赤い花
とりあえず、初短編ですね。
ちょっと鬱。嫌な人は180度回転で…
∞ ∞ ∞
目が覚めた。
「おはよう真理」
私はベッドから身を起こすと部屋の中に居た彼女にそう言った。
すると彼女は私に微笑んでくれた。
私も微笑み返し、そのまま窓から景色を見る。
外には雪が沢山積もっていた。
いったい昨日の内にどれくらい降ったのだろうか?
まぁ、別にそんな事はどうでもいいけれど…
ベッドから抜け出すと顔を洗うため洗面所へ行く。
真理は後ろからぺたぺたと付いて来た。
顔を洗い終えると自室に戻り、
学校に行くためパジャマを脱ぎ制服に着替える。
「おかしい…」
普段なら今頃お母さんが「朝ごはんだよ」とか呼んでくれるのだが、
今日に限ってその声が聞こえない。
それどころか料理の音、というより人の気配すらしない。
「どう思う真理」
振り返り真理に聞く。
彼女は困ったかのように頭を横に振っている。
仕方がない、まずリビングに行こう。
そう思い2階から1階に降り、リビングへ向かう。
しかしお母さんもお父さんも居なかった。
靴はどうだろうか?
玄関に向かう。
やはりと言うべきか、靴も無かった。
「どうしたんだろう?」
不安がこみ上げてきた。
だが私には学校がある。
多分お父さんは会社かな?
お父さんはまあ分かるがお母さんは本当に何処か分からない。
でもお腹減ったな。
「真理もお腹減ってるよね?」
真理はこくこくと頭を縦に振っている。
全く、分かり易い子なんだから。
お母さんには申し訳ないけれど冷蔵庫を漁らせてもらおう。
冷蔵庫を開けると最初に卵が見つかった。
あとはベーコンにジャム、麦茶、牛乳。
フルーツゼリーなども入っている。
冷凍庫には今用は無い。
そして野菜室にはトマトやキャベツ、ブロッコリーなど。
これだけあれば十分ね。
私は棚の中から食パンを取り出すとトースターの中に入れる。
次にフライパンを取り出し少し油を垂らした後、
ベーコンと卵を入れる。
じゅーっという音が聞こえ、卵白がすぐに白くなっていく。
トースターはすぐにチンという音がし、狐色に焼けた食パンが出てきた。
いちごジャムを食パンに塗るとお皿に乗せ、テーブルに置く。
そしてその後すぐベーコンエッグを違う皿に乗せ、
六つ切りにしたトマトも乗せる。
立派な朝食の完成だ。
「それじゃ食べようか真理。真理?」
いつの間にか真理が居なくなっている。
せっかく2人前作ったのに何処へ行ったの?
…いずれ戻って来るよね。
私はTVを点け、朝食を食べ始めた。
『今日午前4時頃~町~市の~山でバラバラに切断された
男性と女性が見つかりました。損傷が激しく、
いまだ誰かは確定出来ませんが…』
物騒な世の中だ。
どうして殺人など起こるのだろうか?
人を殺しても何も意味など無いのに。
そう色々考えていたら朝食を食べ終わった。
食器を流し台に置き、水に浸しておく。
デザートにフルーツゼリーを食べ終えるとTVを消した。
自室に戻ると教科書の入ったカバンを肩にかける。
もちろんマフラーと手袋は忘れない。
そして玄関で靴を履く。後は学校に行くだけだ。
ふと、気配がしたので後ろを向く。
真理が寂しそうな目で私の事を見ていた。
「どこに居たの?」
真理は何も答えず、ずっと私の事を見つめている。
そんな顔をされたらこっちも悲しくなってくる。
私は、はぁ…とため息を吐いた。
「学校に行って来る。いい子で待っててね」
真理はしぶしぶという感じで頷く。
それを確認したあと私は家を出た。
学校への道を歩く。
途中ゴミが落ちていたので拾い、
近くのコンビニのゴミ箱に捨てた。
「どうしてみんなゴミを躊躇わずに捨てられるのかしら?」
つい独り言を言ってしまった。
別に狙っている訳ではない。
本当にそう思っているのだ。
昔からゴミはゴミ箱に、という言葉を守ってきた自分には
道端に落ちているゴミが許せないのだ。
小学生の時からだろうか…
ゴミをポイ捨てする人を見て怒りを覚えた。
だから私は義善者になりたいと思った。
まぁ、そのせいだったのか、私は小学生の時に虐められた。
中学生の時も、そして今の高校でも…
何がいけないのだろうか?
地球を綺麗にする為に何かをするのがそんなに駄目なのか?
学校に着いた。
下駄箱を開けた瞬間画鋲がざらざら溢れ出た。
こんな事には慣れている。
内履きから画鋲を全て取ると履き替える。
そしてそのまま自分の教室へ行く。
教室に入った途端馬鹿な男子共が突っかかって来た。
「はっ!学校に来てんだよ掃除女!」
「キモいんだよっ!」
「家で寝てろ糞野郎!」
私は野郎じゃないし糞野郎はお前らだ。
私は自分の椅子に座るとカバンから教科書を取り出し、机にしまう。
はぁ…、今日はよくため息を吐く。
ちなみに私の席は1番後ろの端っこだ。
席替えでそこから違う席になった事は無い。
どうせ私を虐めたい奴らがイカサマでもしているんだろう。
「カバン寄越せよっ!」
「あっ!」
一瞬の隙を衝かれてカバンを取られた。
こういうのは無理に取り返そうとしても無駄だ。
それに先生なども当てにはならない。
そしてカバンを取った男子はこう言った。
「よぉしみんなぁ!ここにゴミ箱があるからいらねぇもん入れようぜ!」
次にその男子は色々な席を回っていく。
クラスの皆はいらない物、お菓子の袋や適当なルーズリーフ、
ゴミの無い者はわざわざ消しゴムを擦って消しカスなどを入れている。
私は手が白くなるほど強く握り締め、奥歯をきつく噛み締めた。
しばらくしてゴミの大量に入ったカバンが戻って来た。
今日の授業中はずっと消しゴムのカスが飛んできた。
これは無視だ。
だが、帰りのホームルームが終わり放課後になった時、それは起きた。
「お前ホント学校来んなよ」
しつこい男子がそう言ってきた。
「五月蠅い」
「あんだと!」
本当に五月蠅い。
この時の私はどうかしていたのだろうか。
筆箱からカッターを取り出し、
一瞬でその男子の腹に突き刺した。
「ぐっ、ぶ…」
その男子は口と腹から血を吐きだし、絶命した。
「お、お前!」
この一部始終を見ていた担任は驚きを隠せないようだった。
「えっ?」
ここで初めて自分のした事に気付いた。
私ハ人ヲ殺シタ?
「う、うわぁぁぁーーーーー!!!!!」
私は叫び、カバンも持たずに外へ駆けだした。
いつの間にか空は曇っており、雪が降っている。
今はとにかく何処か遠くへ行きたい。
「私は…人殺し?」
私はいつの間にか立ち止っていた。
だが私は気付かなかった。
ここが道路という事に…
ブブゥーーー!!!
というトラックのトラクションの音が聞こえ、
赤い、紅い、曼珠沙華が白い雪の上に飛び散った…
そう私は人殺し。
お母さんとお母さんを殺し、バラバラにして山に埋めた。
理由なんてもう覚えていない。
本当、私は義善者なんかじゃなくて偽善者なのかもしれないね。
それに分かっていたよ。
真理は存在していないって事も…
私が小学生の時からずっと一緒だったから忘れてたけど。
今になって思い出すなんてね。
もう何もかも忘れてしまいたい。
∞ ∞ ∞
目が覚めた。
「おはよう真理」
うーん、微妙?
ネタ全然思いつかないからなぁ…
ああ、ちなみに 曼珠沙華=彼岸花→ヒガンバナ科→アマリリス→真理
分かりにくいね。
てか、連載小説持ちなのに何やってんだ自分!?