(10)
「何で、お前が絡むと、いつも飯を作るのが私なんだ?」
「いいじゃねえか。お前の飯美味いし」
「そこそこ程度だ。あと、ウチの妹の前では、そう云う事言うな。あいつの機嫌が悪くなる」
山小屋の台所では、高木さんが朝食を作っていた。
「あの……あの人の妹さんの料理って……?」
葵ちゃんがそう訊いた。
「料理やるのは好きだけど……材料に凝る割に……出来は……中の下ぐらいかな?」
「あと、出来が良い時と出来が悪い時の差がデカい。食べてみるまで、とんだバクチだ」
「なに……その……単純に下手な方がマシな……リアル過ぎる嫌さは……?」
そうコメントしたのは……アカリちゃんだったが……。
「お前と同じだよ。根気が無くて大雑把」
「あ……いつか、『料理やるか?』みたいな事訊いたのは……?」
「ああ、何か、あいつの妹と同じタイプに思えたんでな」
「とりあえず出来たぞ。飯食ったら久留米に帰るから、洗い物は、そっちでやってくれ」
高木さんがそう言って持って来たのは……大き目のダッチオーブンが2つ。
片方には炊込みご飯。もう片方には野菜メインの具が多めの味噌汁。
続いて運ばれてきたのは……一〇個入りの卵パックを2つ使ったネギ入りの炒り卵。
更に、これまた大量のホウレン草とベーコンの炒め物。
最後に、四〜五百g入りのヨーグルトが4個にメープルシロップ一瓶。
「もう帰っちゃうの?」
高木さんにそう言った葵ちゃんだけど……。
「うん」
「って……何で、みんな、あたしの方見てんの?」
嫌そうな顔のアカリちゃん。
「何なんだ、一体?」
陽さんは、キョトンとした顔で、茶碗に炊込みご飯をよそっていた。




