覚醒
強大な力をもつ者、覚醒者。ここ、ガダン大陸ではそんなもの達が猛威を奮っていた。その力は、なんなのか。大陸で何が起きているのか。覚醒者の暴走はまだ始まったばかりである。
大陸内の国、ヨーグ内のとある森にて。
「こいつを飲めば、俺は力を得る事が出来るのか…?本当か?もう、何も失わなくて済むんだな…!?」
男はフードで顔を隠している人物に訊く。
「もちろんだ。そいつを摂取すればお前は力を得る。その後は好きにするといい。復讐したい相手に復讐するもよし。自分の思うままに力を使うもよし。全てはお前次第だ」
フードの人物は落ち着いて答える。
男は意を決してコップに入った赤い液体を飲む。全て飲み干したとき男の体に異変が起きた。
「う……!?ぐぅ………!!!ぁああぁあああ!!!!!!」
男の体はだんだんと肥大していく。全身の筋肉が大きくなり、肌は赤くなる。上の歯の犬歯がどんどんと伸び、もはや人間の姿を成していなかった。
「ふ…うぅ……ぐあうぅうぅぅ……!!はあっ!!!…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ……。これは……?」
男は変わり果てた自分の姿に驚く。
「これが君の得た力だよ。この力は君だけのもの。さぁ、存分に楽しむといい。じゃあね…」
フードの人物はそう言ってどこかへ行ってしまった。
「これが…俺の…力…!?フ…フフ……フフフフフフフフフ!!!ハハハハハハハハハハハッ!!!」
覚醒した男の声が森に響く。その声はドスが効いており、もはや叫び声のように森を揺らした。