(12)
「すまん……ゴールデン・ウィーク中に急な用事が出来た。試合の日までには戻って来れると思うけど……」
高木さんが夕食が終ると、そんな事を言い出した。
明後日からゴールデン・ウィークに入る。
ここは……居候先の高木さん・眞木さん姉妹の家。
「あ……」
「ま……まぁ……そっちにも都合は有るだろうし……」
一緒に居候しているアカリちゃんが、そう言った。
「実は……あたしも用が出来ちゃって……」
続いて眞木さんも、そう言った。
「え……っと……陽も千明も……ウチの伯父貴も……この件に関わってた人間、ほぼ全員が……ゴールデン・ウィーク中、居なくなる」
「そ……そんな……」
「あのフザケた衣装の靴裏は加工してる。万全とはいかないが、元のよりは滑りにくくなってるだろう。あと……陽から預かってるモノが有る」
そう言って、高木さんは、部屋の隅に置いてあった細長い箱を開けた。
「え……これ……?」
先端には……揚羽蝶の羽根と……中に水天宮のシンボルである椿の花のマークが見える半透明な玉。
流さは……一・二〜一・三m。
そして……。
「リングの素材や作りが、まだ不明だから、使いモノになるか判らないけど……もし、不安定だが、これで貫ける素材で出来てて、突き刺しても大丈夫な作りなら……リングに突き刺して杖代りにしろ」
それの一番下は……槍のように鋭く尖っていた。
「陽の知り合いの英彦山の修験者に霊力を込めてもらった。人数分有る」
その箱に入っていたのは……いわゆる「魔法の杖」だった。
「ところで……ぶっちゃけた話を訊きたいんだが……」
「何ですか?」
「君にとって、どっちが良いんだ? 魔法少女をやめるのと、そうでないのと」




