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「で……送られてきた資料と台本がコレか……」
「台本は……まだ初稿みたいですけど……」
あたし達「プリティ・トリニティ」と「フラワレット・カルテット」、そして高木さん・眞木さん・陽さん・千明さんは、カラオケ屋の大部屋に集合。
高木さんのモバイルPCの画面に表示されてるのは……あたしの「悪堕ち」コスチュームと……ゴールデン・ウィーク最終日に予定されてる「魔法少女大戦」第1戦の「リング」の構想図。
筑後川の写真に、3DCGソフトで……良く知らないあたしでも「雑に作った」のが丸判りの「リング」が合成されていた。
そして……あたしの「悪堕ち」コスチュームは……。
「えっと……あたしらと、あの中学生チームが『次の久留米の御当地魔法少女』の座を賭けて戦ってる最中に、この……正気じゃない格好をした、あんたが乱入すると……」
「うん……あたしの新しい役割は……『魔法少女大戦』って長期イベントのラスボス」
「しかし……どんだけマズい違法薬物をキめたら……こんな露出は多いのに動きにくそうな服を考え付くんだ?」
「このイベントが好評だったら……あたし、学校やめて豊胸手術しろ、って」
「はぁ?」
「『悪の魔法少女』って設定で、日本各地の『御当地魔法少女』イベントに出ろって。そうなったら……学校なんて行ってる暇ないって……」
「この……『悪の魔法少女』と称するダメな中年の男のオタクが考えたSMクラブの女王様みたいな格好して……全国回れって?」
「ええ……」
「ふざけんな。自分の人生を安売りするな」
「でも……出ないと……次は誰が狙われるか……」
「考えた奴は……正気じゃ……待て……」
高木さんはWEBブラウザを開いて……検索サイトで変なワードを入力。
「このリング……土台とか無しに、筑後川に浮いてるだけか?」
「みたいですけど……」
「そこに……この動きにくそうなピンヒールの靴はいて上がる訳か?」
「え……ええ……」
「そして、プロレスとかボクシングのリングみたいに、ロープやそれに相当するモノは無しか……」
「見ての通りですけど……」
「医療チームは待機してるのか?」
えっ?
「き……聞いてませんけど……」
「もし……出るしか無いから……必ず医療チームを待機させるようにしろ。それも外傷に対処出来る医者だけじゃなくて、感染症の専門医も呼ぶ必要が有る。目・呼吸器・消化器の全部に対応出来る医者を揃えさせろ。それと抗生物質の用意もだ」
「どう言う事ですか?」
「門外漢だから……確かな事は言えないけど……」
WEBブラウザに表示されている細かい内容は、あたしにも理解出来ない。
けど、理解出来ないのは細かい内容だけで……大まかな事は判る。
「筑後川に落ちたら……かなりマズい事になるのに、あんな靴はいて、不安定な場所で動き回れなんて、正気じゃない」
高木さんが見ているのは……筑後川の水質汚染に関するデータだった。




