(13)チキンフィレバーガー
さて、KFCから飛び出したジョッキが部屋に戻ると、メンバーが思い思いの姿態を披露していました。
ベッドの上の闘四郎は「大」の字です。
床のキースはベッドに片足を載せて時々ぴくぴく動いています。
ソファーで毛布にくるまっている蓑虫の蛍が蚊の鳴くような声でつぶやいています。
「うん、そう、これ、これなの」
ジョッキは、KFCからこぼれないように運んできた言葉をとりあえずぶちまけました。
「蛍ちゃん! ジョンソンの立体っていうのが92個あってね、それぞれにへんてこな名前が付いているんだ。
そのうちの一つに側台塔回転二側台塔欠損斜方二十・十二面体っていうのがあるんだけど。どう? 面白くない?
蛍ちゃんこれで歌詞書いてよ。四角錐であんなカッコいい詩が書けたんだもん。これだったらもの凄いことになるんじゃなかな?」
「違う! そうじゃないんだよ! 俺は蛍とまた音楽がやりたかっただけなんだよ!」
大声にびっくりしたジョッキがベッドの上に目を向けると、バタンと寝返りを打った闘四郎が「K」になったところでした。
「ごめんなさい。もう四股は踏めません。ごめんなさい」
相撲取りにはなりませんでしたが、小さい頃から半ば虐待気味に稽古をさせられていたキースがドタンと寝返りを打つと「F」になりました。
「圭、ごめんね。でも、これが本当の自分だって思うのよ」
蛍がパタンと寝返りを打つと「C」になりました。
「K」「F」「C」
「あっ、チキンフィレバーガー食べ掛けだった!」
ジョッキは窓際の席に残してきたチキンフィレバーガーを思い出して、慌てて部屋を飛び出しました。




