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彼女のとなりで。
飛び越えてしまおう。
目の前に、ちょうど身長と同じくらいのフェンスがあった。
手を伸ばし、よじ登る。
その途中振り向くと僕の両親や、学校の先生達。大人達が、そっちはやめた方がいい、と言った。
絶対やめろって言ってたかな。
振り返ると身長と同じくらいって思って見ていたのに、全然そんな事ない。戻れないんだ、そう言う高さ、思い込みかもしれないけれど。
頂点に手をかけ、体を持ち上げた。
両親を殺し、感情のむしゃくしゃで人を襲い。全力で振るった金属バット。
僕はバカだね。
君は今どこ。
ヘコんだ金属バットをあの娘の実家の玄関先に投げ入れ、玄関の柵にもたれかかり、まぶたをとじた。眠いから……。
都合のいい、彼女の幻覚が現れて僕の頭を撫でてくれた。




