(1)
「お姉ちゃん、どうすんの?」
「しばらく……知り合いの家に泊めてもらう……」
あたしとお姉ちゃんは当面必要な荷物を積めたキャリーケースを引きながら、住んでいる団地を出る。
休みの日の朝なのに……気分は憂鬱。
ついでに、空にも……3月なのに、重苦しい感じの……ひょっとしたら雪雲かも知れない雲。
「大学も期末テストとか有るの?」
「そろそろ終る頃かな……?」
「あ……どうも……」
背後から声。
「お早うございます。日曜なのに大学ですか?」
そこに居たのは……この前、お姉ちゃんを守ってくれてた(あんまり役に立たなかったけど)男の人。
「ええ……修士論文の研究が巧くいってなくて……まぁ、まだ1年有りますけどね……」
「この前は……すいません……」
「いや……僕も役に立てなくて……」
その後……お姉ちゃんと男の人は……一見するといい感じだけど……専門用語だらけの会話を始める。
どうやら……男の人が大学でやってる研究の話らしい。
「だから、君は騙されてるんだよ‼ 大人しく僕たちの言う事を……」
その時、男の人の激昂した声。
お姉ちゃんとお姉ちゃんの大学の先輩は……顔を見合せ……。
「ちょっと……様子、見てきます……」
「あ……あたしも行く、お姉ちゃん、荷物の番、お願い」
「ちょっと待って……」
その時……。
「あれ? さっきの声、どっちからしたっけ?」
「こっちです」
「えっ? 何で判るの?」
だって……。
あたしは……さっき感じた魔力の気配を辿り……。
「あ……同じ団地の別の棟に住んでたんだ……」
あたしは……その子に言った……。
「い……いや……この状況見て、感想がそれ?」
「警察官に続いて……今度は……」
「判ってるけどさ……」
「えっと……保釈されたばかりだよね?」
「仕方ないでしょ」
「で……この人達……えっと?」
もっとも、そこに倒れてる数人の内……人の姿をしているのは……あたし達のマネージャーの江見さんと同じ位の齢の男の人だけ。
あとは……河童系が2人と獣人系が1人……角こそ無いけど……嫌な感じの紫色の肌に鮮やかなオレンジ色の髪が逆立ち口からは牙が伸びてる鬼系らしいのが1人。
「言われてたよね? 体育会系の人に『精神操作』を使うと……ややこしい事になるって……」
「そう言われても……これ位しか使える魔法ないし……」
そこに居たのは……あたしと同じくキャリーケースを持った……ライバル魔法少女チーム「フラワレット・カルテット」のリーダー兼「赤またはピンク」担当さんだった。




