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ぼくが死ぬまでに  作者: わたぼうし
8/20

ルイと死神

ぼくが本当に死ぬまで…を読んで頂きありがとうございます!

今回は少し長くなってしまいました。

電車に揺られながら、ぼくは考えていた。

ルイは死神という『仕事』を200年以上しているのに、見た目は10歳くらいであること。

『死神』のイメージは骸骨で大きな鎌を持っている恐ろしい存在だが、ルイは顔色が青白いことを除けば、どちらかと言うと美少女で明るく親しみやすい。

また、『死神の特殊能力』的なものもない…

そういえば、ぼくの怪我を治してくれた。死神と言うより、ゲームで言う神官みたいな感じがする。


いろいろ聞いてもいいのだろうか?

ぼくは思い悩んでいた。


窓からの景色を楽しんでいたルイは上機嫌のまま

「どうしたの?」

と、ぼくの様子に気がつき、ニコニコしながら声をかけてきた。


なにがそんなに楽しいのだろう?と思いつつ聞いてみることにした。


「ルイは、どうして死神の『仕事』をしてるん?」


ルイは真剣な顔になり、しばらくの沈黙のあとボソリと言う。

「聞いても面白くないよ?」


ぼくは慌てて、

「あ、イヤならいいんだ。少し気になっから…」

と言い訳した。


「ん?べつにいいけど?」

いつものニコニコしたルイに戻っていた。


「まずは、死神の『仕事』のことね」

ルイは、右手の人差し指を立ててクルクル回している。


いつの間にか両手を膝に置いて、『ちゃんと聞く姿勢』をしているぼくがいた。


「ルイはね、この姿になれるから死神になったの」

えへへと、少し照れているルイ。


「ん?どういうこと?」

きっと今ぼくの頭の上に大きな『はてなマーク』が出ていると思う。


「んー」

ルイはクルクル回していた右手の人差し指を唇に当てて話し出した。


「霊界にはいろいろな仕事があるの。例えば、霊界に来た霊達の名前とか情報を書類にして管理したり、霊界の環境を維持管理したり、霊達が現世に戻る先を斡旋したり…」

ルイは、指を折りつつ説明する。


「え?霊界って地獄とか天国とかのイメージやったんやけど?」

あまりにお役所的な内容に衝撃を受ける。


「基本的に現世とあまり変わらないよ?現世で死んだ霊は霊界で300年くらい過ごして、また現世に戻るの。まぁ、霊界にいる間はダラダラ過ごしててもいいし、何か仕事しててもいいし自由だよ。お腹空かないしねー」

あはははと口に手を当ててルイは笑っている。


「え??さっきの思わせぶりな表情はなに?」

あまりに軽いルイに、さっきの真剣な顔がマッチしない。


「あぁ、えーと…演出?」

首を傾げながら、悪戯っぽく笑うルイ。


「え…演出??」

思わず声が大きくなる。


「あはははははは」と楽しそうなルイは

「で、死神をしてる理由だよね?」

と、話しを続ける。


「さっき説明した仕事はね、霊界で生まれたルイたちにしかできないの。現世で生まれた霊達は霊界ではお客さまって感じかな?」

また右手の人差し指をクルクル回し始める。


「つまり、ぼくは現世で生まれた霊で、ルイは霊界で生まれた霊ってこと?」


「そうそう。でね、現世で生まれた霊は特別な姿形があるじゃない?。でも、霊界で生まれた霊は、みんなあなた達が言う『火の玉』って感じなの」

はぁ、とため息を漏らすルイ。


「そこで!死神なの!!」

急にテンションが上がり、立ち上がったルイは右手を胸の前で握り締める。


「んん?」

少し混乱気味のぼくをおいてルイは更にヒートアップ。


「ルイね、現世の霊みたいに特別な姿に憧れてるの。で!いろんな仕事の中で死神だけが現世の霊と同じ姿になる事ができるの!!」

ルイは両手を広げ、大きな目をキラキラと輝かせている。


「他の仕事じゃ、姿を変えれないん?」

ぼくの素朴な疑問にルイは


「そーなの!みんな同じ火の玉なの!でもさ、死神は現世にお迎えに行くでしょ?現世の霊と話しやすいように好きな姿になることが出来るのよ!」

ルイは両手を広げたまま車内でクルクル回り出した。


「好きな姿ってことは、その姿はルイが決めたん?」

大きな目と長いまつげ、ふっくらした唇のルイはまさしく美少女と言える。


「そう!かわいいでしょ!?ルイが死神になった時、たまたま見つけた現世の霊の女の子の姿をマネしたの」

うへへへと、変な笑いになるルイ。


「あぁ、だから顔色が青白いのか…」

妙な納得をしてしまった。


「え?ルイが今まで見てきた現世の霊はみんな同じ顔色だよ?お兄さんも同じ顔色だし?」

ルイは不思議そうに、首を傾げている。


「まぁ、死んだからなぁ。生きてたら肌色だし、人種によってみんな違うんだよ。ほら、前の座席人見てん。日本人はあんな色なんだよ」

前の座席に座る親子を指差す。


「なるほどー。こんな感じか!」

ルイは親子の顔色まじまじと見て、自分の顔色を変化させた。

青白かった顔色が、少し頬が赤く火照ったような健康的な顔色になる。

そこには、目が大きく長いまつげ、ふっくらとした唇の活発な美少女のルイがこちらを見て笑っていた。


美少女に見惚れていると、会社の最寄り駅に到着した。

文字数を同じくらいで、お話の区切りをつけるってなかなか難しいですね。

少しだけ霊界のことや、ルイのことを書けてよかったです。

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