(2)
「すいません……心配かけちゃって……。体だけは丈夫なんで……あはは……」
お姉ちゃんと一緒にQ大のIキャンパスの近くの病院に入院してる、お姉ちゃんの彼氏(多分)のお見舞いに行った。
「あ……そうだ、研究室に有る僕の本、何か持って来てもらえませんか? ちょっと退屈なんで……」
お姉ちゃんの彼氏(多分)は……暗い顔をしたまま黙っているお姉ちゃんにそう言った。
「は……はい……。じゃあ、今から取りに行きますね」
「お姉ちゃん……ちょっと、気が早いよ」
「美桜も一緒に来て」
「は……はぁ……」
あたし達は病室を出る。
お姉ちゃんは……自分のせいで彼氏(多分)が大怪我をしたと思ってるみたいで……気まずい感じだ。
「やっぱり……お姉ちゃんの言う通り……あの仕事やめるよ」
「でも……一体、何がどうなってるの?」
「それが……あたしにもイマイチ……」
その時、あたしの携帯電話に通知音。
ビデオメッセージだ。……それも事務所から。
「何?……すいません、今、病院に居るんで、後で……えっ?」
『そうか……じゃあ、手短に話そう、我が弟子よ』
画面に映っているのは……あたしの師匠……。
『「魔法少女」と云う商売も最近はマンネリ化してしまってね。そこで、新しい企画を思い付いたんだよ。「魔法少女」同士の戦いだ』
「それが……あたしと何の関係が有るんですか?」
『君は偶然とは言え、最強の魔法少女となってしまった。だから……「殺し屋」になって欲しい』
「はぁ?」
『これから始まる「魔法少女大戦」という見世物で、最強の「魔法少女」である君に、我々に都合の悪い「魔法少女」や、所属事務所の意向に逆らっている「魔法少女」を潰してもらいたいんだよ……。まぁ、無いとは思うが……「魔法少女大戦」という見世物そのものをブッ壊しかねない「魔法少女」が出た時もな……』
「何で、あたしが、あなた達に従う必要が有るんですか?」
『こういう事だよ……』
カメラの向きが変り……。
「そ……そんな……」
そこには……裸にされ、縛られ、猿ぐつわをされた……事務所の「何でも屋」の村松さん。
体のあちこちには……殴られた跡。
『「魔法」に比べると野蛮な武器だが……こっちの方が判り易いだろう……。えっ……おい、カメラ……‼ ここで向きを変える手順だっただろ。ちゃんとリハーサル通りにやれ‼』
カメラの向きが変ると……そこには……。
『く……クソ、固いな、この引き金……』
『あの……その銃、弾切れになってる時には引き金がロックされる仕組みで……』
『うるさい、余計な事を言うな‼』
拳銃を村松さんに向けてイラついてる師匠。
『まぁいい……君が普通の人間として普通の人生を送りたければ……我々に従え。さもなくば……君の友人や家族……そして、それに関係した者の誰かが……』
「そこまでして……何がやりたいんですか? 貴方達の目的は何ですか?」
『我々は……現実主義者だ。「正義の味方」どもに「テロリスト」扱いされ、潰され同志達を失なうのは、もう、こりごりだ。極めて現実主義的な願いを叶えようとしているだけだよ』
「だから……何なんですか?」
『我々、特務憲兵隊i部隊の生き残りが……美味いものが食えて、いい女を抱けて、安楽な老後を送れる。それに必要な金を、我々にとって楽しめる方法で稼ぐ。それだけだ』




