お伽ばなし
〈投票の春雪殘る心揺れ 涙次〉
(総選挙投票日から一夜明けて...)
【ⅰ】
鎌鼬の仔であるぴゆうちやんに、じろさん稽古を付けてゐた。時に得物を取る事もあるじろさんの「古式拳法」である。鎌の使ひ方の指導次第で(このコは將來、有望な戰士となるぞ)と云ふじろさんの思惑は当たつてゐたか、否か。人間型ではないぴゆうちやんに教へを授けるのは骨が折れたが、それでもじろさんにとつて、この稽古は心樂しきひと時なのであつた。
【ⅱ】
「ジロヲヂサン、僕ハ強クナレルカナア」-「勿論だとも。この此井功二郎、それは請け合ふよ」-「早クミンナノ役ニ立テルヤウニ、ナリタイナア」。ぴゆうちやんは健氣である。じろさんはそんな彼が愛ほしかつた。ご存知の通り、ぴゆうちやんは魔界の*「成人式」をすつぽかして、永久に子供の儘この世に留まる事になつたが、そんな「永遠の仔」でも、カンテラ一味に貢献出來る事は嬉しい話であつたに違ひない。ぴゆうちやんだつて、カンテラ一味の必要とする、重要なメンバーの一人なのだ。
* 前々シリーズ第141話參照。
【ⅲ】
庖丁研ぎに慣れた牧野が、ぴゆうちやんの鎌を研いでくれた。「さ、これで切れ味拔群になつたよ」-「ふるサンダウモ有難ウ!」。-そのぴゆうちやん向けの事件が、向かうからやつて來た。「龍卷き【魔】」が人間界に出没し、方々で惡さをしてゐる、と云ふ。一度此奴の起こす龍卷きに卷き込まれると、被害者は悉く魔界に墜ちる。云ふなれば、【魔】候補生を増産する爲に、派遣されて來た、「ニュー・タイプ【魔】」寄りの者なのである。カンテラは嘗て* ルシフェルが似た術を操つた事を、記憶してゐた。で、「魔界健全育成プロジェクト」に赴き、仲本堯佳に化けてゐるルシフェルに、お伺ひを立てたのであつたが...
* 前シリーズ第154話參照。
【ⅳ】
「『龍卷き【魔】』なら、我が直系の弟子ぢや」とルシフェルは事もなげに云ふ。カンテラ「ぢや、彼奴の弱點を知つてゐるだらう」-ルシフェル「まづは本體を斬るぐらゐしか、手立てはないな」-「さうか...」。龍卷きの中に入つて行ける、と云へば、ぴゆうちやんを置いて、一味には他にない。カンテラ思はず、不安が先に立つた。
※※※※
〈革新の血が燃えるなり民である我を忘れず行かうぢやないか 平手みき〉
【ⅴ】
が、じろさんがぴゆうちやんの肩(?)を叩く。「さあ、ぴゆうちやん、事實上の初陣だ。頑張るんだよ」-ぴゆうちやん「任シトイテ!」。ぴゆうちやん、勇猛果敢に「龍卷き【魔】」の龍卷きの渦中に入つて行つた-
【ⅵ】
ぴゆうちやん、「風カラえねるぎーヲ貰フ僕ダ。コンナ疾風ナンテ屁デモナイヨ」-「龍卷き【魔】」、「俺を殺れるもんなら、やつてみろ!」。だがぴゆうちやんが、【魔】の本體を捉へるのに、さう時間は掛からなかつた。「龍卷き【魔】」は敢へなく、ぴゆうちやんの鎌の餌食となつた。
【ⅶ】
【魔】のお蔭で魔界墜ちしてゐた人逹は、かうして解放され、人間界に帰つて來た。「ドンナモンダイ!」と、ぴゆうちやん鼻髙々である。然し、ひねくれ者と云ふのは何処にでもゐるもので、「俺はあの儘【魔】になりたかつたのに... 人間の世界なんて、良い事一つもないぢやないか-」-彼もまた、髙市政権の好餌とする者だつた。彼はSNS上では、「戰爭に行きたい若者」の一人として知られてゐた。
【ⅷ】
カンテラは、その若者を斬るか斬らぬか、思ひ倦ねてゐた。だが彼は謂はゞ、この社會が産み出した「鬼子」の一人ではないか。れいわ新撰組の山本太郎代表になら、分かつて貰へるだらう。結局、カンテラは斬らなかつたのであるが、その替はり(?)、れいわの事務所に激励の手紙を送つた。世にその名を轟かすカンテラからのファンレターに、山本代表は「お互ひ四面楚歌の修羅場を潜つて來た『仲間』として、お手紙樂しく拝讀致しました」、との丁寧な禮狀、及び、謝礼金を送つて來た。
【ⅸ】
カネは薄謝ではあつたが、それでもカンテラは嬉しかつた。ぴゆうちやん、「ドシタノかんサン?」と、にこにこしてゐるカンテラを見て訝しんだが、「いや、これは大人の話だよ」-永田としても、これが大人のお伽ばなしであつてくれるのを、切に望む。
【ⅹ】
結局、カンテラ一味とれいわ新撰組は、共闘する事になつた。別に自民党幹部を斬る、と云ふ譯ではない。そんな事は法治國家である、日本のシステムが許す譯がない(それでもカンテラ、今迄なら斬つてゐたゞらう)。第一、山本代表が許す筈もない。飽くまで、心情上の「共闘」である。カンテラ曰く、これは「こゝから始まる」物語なのだ。お仕舞ひ。
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〈ウォシュレット温水淋し寒き春 涙次〉
PS: 云ふ迄もなく、このお話はフィクションであり、實在の人物・團體とは何ら関係ありません。永田からの一言でした。擱筆。




