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魔導兇犬録:哀 believe  作者: HasumiChouji
第五章:Over the Limit
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(6)

「誘拐犯、プリティ・ガーネットを解放しなさいッ‼」

「……なあ、この馬鹿を黙らせるような『魔法』って無いか? 人聞きが悪くてしょうがない」

「ごめんなさい……無いです」

「大体、他の『魔法少女』の正体バラしていいのか?」

「誰も聞いてないから大丈夫ですッ‼」

「その大声だと、バスの運転手には聞こえてるぞ」

 スペクトラム・スカーレットを名乗る中学生ぐらいの「魔法少女」は、あたし達と同じくJR久留米駅方面行きのバスに乗り込んだ。

 やがて、あたし達が乗ってるバスは次のバス停に到着し……。

「え……?」

「どうした?」

「せ……先生……なんで……?」

 スペクトラム・スカーレットの視線の先に居るのは……バスに乗り込んで来た、あたしと同じ位の年齢の男の子1人と……サングラスをかけて白い杖を持ってる四〇〜五〇ぐらいの男の人。

 男の子の方は……前の方の席に向かい……次の瞬間……。

 「気」「魔力」「霊力」……呼び方は色々と有るけど……何かの「力」が、目が見えないらしい男の人から放射される。

 軽い力で……あたし達に対した悪影響は無さそうだけど……でも……。

 眞木さんのお姉さんが席を立つ。

「おい……携帯電話(ブンコPhone)その他、電源がONになってる電子機器を持ってたら……全部、電源を切れ」

「えっ……?」

 眞木さんのお姉さんに、そう言われて、ポカ〜ンとした表情(かお)になるスペクトラム・スカーレット。

 ひゅん……。

 白い杖にサングラスの男の人が……左手を軽く振ると、そんな音がする。

 そして……眞木さんのお姉さんの右手首に……紐が巻き付いていた。

「ふむ……声も足音もするのに……『気』が感じられない……。おそらくは……服に隠形の呪法がかけられているようだな……」

 サングラスの男の人がそう言った。

「えっ?」

 あたしの口から出た「えっ?」には2つの意味が有った。

 1つは……目の前で起きてる予想外の事態。

 もう1つは……次のバス停で待ってる人が居たのに……バスが止まら……あ……嘘でしょ……コースが違う……。

 良く見ると、サングラスの人と一緒に乗り込んできた若い男の子は……席に座ってなくて、なぜか、運転手さんの横に……待って……あの男の子が持ってるのは……ナイフ?

 眞木さんのお姉さんの手首に巻き付いた紐の、もう片方の端は……サングラスの男の人が左手で握っていた。

「身長は……一五〇㎝台前半……体重は身長の割に有るが……筋肉が多め……。骨格は筋肉に比べて……やや発達が遅れているが平均以上かつ許容範囲内。やや、オーバートレーニング気味だが……これも許容範囲内。総合的な身体能力は……一般的な高校のアマチュア・スポーツの大会なら……県大会なら上位に行けるが、全国大会だと初戦敗退の可能性大……と言ったレベルか……」

「本当は……見えてんの……?」

 あたしが、そう言うと……スペクトラム・スカーレットは首を横に振る……。

「じゃあ……魔法?」

「いえ……先生が言うまで……あたしも気付かなかったけど……あの人の服か何かに……気配を隠す呪法がかかってます。『気配を隠す呪法がかかってる』事までは判りますが……隠されてる気配まで読むのは……すぐには無理な筈です」

「じゃ……何で、判るの?」

「先生は……相手の体のどこかに触ってさえいれば……相手の体格や姿勢を把握出来ます……」

「さっきから、先生って言ってるけど……」

「はい……あたし達に……『魔法』を教えてくれた……」

「特務憲兵隊i部隊所属……部隊内でのコードネームは『暗闇の賢者』だ」

 その時……眞木さんのお姉さんは……溜息をついた……。

「ダサいな……」

「何?」

「よく、そんなダサいコードネームを大真面目な表情(かお)して名乗れるな? いい齢して、精神年齢は小学生か?」

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