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猫髪家の一族  作者: 真山砂糖
36/45

36 社務所で発見

そして翌朝です。

 八日目の朝を迎えた。朝食は、毎度のように仕出し弁当だった。食後に、昨夜のことを訊くために全員に食堂に残ってもらった。私たちが庭に出ていた昨夜の時間帯に、食堂にいなかった人物について質問した。

「私は、覚えていません。ひょっとしたら、また誰かが殺されたんじゃないかと思って、怖くてここに誰がいたのかなんて全く気にする余裕なんてありませんでした」

 昭恵さんが昨夜の恐怖を思い出すように言った。

「僕も、同じです。恵子の手を握って、ずっとここから村田さんたちを見ていました」

 豊さんが言うと、恵子さんもうんと大きく頷いた。

「覚えてないな」

「同じ」

 弥太郎さんも進次郎さんも、面倒くさそうに言った。

「私は、ここから村田さんたちのことを案ずるので精一杯でしたので……」

「私も、怖くて、恵子ちゃんのそばで震えてました」

「私は磯田刑事の隣で床にしゃがんでいました。とても他のことに気が回るような状態ではありませんでした」

 宇都宮さん、青田さん、赤羽さんも似たような返答だった。全員が、その場にいた人間のことを覚えている余裕などなかったと言った。

 ちょうど聞き終わると、海山刑事が正代さんとララさんを連れてやってきた。正代さんとララさんは食事を取るために、テーブルについた。私たちは海山刑事に詳細を伝えて、昨夜の猫の着ぐるみなどを鑑識係に引き渡し、状況説明のために庭へ出た。


 庭の現場で昨夜のことを説明し、それから戌井さんと猿渡さんの部屋へ向かった。鑑識係が指紋の採取などの調査を始めた。

「村田さん、内部の犯行でしょうかね」

「どうだろな」

「あ、池の捜索が終わったんですが、何も見つかりませんでした。凶器の包丁が見つかるのを期待したんですがね……」

 海山刑事は残念そうだった。そこへ、係長に電話連絡がきた。

「おう、高木か。……。おう、おう……。そうか、じゃ、頼むぞ」

「係長、何かありましたか?」

「おう、小次郎さんの中学の時の同級生が見つかった。その人は看護師をしているんだが、その人の勤める病院に小次郎さんが入院しているそうだ」

「え!? 入院ですか」

 私は驚いた。

「おう、今から高木が病院に確認に行く。それと、中学校時代の写真を貸してもらえるそうだ」

「中学校時代ってー、すっごい昔ですよねー」

「おう、仕方ないだろ。それとな、フネさんが昔東京の酒場で歌っていた時の写真も手に入りそうだ」

 私たちの会話を猿渡さんが感心しながら聞いていた。

「村田、警察はすごいな。もうそこまで情報を集めたのか」

「はい、A県警の協力がありますから」

 猿渡さんと海山刑事はまるで賛美するような目で私たちを見ていた。

「あ、そうだ、権藤さんに弁当届けないといかんな」

 係長は急に思い出した。私たちは “猫猫丸(びょびょまる)大明神神社” へと、仕出し弁当を持って急いだ。


 “猫髪村” の入り口ではマスコミ関係者が前日よりも増えていた。制服警官も増員されていた。私たちは制服警官にガードされて神社へ辿り着いた。

「権藤さん、すみません。遅くなりました。弁当とお茶、三食分」

 権藤さんは社務所の奥の方からどかどかと歩いてきた。

「弁当、わざわざありがとうございます。おや、豊さんはいないんですか」

「はい、我々だけです」

「ちょっと来てもらえますか。見せたいものがあるんです」

 権藤さんは奥の方へ私たちを導いた。そして、上等な箱を開けて、中を見せた。

「この箱だけ、埃のかぶりかたが他のと違ってて、数年くらい前に使われた感じがするんです」

 箱の中には古い色あせた書類が入っていた。係長は手袋をはめてその書類を取り出した。

「それ、見ましたが、意味がわからんかって。豊さんに見てもらおう思ったんです」

 書類には達筆な文字で書かれて拇印が押されてあるものなどがあった。

「これ、屋敷に持って帰って、豊さんに見せましょう」

 係長は書類を箱に戻しながら言った。

「刑事さん、頼んます。そうや、缶コーヒー、よかったらまだまだありますよ」

 係長は権藤さんから缶コーヒーを数本もらって、すごく嬉しそうだった。私たちは屋敷へと戻った。

神社の社務所の奥の宝物殿から、何やら書類が見つかりました。

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