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猫髪家の一族  作者: 真山砂糖
35/45

35 カモフラージュ

吊るされた猫の着ぐるみとかを持って屋敷に戻りました。

 屋敷へ戻り、京子を落ち着かせてから、鍵のかかる部屋を借りて証拠品を置いた。

「おう、マスコミの人間が屋敷内に入ってイタズラしやがったのか? それともただの愉快犯か……」

「係長、殺人自体はすでに報道されてますけど、一般人がそこまでするんでしょうか?」

 私にはマスコミや報道を知った一般人の愉快犯の仕業とはとても思えなかった。

 その時、とてつもなく大きな叫び声が聞こえてきた。

「んまー!! 大変ですわよ!!」

「戌井さんだ!」

 戌井さんの叫び声に反応し、猿渡さんは猛ダッシュした。私たちも後に続いた。


 戌井さんが部屋から出て廊下で狼狽していた。

「戌井先生、どうしました!?」

「大変ですのよ。部屋が荒らされてますのよ」

 私たちが部屋に入ってみると、カバンの中身が全て出され、押し入れのものも、戸棚のものも畳の上に乱雑に散らされていた。

「何だ? 屋敷の中で物取りかよ」

「村田、俺の部屋、見てくるわ」

 猿渡さんは自分の部屋を確認しに行った。

「係長、誰かが屋敷に侵入したのでしょうか?」

「んー、どうだろうな」

「あら、猿渡先生が叫んでますわよ」

 私たちは猿渡さんの部屋へ行った。

「村田、やられた」

 猿渡さんの部屋も同様に荒らされていた。騒ぎを聞いて駆けつけてきた豊さんに、他の人たちの部屋のチェックを頼んだ。幸い、私たちも含めて、両弁護士以外の部屋は異常なしだった。

 私たちは手分けして盗まれたものがないか確認しながら、戌井さんと猿渡さんの部屋を片付けた。二人とも、盗まれたものは何もないということだった。

「あらまー、私の大切な占い犬が壊されてしまいましたわ」

 戌井さんは犬占いに使用する犬の人形を手に持って嘆いていた。よく見ると、耳や脚が折れたり曲がったりしていた。

「この犬の恨み、必ず犯人に跳ね返りますわよ!」

 戌井さんの背中から負のオーラが出ていた。まるでバブルで手痛い目にあった人たちの怨念のようなオーラが。


 客間へ戻り、係長はまたコーヒーを飲んでいた。

「おう、庭に吊るされてた猫の着ぐるみ。あれにみんなが気を取られてる間に、戌井さんと先輩の部屋が荒らされたんだな」

「そうですね。しかし、何も盗まれてないというのが気になります」

「小春ー、犬の人形を壊すのがー、目的だったとかー」

「え、京子。それ、何のために?」

「たぶんー、猫田一族の誰かねー。猫だからー、犬を嫌ってるのよー」

「おう、そんなことのためにリスクを取るのかよ」

「係長、私たちが庭へ向かった時、食堂には確か全員いたと思います。私たちが戻ってきた時、その時食堂にいなかった人物が怪しいですね」

「おう、確か、食堂から出てすぐに庭へ走った時は、弥太郎さんもまだいたはずだよな、確か、電子タバコを吸っていたし。で、戻って来た時は、俺たちは食堂をちょっと覗いて、状況を説明して、青田さんから空き部屋の鍵を借りた。その時、誰が食堂にいたのか、んー、思い出せん」

「京子は、覚えてる?」

「全然ー」

「犯人が屋敷の人間だとはまだ断定できない。だが、まんまと嵌められたのかもな。あーあ」

 係長はスマホを取って、事の次第を海山刑事に連絡するために電話をした。

「あ、海山さん? どうも、村田です。……。……。……。はい、じゃ」

「係長、何かありました?」

「おう、明日の朝一で、正代さんとララさんを連れて来るってよ。弥二郎さんとのお別れも終わって、ブラジルへ遺体が無事に送還されたそうだ」

「そうですか。凶器が見つからないので、まだマリアさんのご遺体はどうなるのかわからないのですよね。ララさん、かわいそうですね」

「そうだな」

「係長ー、ララさんをー、ナンパしちゃダメですよー」

「しねえわ!」

 私たちはだらだらと捜査会議を続けて、就寝した。

部屋が荒らされたのに、何も盗まれていない。

怪しい。

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