異世界放浪記 ダンジョンマスターの憂鬱
神々の箱庭4
「無論、神を倒せなど無謀な事は言わん。まずは3勝じゃ。」
カルディナは指を3本立って宣言をする。・・・彼女にとっては無謀な事ではないらしい。
俺は問題点をあげる事にした。
「簡単に3勝と言うが、こちらは戦いの素人だぜ、勝算はあるのかい?地の利も無いんだろうし。」
そんな言葉にカルディナは説明を続ける。
「戦いの素人でも仲間の援護があれば何とかなるじゃろう。そして地の利じゃが、こちらにある。そなたは地上での戦いを想定しておろう。前提が間違っておる。」
カルディナはゆっくりと中央に歩み寄ると、そこにはいつの間にかテーブルにイスが2脚おかれていた。
おもむろにテーブルの上のベルを鳴らすと1人少女が姿を現す。まだ幼さを残す容姿、10代前半の少女のメイド姿。容姿はカルディアを幼くした感じでかなりの美少女だ。・・・言うまでもなく胸は残念だが。
「お茶を用意しとおくれ。それと倉庫とこの神殿にあるめぼしい物は総てお前のマジックパックにしまっておくれ。妹のカルディナの荷物も頼むよ。」
そう言い放ち手を払うそぶりを見せる。
「もう少し柔らかく言えないのか?そんな雑な扱いでは可哀想だろ。」
つい俺はそんな事を言ってしまった。主従関係をどうこう他人が言うのは筋違いである余計な事を言ってしまった事にバツが悪いのでメイドの後ろ姿を眺める。
「あれはマギカドールで、人ではない。意思も無ければ言われた事をこなすゴーレムの様なもんだよ?」
「・・・・アレ、人じゃないのか?マギカドールってのはスゲーな。」
メイド服の少女がお茶を入れる動作は人のそれとは区別もつかない程だ。
「魔導擬人化人形{まどうぎじんかにんぎょう}、妹が作り上げたこの世界でただ1体の最高傑作品だよ。おそらく最強の人形だね。妹は引きこもりがちでな、私以外には話そうともしなかったんじゃよ。そんな妹は人形遊びが大好きでな、その結果がこれじゃよ。」
そう言いながらメイド服の少女を見るカルディナは寂しそうに見える。
「先の仲間の件じゃが、これをお前が使役せよ。最強のガーデアンになるじゃろう。裏切る心配も無いし、このマギカドールは契約者以外の命令には従わん。いざという時は召喚も可能じゃ。」
取り敢えずの戦力ではなく、必勝の戦力を授けてくれたみたいで俺は少し勝ち目を見いだせた。
「そうそう、契約者になりたければあの人形を愛玩具として可愛がってやらんと行かんがな。毎日可愛がって魔力を注いでやらんとパワー不足で役に立たんようになるからの。」
いきなりハードルが跳ね上がったのを感じる。俺が睨むとカルディナはお手挙げという格好をしている。
「妹がそういう仕様にしたんだよ、多分、この箱庭を見越していたのかもしれないね~。取り敢えず時間が無いから、さっさと契約しといで十分な魔力の補充も忘れるんじゃないよ。」
もう1度ベルを鳴らすと、マギカドールが戻ってくる。・・・いや、あれとするは犯罪だろ。
「契約しないのかい?それならお前さんの魂を消し去って適当に作った魂でも・・・」
「頑張ってきます、魔力というの補充と言うのが解らないので説明してもらえるのかと。」
俺は慌てて否定をすると説明を待っていただけだと言い訳する。魂を消されたらたまったもんじゃない。
「別に難しい事じゃないさ、まんま人形の中に出せば良い。」
「・・・それって犯罪じゃねえの?俺、捕まらない?」
カルディアのセリフに俺は茫然と聞き返していた。気持ちの整理がつかないよやべ~よ、マジで死ぬの。
「人形相手に犯罪のクソもあるもんかい。それにこれから行く箱庭の世界は人間と天使族は12歳で婚姻が可能だよ。因みに獣人族は10歳、竜人族は20歳、魔族は制限すら無い。覚えときな。」
そう言われた俺は理解が出来なかったが、目の前の少女の言葉で納得が出来た。
「ご主人様、この世界での平均寿命は40歳です。本来ならばもう少し早く婚姻を認めたいのでしょうが、12歳以下の子供の死亡率が高いために12歳が婚姻年齢になっております。勿論、戦争や魔物に襲われて亡くなる方も多数お見えです。」
13歳で子供を産んでも成人した時は25歳、しかも死亡率が高いなら人数産まないと生存率が下がってしまう。戦国時代と同じか、あの頃は8歳とかでも婚姻してたみたいだからな~。
そんな事を考えていると、そのまま引きずられる様にして部屋の中に連れ込まれた。
「では契約を始めましょう、方法はご主人様のお好きな様にしていただいて構いません。」
服を脱いでたたずむ少女相手に頑張りました。物凄く頑張りました。大事な事なので2回言いました。
結果から言えば魔力の補充率は30%程になったそうです。因みに補充前は2%程度だったそうですが。
カルディアの前に戻ってきた俺達に対いて
「ずいぶんと頑張ってたみたいじゃないか。準備が終わったら一休みして、もうひと頑張りしときな。ご主人様の物が無いと生きていけない躰にされた可哀想なお人形為にね。」
にやにやしながらそんな事をのたまうカルディアを見るとテーブルには金属の板の様な物が・・
「おお、これかい?これはお前さんのステータス版だよ。」
金属に板を渡されたが、思った以上に軽い。しかしながら板の表面には何も書かれていない。
「登録を始めるよ、まずはその板に血を垂らしな。そうしたら次に魔力を流し込む。」
俺が血を垂らし、魔力を流し込むのに四苦八苦していると後ろからメイドさんが抱き付き
「ご主人様、念じるのではなく板に送り込む想像を。」
そんな甘いささやきと小ぶりな柔らかい感触を背中にアドバイスを授けてくれる。
・・・・
HP 600
MP 500000
AT 367
DF 559
眷属
・・・
隷属
ー
DP 100000P
BP 1000P
と書かれている。 無茶苦茶簡素だ、何故魔力だけ異様に高い?
そんな疑問を浮かべているとカルディナが覗き込み、声を出して笑う。
「ハッハッハ、こりゃ良い。さぞかし限界まで頑張ったんだね。ヒッヒッヒッヒ、ああ苦しい。」
テーブルを叩きながら笑うカルディアを冷たい目で見ていた俺に対して。
「いや、頑張れとは言ったが、ここまで頑張らなくとも良いのではないか?獣の様にどれだけやったのか解らんがこの数値では女の方が持たんわ。ハーレムでも作るつもりか?」
カルディアの言葉の意味を考えながら隣に来た少女を見ると
「先ほど、頑張って頂いた結果ですわ。HPはご主人様がしていた時間相当、MPは放出した精力相当です。ATとDFはその・・・ごにょごにょ。」
と説明されてしまった。が、いったいどう言う事なのかサッパリ意味が解らない。
「何、ちょっとした裏技さね。お前さんがここに来た時点での数値は半分も無かっただろうね。MPなんざ100もあればいい方さ。で、マギカドールを使ってする事によってその能力を引き上げる様に言っておいたのさ。流石に10時間もやり続けるとは思わなかったがね。ま、マギカドールが上手く誘導したのも大きいだろうが。ATはそこそこ高い数値が出てるが、DFはどんなけ我慢してまでやったんだい?しかもMP、どんなけ精気を中に出したのか。回数かの?それとも量か?」
「それはもう、ご主人様の「わーーーー。」」
危ない所だった、可愛く両手で頬をはさみながら恥ずかしそうに暴露される所だった。
しかも、時間の感覚も無かったので限界まで粘ったら10時間って病気だろうか?
「ところで、名前を登録がしてないようだが?それにマギカドールの名前もね。」
そう言いながら板を返すカルディアに
「名前?俺とこの子のか?」
「そうさ、お前さんは自分の名前が嫌いだと言っていたじゃろ。だから名前はあえて消してあるんじゃ。しかも眷属のマギカドールの名前も無い。ちゃんと登録しておけ。」
「じゃ、ダークネスとかで良いかな。この子はイナズマが良いけど可愛く聞こえないからアリスで。」
ダークネス
HP 600
MP 500000
AT 367
DF 559
眷属
アリス
隷属
DP 100000P
BP 1000P
こんな所かな。
取れ会えず主人公の煩悩でMPだけチートにしてみました。(笑)