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ぼくが死ぬまでに  作者: わたぼうし
17/20

3月20日

時は戻り、3月初め。

ぼくは上司に会議室に呼び出されていた。


「カタヤマくん。君の新しいゲームの企画見たよ」


「はい!ありがとうございます!」

ぼくは期待と不安に押し潰されそうにながら、上司の言葉を待つ。


「なかなか面白いね!4月からプロジェクトを立ち上げてゲームの開発に取り掛かろうか!」

上司は満面の笑みを浮かべていた。


「ありがとうございます!」

ぼくは小さくガッツポーズをしていた。


「そこで誰か補佐を付けて前準備を始めてほしいのだが、誰か希望はあるかな?」


「そうですねぇ。…あ、タケダを補佐にして頂けませんか? 彼は大変優秀で、ぼくのチカラになってくれるはずです」


上司は「ふむ…」と言いながら顎をさすり、タケダを思い浮かべている。


「よし、いいだろう。タケダくんには私から説明しておくよ。それじゃ、4月からスムーズに取り掛かれるように準備を頼むよ」

上司はぼくの右肩をポンと叩き会議室を出て行った。


「よっしゃー!」

ぼくは拳を握り両手を天に突き上げてよろこん喜んでいた。



ぼくは会議室を出て、フリースペースに向かいキョロキョロと人を探す。

「あ、タケダ!話し聞いてくれた?」


フリースペースの端の机で作業をしているタケダを見つけて話しかける。


「あ、カタヤマ先輩。聞きましたよ!おめでとうございます!」


「ありがとう!これから頼りにしてるで!よろしくな!」

ぼくとタケダは硬い握手をする。


それから4月のプロジェクトスタートに向けて、着々と準備が進んでいた。



◇◆◇◆◇◆◇◆



3月15日 ぼくは会議室にいた。

プロジェクトの準備の進捗を上司に報告していたのだ。


「カタヤマくん。準備は順調のようだな。ところで、プロジェクトリーダーとして3月20日に発令を行うことにしたよ。午前中は空いているかな?」


「はい!大丈夫です」

ぼくは即答した。


「よかった。それじゃ、頼むよ」

上司はニコリと笑った。


「あの…」


「ん?なにかな?」


「発令の後、昼からお休み頂いてよろしいでしょうか?」

ぼくは、少し上目使いで上司を見る。


「ああ、構わないけど。どうした?」


「実は、今回プロジェクトリーダーになったので、この勢いで彼女にプロポーズしようかと…」

ぼくは顔を真っ赤にしながら正直に話した。

よく考えたら正直に言う必要なかったのだが、頭がそこまで回らなかった…


「おお!そうか!ようやくカタヤマも身を固める決意をしたか!オレは心配してたんだぞ!」

まるで自分の息子の成長を喜ぶように、ぼくの両肩をバンバンと叩きながら笑っている。



こうしてぼくは、運命の3月20日を迎えることになった。



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