる

 「ちょっといいか?どうやらここが奴隷狩りの本拠地で間違いなさそうだ。おそらく結構な人数の冒険者崩れが居るだろう。このまま攻め込むのはマズいと思うぜ?」

 ジーギは顎で城壁の上を指す。目を凝らすと何かが動いているのが微かに見える。

 「見張りか、明かりも持ってないって事は警戒しているって事か?結界があるのに。」

 「いや、多分だが結界に入った時点で警報が鳴るとかじゃ無いのか?」

 ジーギが予想を言うがそこまで用心する意味が解らない。城門を閉めて籠城してしまえば手も足も出ない。別の何かがあるんじゃないかと予想する。

 「じゃあ、部隊分けといこうぜ。俺達3人は城の裏手に回ってみる。お前たちは城門の入口の見張りと周囲の警戒を頼むわ。それからあまり森の中に入ると結界に捕まるから気を付けてな。」

 そう言い移動しようとするとジーギが待ったをかける。

 「おいおい、信用できないお前達を勝手に行かせる訳にもいかんだろう。俺もついて行くからそのつもりでな。」

 にやりと笑いこちらに合流してくる。俺は諦めて行動を開始する。

 目的も無いので城の裏側に回るがたいして変わり映えは無い。ただ城壁の上には警戒しているのか数人の人影が行き来する。

 「で、どうするつもりだ?これだけ警戒してるのは異様だが何か策でもあるか?」

 俺はどうするか思案しながら周りに声を掛ける。勿論、俺達だけならダンジョン化すれば状況はこちらの有利に運ぶ事は出来るが。虎族が邪魔でそういう訳にもいかない。

 ダンジョン内でなら多少の無茶は出来るが、ダンジョン外では能力の殆どが使えないので無理はしない。

 「忍者なら潜入はお手の物じゃないのか?水の上を走ったり、壁を走ったり。」

 ジーギがそんな事を言いだすが出来ない事は無いが、したくはないと言うのが今の状況だ。こちらにはリスクだけでメリットが1つも無い。

 「残念だが水走は出来ん。壁走りは出来るがあの城壁を登り切るのは無理だ。」

 俺はジーギの提案を不可と答えておく。・・・何か違和感を感じるために止まる。

 「おい、ジーギ。あそこを見ろ、何かおかしいと思わんか?」

 俺が指さす場所を目を凝らしてジーギが見る。

 「何がおかしいかが解らんが?・・・何処が・・・排水溝か。って事はあそこから入れるのか?」

 「おいおい短絡過ぎるだろう。この堀に何もいなければの話だろう。ここまで警戒してるんだどうせ何か飼ってるのが常識だろ。」

 モンスターなら寝る事も無く活動する奴もいる。行く気にはならないが候補として覚えておく。

 「この手の城なら何処かに秘密の抜け道があってもおかしくないんだが。」

 俺は森の中に戻る。相場では城の裏側で離れた所が怪しいんだがそんなに簡単には無いよな。

 「ご主人様、あの木がおかしいです。多分、強力な幻覚魔法がかかってます。」

 アリシアが1本の朽ち果てた巨木を指さす。・・・マジでアリシア、チートだな解るのかよ。

 調べてみるが全然解らない、触ってみても違和感もないんだが。と思っているとアリシアが木の中に消えた。・・・え?消えたってどういう事。

 消えた位置を調べるが木の感触で中に入れる様子はない、暫くすると出て来た。

 「どうやら神聖魔法のようですね。術者と一緒になら入れると思いますよ。」

 そういってアリシアは手を差し出す。その手を握って俺はアリスに手を出すとおっさんが手を握る。

 「なんでおっさんが握るんだよ?俺はアリスに手を出したんだぞ。」

 俺の物言いにジーギはやれやれと言う表情で答える。

 「俺が嬢ちゃんの手を握る訳にはいかんだろう。我慢しろ、中に入ったら好きなだけ握ればいい。」

 ニヤニヤしながら可笑しそうに笑っている。アリスの手を握ろうとしたのが見透かされた様だ。

 勿論アリシアは嬉しそうに手を握ってくれている、と言うか離す気がないようだ。

 中の入ると異様な匂いが立ち込める。何かは解らないが、ホコリがうっすらと床に積もっている所を見るとかなりの月日が過ぎているんだろう。

 しかし、この長い年月を結界魔法が持つのか疑問に思っていると

 「ご主人様、結界用の魔力が上に保管されていますが行かれますか?」

 「見に行けるなら見に行きたい。出来るなら回収したい。」

 俺の返事にアリシアは困った表情を浮かべる。何かマズい事でも言ったか、もしくは不可能な事をしようとしたのか?

 「案内しますが、気を付けてくださいね。何かがいます。」

 そう言いながら何もない場所に歩いて行く。勿論、手は繋いだままだ。

 「どこへ行くのですか?まだこの階の探索は終わっていませんが。」

 アリスの不機嫌そうな声に俺はどうしたものかとため息をつくと

 「アリス姉様、上にこの結界を維持している者がいますそちらを先にかたずけませんか?」

 小声で言うアリシアの問いにの答えを出したアリスは俺の腕に抱き付く。

 ジーギから見たら何かの結界の中で安全地帯な感じの場所に来たのでイチャイチャしている様に見える。

 さて何が出るか。嫌な予感しか、しないんだがどうして家の女どもは楽しそうなんだ。


 

 

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