3.決まった婚約者
「君の大切さを知った日に」の3話目です。
それから何日かたったある日、公爵家に王家から一通の手紙が届いた。
手紙にはこう書かれていたらしい。
『ヴェルディーン公爵家の娘のアリシナ・ヴェルディーン嬢にロストワール・イグニアとの婚約を了承していただきたい。』
この手紙の送り主はこの国の国王様からの手紙だったらしい。
さすがに国王様から言われたことは断れないだろう。
お父様は書斎の机の上で手を組みながら笑顔でこう言った。
「アリシナ、嫌だったら断ってもいいんだよ。」
...お父様笑顔が怖いですよ。
あと、王命を断ってもいいんですか?
「いえ、私は特に嫌とは思っていませんのでお父様達に任せます。」
お父様は少し考えるそぶりを見せてから答える。
「そうだね、じゃあ。嫌になったら言うんだよ。いつでも婚約破棄するからね。」
...お父様、こちらから婚約破棄はたぶんできないのではないでしょうか。
婚約破棄は一方的な事情で婚約を解消することなので、できたとしても婚約解消だと思います。
「わかりました。お父様、王妃教育というものはいつから受ければよろしいのですか?」
「受けなくてもいいんじゃないかな。」
お父様、笑顔で言わないでください。
さすがに受けないといけないと思います。
お父様は意見を変えようとしないので、ソファーに座っていたお母様が口を開いた。
「アリシナ、あなたは呑み込みが早いから今から受けてもいいし、もう少し後から受けてもいいのよ。」
お母様は正常なようで良かったです。
「わかりました。では、できるだけ早く王妃教育ができるように手配していただけないでしょうか。」
こういうことは早くから身に着けておいたほうがいいと思ったのだ。
「はぁ...分かった。手配しておこう。」
そう言ったお父様はなぜ残念そうな顔をしているのかしら。
とこのように王太子との婚約は決まったのであった。
それからまた数日たったある日、王太子が私の家に来る知らせが入ったため我が家の屋敷の使用人は忙しそうにしている。
私はというと新しいドレスで身を包み、私専属メイドのティナに髪を結ってもらっていた。
ちょうど準備が整ったころに王太子が到着したと知らせが入った。
私はサロンのほうへ向かう。
「やあ、アリシナ嬢。数日ぶりだね。」
そこには凛としたたたずまいで立っている王太子がいた。
「ごきげんよう、殿下。お茶会の日以来ですね。」
私はカーテシーをとりながら答える。
殿下はサロンのソファーに腰をかけた。
私も向かいのほうに腰をかける。
私が腰をかけたと同時に殿下は口を開く。
「アリシナ嬢、よければあなたのことを呼び捨てで呼んでもいいだろうか。」
「...?私はいいですよ。」
あまり変わらない気がするのだけど...。
私がそう答えると、殿下はいつもの微笑みを見せた。
「ありがとう、アリシナ。では私のことはぜひ、ロストワールと呼んでくれ。」
殿下からなぜか有無を言わせない圧を感じるのですが、なぜでしょう。
「...わかりました。えっと、ロストワール様?」
なぜ殿下は満足いったように頷いているのでしょうか。
そのあとはメイドが淹れてくれたお茶を飲んで最近始まった家庭教師の勉強の話などを話してロストワール様は城に帰っていった。
次の更新は明日の20時です。本編を投稿するまであと6日。




