(22)カルバンクライン
最上階、キング・スイート・グーデンビューの大きな窓からは、三大ピラミッド、スフィンクス、そして遠くまで広がる赤い砂漠を見渡すことができました。
「すごいわねー」
蛍が圧巻の景色にうっとりとしていると、
「ジャグジーに入りませんか?」と、ジュンが声を掛けます。
ベランダのジャグジーがボコボコと泡を立てています。
湯気の向こうで傾き掛けた太陽が景色に陰影を与えています。
「この景色を見ながら入るジャグジーも素敵でしょうねー」
先ほど、灼熱の太陽に照らされて、蛍の身体は汗で湿っていました。
「リラックスできますよ」
ジュンの優しい声が心地よいBGMのように響きます。
「でも、私、水着持ってないもの」
「用意してあります。さっき下のショップで買っておいたんです」
差し出された物を手に取った蛍が言います。
「これ、下着じゃない?」
「はい、カルバンクラインです。水着は売り切れでした。それとも、ビクトリア・シークレットの方が良かったですか?」
「そういう問題じゃなくて」
「ここは最上階ですから、誰かに見られることもありませんし、大丈夫ですよ」
そう言いながらジュンは自分用の黒いボクサーパンツを広げています。
――何? ちゃっかり私とお揃いじゃない――
蛍は内心思います。
――でも、こんな機会二度とないかもしれないし、それにジュン君は童貞だしね




