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魔導兇犬録:哀 believe  作者: HasumiChouji
第六章:恋する乙女は最強無敵
47/83

(1)

 しばらく待っていると、再び携帯電話(ブンコPhone)に着信音。

 さっきかけた番号からだ。

『手を上げて』

「は……はい」

『近くに、緑色のバイクが有るだろ』

 そう言われて辺りを見回すと……たしかに……明るい緑色で大きめの三輪バイクに、似たような色のライダースーツの人が、片手を上げて、もう片方の手に持っている携帯電話(ブンコPhone)じゃない、かなり古臭い外見の携帯電話(ケータイ)を耳に当てている。

「じゃあ、ボクが送るから、後ろに乗って」

 予備のヘルメットを、あたしに渡そうとしているその人は……あたしと同じくらいの齢の女の子。

「あ……あの……眞木さんは……?」

「眞木? キミ、(らん)と一緒じゃなかったの?」

「え……?」

「あ……ひょっとして、知らなかったの? (らん)治水(おさみ)姉妹(きょうだい)だけど、名字が違うんだ」

「へっ……?」

「ボクも詳しく知ってる訳じゃないけど……小さい頃に両親が離婚して、別々に育ったらしい。(らん)の名字は『高木』だよ」

 そ……そうだったのか……。

 その時……ある事に気付く……。

「あの……高木さんって、いつ、あたしが高木さんと一緒だって連絡したんですか?」

「キミが言った番号だよ」

「え?」

「『ホテル』はアルファベットの『H』、『インディア』は『I』、『トゥリー』は数字の3、『ナイナー』は数字の9の言い換えだ」

「えっと……つまり……HI39? って、どういう意味なんですか?」

「意味なんて無い。あらかじめ、起きる可能性の有る状況をリスト化して、その全部に番号を振ってただけだ。HI39ってのは、キミと(らん)が2人で行動してたけど、途中で不測の事態が有って、キミ1人を逃がさないといけない状況に割り振られた番号だ」

「で……でも……」

「差し迫った危険は無いように思った?」

「……は……はい……」

「でも、(らん)は、危険が有ると判断して、君と分れた」

「あの……その危険を……高木さん1人で……」

「あいつなら、絶対に、こう言うだろう。『自分が死んでも、キミの安全を確保出来れば成功。そうじゃなかったら失敗だ』ってね。行くよ」

「行く、ってどこにですか?」

「当面の間は安全な場所だよ」

「無茶です。高木さんを見捨てるんですか?」

 バイクでやって来た女の子は……しばらく考え込み……。

 そして、さっきの電話を取り出して……。

「おね〜さん、(らん)も回収する。バイク、もう1台おねがい」

「あ……あの……」

「どうしたの?」

「もう1人居るんです」

「へっ?……どうなってんの?」

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