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アレンの息子  作者: みすみいく
3/3

 報告

 隠し子疑惑は解決したものの、2人の関係に影が差したことはそのまま残ってしまった。関係を続けてゆくのなら避けて通ることの出来ない問題を前に、想いを護ることが出来るのだろうか?!

 結局何だかんだで、事が治まるまでには夕方になってしまっていた。待っていてくれと言ったきりのアパルトマンへと急いだ。


 何時ものように俺を迎え、好物を並べて待って居てくれた。経過をおって説明するものの、何処か上の空のような関心の無さが伺えた。

 やはりもう少し時間が掛かるのかと、諦めて、先に食事を済ませた。

 2人で食器を片付けて、コーヒーを点てる俺の横で、アウルがディッシヤーで掬ったアイスクリームをグラスに盛り付けた。リンゴのコンポートを乗せるとチョコレートソースをかける。

 これも、幼い頃からの俺の好物だった。

 労ってくれることが殊更に不安を募らせる。

 俺か、自分かと問われれば、アウルが一も二も無く、俺を選ぶことを知っているからだった。


 淹れ立てのコーヒーをテーブルに運び、コンポートのグラスにスプーンを入れながら、この事態の理不尽を殊更に感じていた。


 「ベビーシッターとして契約もすんで、両親がドイツへ出掛けてから、ボーイフレンドに突然誘われた。何とかしたい。其れは良いんです」

 「そう言う事も有るでしょう。急なことで、他の誰にも頼めなくて途方にくれた。だけど、俺に面倒を見させてやろうって言う、ターゲットに選んだ理由ってのが、テレビ番組で見て、フランの父親と同じ金髪碧眼で、有名人だから放って置いたり出来ないだろうと思ったからだったなんて。冗談じゃ有りませんよ!!」


 憤慨する俺にアウルがくすくす笑う。


 「片が付いたし、潔白が証明されたんだから良いじゃ無いか」

 「フランは可愛かっただろう?!」


 声のニュアンスが変わる。


 「センチメンタルに陥っていた私は、良かっただろうが?!」

 「アウル?!」

 「私が…自分でも同じ事をしていたのは事実だが、お前の身上を利用していた事も事実だ」

 「もう2度とお前を、誰かにくれてやるような事はしない!こんな馬鹿なまねをさせていた事に気付かされただけでも、良しとする理由が有ったんだ!!」

 「これで終わりだ!!」

 「ええ」


 1つまた1つ。

 闇の中に沈めて来た涙を、取り戻しながら歩いて行くのだろう。


 ずっと2人で。


 「何故、急に、女性遍歴にピリオドを打ったのかと問われた時には、隠し子騒動に繋がって、懲りたからだと答えてやりましょう。その為の養子縁組だと」


 振り仰いだ顔は呆気にとられ、溜息の後に紡いだ言葉は微笑んでいた。


 「成長著しいな?!」

 「でしょう?!」


 韻を踏んだ答えに、アウルが笑った。

 お読み頂き有難う御座いました!

 フランシスが可愛くて…って、駄目かな?有りがちな問題ですけど、基本なんで。彼等の葛藤はまだ暫く続きます!

 なんせ、果たすべき事を止める気配は無いので…

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