外伝7 ちょっとした小話~完結後版~
『完結後まで読んだこと前提』の小話集です。
シレっと本編に関わるネタバレも含んでおります。
不定期に話を追加する予定ですので、思い出したころに覗いてみてください。
□噂には聞いていた
※「外伝6 彼らの「きっかけ」」後
「そーいや、レックスさんもアークさんも、アルムとリレルを見て『噂は聞いている』って言ってたな。そう言う意味だったのか……悪い意味で、ってことが衝撃的だったけど」
「どんな噂だったのやらー、なー、リレル」
「ですねー、アルム」
「はいそこの2人、凄い他人事のように言うな。何だったら俺が聞いた2人の噂話、ヒロトに色々ばらしても良いんだぞ」
「なにそれ超聞きたい。教えてサディエル!」
「やめろサディエル!」
「やめてくださいサディエル、怒りますよ!?」
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□アインスの秘密
※「外伝5 後の魔王とその妃」読破前提
「でさ、アインス! ミリィの奴が本当に……!」
「あの、カイン様。落ち着いてください」
「私ばかりが悪いのですかカイン! そもそも、貴方だってこの件については……!」
「ミリィ様も、お淑やかに」
「アインス、この件、どっちの味方だ!?」
「アインス、どちらでしょうか!?」
「……………」
「「アインス!」」
「………うるさい、この馬鹿妹に馬鹿義弟!」
「げっ、グランツ様!? アインスあいつ、何でそっちに泣きついた!?」
「お、お兄様!? えっと、おはようございます……?」
「お前らな、アインスを困らせるな! ついでに毎度毎度、こんなくだらねぇことで人を起こすんじゃない! オレはお前らの夫婦喧嘩の仲裁の為に、アインスと一緒にいるんじゃない。わかってんのか!」
「す、すいません、グランツ様……」
「申し訳ありません、お兄様……」
「ったく。仲が良いのは良いが、本当に次はお前らのピンチに起こせよな!?……ふぁぁ」
「「…………」」
「……カイン様、ミリィ様。お願いですから、いくら私でも、お2人を止めるのは無理なんですから、程々に……なにとぞ、程々にお願い致します」
「わかった、ごめんアインス。悪かった」
「ごめんなさい、アインス」
※裏話
グランツは自身の寿命が尽きる直前に、アインスに自身の魂を保護させています。
他の魔族と違って、グランツとアインスの仲は良好。
普段は眠りについていますが、アインスが2人に対して困り果てた時は『ゴラァ!』する為だけに起きてきます。
当人はピンチの時に起こせとは言ってますが、一生くだらない事で起こしてもらった方が良いと思っている。
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□もしも "サディエル" が記憶を思い出したら(ヒロト編)
「……なぁ、サディエル? もしくはオレ?」
「今まで通りサディエルでいいし、俺は俺で、ヒロトはヒロトだ。気にする必要はないぞ」
「けどなぁ。記憶までとなると流石にさ」
「記憶までって言うけど、俺の感覚じゃヒロトの世界の方が異世界だな。なーにも役に立たない知識だけ無駄に詰め込まれた感じだ。記憶が戻った利点は、ヒロトが言っている素っ頓狂ファンタジーの意味を、より理解出来るってぐらいだな」
「すっとん……!? その素っ頓狂ファンタジーの住人になったのは、どこの誰だよ!?」
「流石に23年もこの世界で生活したらな。むしろそっちの方が、オーバーテクノロジーのSFファンタジーかな」
「仮にも元の世界をSFファンタジー呼ばわり……ん?」
「どうした、ヒロト」
「え、サディエル23? 23だったの!? うっそだろ!?」
「えぇぇ……そっちに驚く?」
「そりゃ驚くよ!? 今までの言動から絶対30以上、50以下だと思ってたのに!」
「ちょいまった。50ってどういう意味だよ!? そこまで老けているか、俺!?」
「超若作りってことで納得したよ。というわけで、ガチ年齢何歳!?」
「23だっつーの! お前の6つ上、小学1年と中学1年の差だよ! なーにが悲しくて歳を逆サバしなきゃならん以前に、記憶戻る前から俺のこと、そう言う目で見ていたのかよヒロト、ひどくね!?」
「……ノリがヒロト寄りになったな、サディエルの奴」
「まぁ、当人同士ならそうなるんじゃないですか?」
※もしも、本編中にサディエルにヒロトの頃の記憶が戻ったらと言う話
ぶっちゃけると、戻ったところでヒロトの話題について行きやすくなる程度の認識
すっかり異世界の常識とルールに染まり切っているとも言える