21.公爵令嬢の気苦労
この話の登場人物がだんだんそろってきました。今月にはこの話を終わらせたいですね...。
学園の休み期間はあっという間に過ぎて学園が始まる花の月になった。
私たちはそのまま学園へと向かう。
3人は一週間前に我が家に来る前に学園に荷物を運んであるので家に帰る必要がないのだ。
教室は私とミラ、ルナが1組で、キャロルだけが2組なのでキャロルは「どうにかして1組に入れないのかしら...。」と考えていたけれどたぶん無理だと思う。
学園は国の権力が通じない実力主義で有名な場所だ。
ある程度のことは平民も貴族も一緒というのが校則であり、学園側の意志でもあるのでそれに反する行動をとればこの学園から追い出されかねない。
私は「来年は同じクラスになるといいですね。休み時間や、魔法学の授業では会えますから。」とだけ言っておいた。
「そうですね...では、また休み時間になったら来ます!」
と言って2組の教室に入っていった。
私は1組の教室に入ろうとしたときに後ろから声がかかった。
「あまり私の婚約者をいじめないでね、アリシナ嬢。」
後ろを向くと、それは恐ろしい笑顔を向けてくるアンバー様が立っていた。
「あら、いじめてはいませんよ?アンバー様もキャロルをよろしくおねがいしますね?」
と私も同じように返しておいた。
するとアンバー様の友人のライアー・フィバルブ様が口を開いた。
「アンバー、おまえよくアリシナ嬢にそんなこと言えるな。それに、アリシナ嬢は敵にまわしたくはない要注意人物だということがいまわかった。」
ライアー様はフィバルブ侯爵家の長男で現当主はこの国の騎士団長でとても強いことで有名だ。
グレーと薄い水色が混ざったような髪にグレーの瞳をしていて、次期騎士団長候補と言われるほど剣の腕がたつと言われている。
アンバー様とライアー様は私たちと同じ1組でちょうど出会ったみたいだ。
いや、絶対アンバー様がミラを数分でも見るために時間を合わせたに違いない。
そしてライアー様は少し失礼なのではないかしら、まだ11歳なのに要注意人物だと言われるほどのことは言った覚えがないのだけれど。
だいたい理由は理解できたけれど、ミラはライアー様に何か言いたげに見ているし...私がこの問題をすべて請け負わなければいけないのかしら?
みんなに気づかれないようにため息をついた。
今年は、いや、学園で過ごすこの先が面倒になってきたので留学でもしようかしらと思ったが私がこの場にいなくなったら場の収集係がいなくなりそうなのですぐに考えを改めた。
とりあえずこの場は笑顔で取り繕っておいたほうがよさそうだ。
「ミラ、貴方は確かライアー様に用があったのではなくて?ライアー様、ミラと話す時間を作ってもらえませんか?アンバー様、そんなにキャロルがご心配なら2組に行かれてはいかがですか。ルナ、私たちは先に教室に行きましょうか。」
私は一気にまくし立ててルナを連れてさっさとその場を後にした。
ルナも何となく状況を把握していたようなので何も言わずに私の後についてくる。
残された3人は数秒間の沈黙の後に動き出したのできっと何とかなっているだろう。
昨日ミラは私にだけ話があると言って相談してきたことがあった。
ミラは去年開いた私の誕生会に来た時にライアー様に話しかけられたので、その時からよく話すようになったのだと言っていた。
そして先日、星の月の最後に会ったミラの誕生日パーティーの時に誕生日プレゼントを頂いたのでそのお返しを送りたかったらしい。
頂いた宝石のお返しにミサンガはどうかと思うけれど、まあ何とかなるでしょう。
見た目は美少女であるミラに贈り物をされて突き返す馬鹿はいないと思う。
チャイムが鳴ると同時にミラ達は帰ってきた。
顔が少し赤く見えるのは気のせいではなさそうだ。
対してライアー様はいつもよりも機嫌がよさそうな顔をしている。
とりあえず、ミラの独身は免れそうなので良かった...と思っておきましょう。
2週間前にあった授業と変わらないペースで進んでいた。
次私が自分の屋敷に帰るのは夏休みの太陽の月なのでそれまでは学園で過ごすことになるだろう。
神の月にはメイドのティナの結婚式があるので休日の聖の日には外出届は出してある。
ティナはお父様付きの執事、ジェラウスと結婚するらしい。
私は彼女に幸せに暮らしてほしいと思う。
結婚したら家に帰るのかと思っていた私は数年の休暇をティナに出そうとしたがいらないと言われてしまった。
いつも身の回りの世話をしてくれているのでたまには長い休暇を取ってほしいと思っているのだが休暇はいらないと彼女が言ったのでしょうがないだろう。
休暇を暇と勘違いしたのだろうか?私はティナを手放すつもりはないのでもちろん休暇中はその分の給料を出すと言おうと思っていたのだがそれを言う前に反対されてしまったので仕方なくティナの意見を尊重することにした。
話を戻すが、魔法学の授業は毎日の午後の授業にある。
なぜなら、受ける属性によって授業する場所が違うからだ。
私は結局のところ休み期間の一週間の間にフレア様、フルク様、お父様にお母様にみっちりしごかれ...いえ、ご教授してもらった結果、精霊、天、闇に光の魔法はほとんどマスターした。
本当に地獄の...いえ、ためになる一週間でしたのであと習う必要があるのは火、緑、水、それに聖だけとなった。
私の魔力量が多くなければ、普通今頃倒れているところでしたよ...。
聖魔法以外は教えられる人に聞いてみているらしいので残りの3つの属性を教えてもらうことになった。
どれも上級の派生する前の属性らしいので教えてもらう教師はアルテリア王国の魔法省に入っているケルソン先生とクリス先生に教えてもらうことにした。
二人とも優秀でそれぞれ違う侯爵家の貴族だ。
学園の中では皆平等なので苗字は使うことが少ないが元の名は、ケルソン・ルーベウス様とクリス・アロフローラ様と言う。
どちらとも他国の侯爵家の人間で、ケルソン先生がウルツライト帝国出身で、クリス先生がアルテリア王国出身だ。
ウルツライト帝国出身のケルソン先生は謎が多い先生としてこの学園内の生徒の間で言われている。
夜に不思議な実験をしているとか、人ならぬ力を持っているとか誰が言い出したのか知らないが、噂が独り歩きしているようだ。
謎と言えば、クリス先生も謎が多いと言われている。
わざわざ世界五大王国から出てこの国の魔法学の先生を担当しているのか、と。
確かにクリス先生はアルテリア王国の侯爵家の中でもひときわ有名な家なのだ。
先生は次女なので自由の身と言えば自由の身なのだが、この国でなくても違う国の教師になるということもできただろう。
そして謎なのはその謎の二人で結婚していることだ。
二人の左の薬指には結婚指輪がはまっている。
それは帝国から広まった伝統で、必ず既婚者は薬指に指輪をはめるのだそうだ。
最近では他の国もその伝統を取り入れて薬指にはめているのだとか。
きっと指輪などの貴金属を取り扱う商人が商売を繁盛させるために広めたのだろう。
それはともかくなぜ私はその二人と私一人で対面しているのか誰かに問いたい。
魔法学の授業になったので面談をするためにここに来たまではよかったのだが、なぜ二人も先生が必要なのだろうか。
普通面談は一対一で行うものと聞いていたが、最近変わったのだろうか。
そしてなぜかその場の雰囲気が緊迫しているように思えるのはなぜなのだろうか。
何となく予想はつく。
お父様、お母様私が面談する前に私が知らない間に私の魔法属性について、二人と話しましたね?
しかも包み隠さず全てを話したと見える。
とりあえず、私の両親から見て二人が信用できるということが分かった。
「あの、面談を開始されないのでしょうか?」
なかなか話が進まなそうだったので私から話すことにした。
すると、やっと二人は口を開いた。
次回の投稿は明日の20時です。




