(5)
「あれ? お姉ちゃん達、どっかで見た事有るけど、有名人?」
「あ、知ってる。魔法少女だ」
翌朝、朝食の時間に、食堂で、小学生ぐらいの子供から、そう言われた。
「やめなさい。ここ、訳有りの人も居るんだから、そんな事は訊かないの」
あたし達と同じくらいの齢の眼鏡の女の子が、そう注意する。
「あ……いいんです……」
「えっと……君、『魔法少女』好きなの?」
「『正義の味方』の方が格好いい」
うっ……。
「それに『魔法少女』って台本が有るんでしょ?」
やめて……。
「それはね……」
凛ちゃんが何か言いかけようとした途端、瑠華ちゃんが「黙れ」とゼスチャー。
「何?」
「『台本有るんでしょ?』と訊かれた時の『台本』は大人のファンが相手の時用のしか無いでしょ」
小声でそう説明する瑠華ちゃん。
「やめなさいって言ってるでしょ。すいません」
「い……いえ、おかまいなく……」
「おい、食事が終ったら、私が学校まで送るから」
その時、背後からお姉さんの声。
「あ……すいません」
食事の後に、お姉さんと一緒に駐車場に行くと……。
「じゃあ、あのバンに乗ってくれ」
「は……はい……あっ……」
「どうしたの、美桜ちゃん?」
「な……なんでも……」
「って……あそこに居るのって……?」
マズい。
自分でも自覚出来る程に、声の調子がおかしくなってる。
「お……おはようございます」
「あ……良く会うな……」
そこに居たのは眞木さんのお姉さんだった。
「あ……あ……あ……」
だめだ。
何かを言いたいのに、何を言うべきか自分でも判らない。
「み……美桜ちゃん、どうかしたの?」
あたしの様子を見てポカ〜ンとなってる凛ちゃんと、その横で「何も訊くな」とゼスチャーで伝えようとしてる瑠華ちゃん。
「すまん。JR久留米駅の辺りで起してくれ」
「わかった」
残念ながら、眞木さんのお姉さんは車に乗った途端に眠り始めた。
「あの……私達の近くで朝食を取ってた眼鏡の女の人ですけど……」
車が走り出して、すぐに、凛ちゃんが、そう言い出した。
「どうかしたか?」
「あの人、同業者ですか?」
えっ……?
「おい……また、やったのか?」
「あ、すいません。でも、こっちの『気』を放たないで調べる方法を使ったので……」
……何だかんだ言って「魔力の検知」に関しては、凛ちゃんは、あたしや瑠華ちゃんより1〜2枚上手だ。
多分だけど……勘違いなんかじゃなくて、本当に……。
「そうか……訳有りの人間が多い場所なんでな……迂闊には話せない事も有る」
それが、お姉さんから返ってきた答だった。




