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4.安定期に入りました

安定期、ということでちょっと雑談会です。

 さて、あれから取材はそれなりに続けて、男性妊夫事件はそれなりに読者に好評な記事にしあがっている。

 あれから二ヶ月が経っているというのに、関係者から聞いた話だったりを掲載すればある程度の売り上げが見込めるのだ。

 先輩は、うちの独占にできなかったのが悔しい、と言っていたけれど、さすがに取材対象の数が半端ないのであれを独り占めすることはまず無理だと知杖は思う。


「にしても、先月の内閣改造はおどろいたなぁ」

 さて。政界にももちろん今回の事件の当事者はいる。それも割と当選回数の多い年期の入った人達ばかりだ。

 御年七十歳越えで、妊娠した人もちらほらいるという。それだけ少子化への問題意識が高かった人がその層に多かったということだ。


 そんな彼らはというと、重要な役職から思いっきり外されて、発言力をどんどんそがれていっているらしい。

 役職持ちは、他の人にそれを奪われ。さらには政治家としての地盤すら、世代交代を一族に迫られるといった具合だ。

 周りからしてみれば、あと数年で元々地盤を引き継ぐのが早まっただけ、という認識なのかもしれない。

 現場では、二世なのか、他の人を立てるのかで、後継者を巡っても騒ぎが起こってるのだそうだ。


「ま、周りからしたら、いつ死ぬかわからない人に仕事は任せないだろうよ。政治家が病気を隠したがるのは、そこらへんもあるんだろうな」

 よっ、と先輩はコーヒーを差し出しながら、知杖のデスクの脇を占領した。

 ここのところしょっちゅう来ているので、周りのスタッフも特別なにかを言ってくることもない。

 というか、この状態できっちり年収300万円からの妊活の記事も書いているのだから、ちょっとくらい褒めてくれても良いと知杖は思う。

 はいはい。仕事も三年過ぎればあまり褒められなくなるってね。


「確かに、無事に出産したからってその後どうなるのかは不明なんですよね。一応は順調に人の子供が育ってるみたいですけど」

 さて。あの後も知杖はシゲさんの経過を定期的に観察させてもらっている。

 そして、この前のエコーでの胎内の状態を見せてもらった時の感想は、普通の胎児のそれと寸分違いはなかった。

 それは産婦人科医も、通常と変わりませんねと太鼓判を押していたので間違いは無い。

 一瞬、なにか別の生き物でもでてくるんじゃないか? なんて思っていたのもあったので、ほっとしたのは覚えている。

 その記事を載せても「どうせ、出てくるのは何かの化け物だ」と信じて疑わない人達もいるのはいるけれど。


 一部の過激派の中には「父体ともども、滅ぼすべし!」なんていう考えのところもあるのだそうで。

 それもあって、当事者の個人情報のシークレット具合は上がったほどだった。

 知杖たちはある程度もう特定してしまっているけれど。


 妊夫対策委員会というところも、厚生労働省の系列でできはしたものの、できるまでに二ヶ月もたったその組織はまだ、あたふたと現状を見聞するだけにとどまっている。通常の感染症などなら保健所を中心として動けるのだろうが、今回のこれはあまりにも奇怪すぎて、むしろ二ヶ月でチームを作れたというのは褒められて良いはずだ! と、厚労省の偉い人は言っていた。


 まあ、その偉い人というのも先任が妊娠して繰り上げになってあたふたしていたのは、見なかったことにしてあげるのが人情というものだろうか。


「そんな相手に大切な仕事を任せたくない。それは自然の発想だろうな。特にみんなかなりの社会的責任を持ってるような人達ばかりだ」

 これが若い女の子なら、こんなに大問題にならないんだろうがな、と先輩はさらっと言った。

 うん。本当にさらっとだ。たぶん、本心から。他意無くその言葉は出た。

 だからこそ、知絵は、ええ? と不快感をあらわにするのだった。


「あ、それ差別じゃないですか? 女性のキャリアがゴミみたいな扱いとか」

「ちょ、だから睨むなっての。でも、その、さ……代わりはいるじゃん? 内藤が例えば産休に入ったって、誰かがその穴を埋めてくれる。場合によっては、塞がなくてもなんとか会社は回ることもある」

 彼らのキャリアに比べたら、そりゃ若い女の子のキャリアなんて、たいしたもんじゃないと、先輩があっさりいう。

 そしてすでに、産休というものが仕組みとしてできあがっている若い女性の場合は、混乱も少ないだろうと。


 たぶん、正解なのだろう。

 でも。知杖は、ぷぅと頬を膨らませてご不満を顔に出していた。

 当たり前だ。「おまえの仕事はあってもなくてもかわらない」みたいなことを言われたらそりゃ、怒る。

 代わりがいなくても問題はない、というのは、たぶんここが出版社だからこその言葉なのだろうけれど。

 

 年収300万円からの妊活企画を果たして、引き継いでくれる人はいるだろうかと知杖は思う。

 もちろん、一人の記者の思いなんてのは、なくなってしまっても、きっと日本って国の尺度ではそれこそ「大海に小さじいっぱいの塩を入れるような」大勢を動かすようななにかに関係ないのかもしれないけど。


 でもだ。この記事に関しては、少子化を緩和するために書いているのだ。

 なにより「子供を持ちたい多くの人達」に、実際大丈夫だよ、って伝える記事が、「なくてもいい」だなんて、いくら先輩でも言って欲しくはなかった。

 でも、それを言って、先輩はそれをまともに聞くだろうか?

 

 婚活企画については、先輩に話をしても、ふーんという反応だ。記事のできがいいと褒めてはくれるけど、特別食いついているわけでもない。

 さすがは何歳になっても子供ができる男だからこその余裕なのか。

 そっちについての理解は、たぶん無理なのだろう。 


 だったら、せめて別方面で言い返したい。


「それを言っちゃえば、今これだけ、仕事を別の人に振れてるんだから、彼らだっていくらでも代わりきくじゃないですか」

 先輩は、妊婦になる若い女性を、代わりのある人材と言った。

 けれども、今の流れを見て欲しい。

 

 政治家はその多くがあの三ヶ月ショックから、引退や代替わりをしているし、一般企業では妊夫となった社長は、数こそ少ないもののたいていが会長職に退いている。

 あとは、多いのがシゲさんのような、社長の側近のような人達だ。


 たぶん社長よりもリアルにいろんな数字が目の前に飛び込んできてしまって、その上で業績を右肩上がりにしなければ! と思った人達が、あぁ少子化がと言ってしまったんだと思う。

 そちらの多くは、休職扱いが多いらしい。シゲさんみたいに、両立している人はそんなに多くはない。


 あれだけ働きたいといっていたシゲさんは、安定期に入った今、病院からいろいろな部署に指示を出しているらしい。

 会議はもちろんWEBでだ。

 そこらへんは知杖の父がいろいろ手を回したらしい。いちおう取引相手ではあるし、社内に知り合いがいたから「妊娠した失敗者」というレッテルではなく、被害者という方向で上手く調整をつけたそうだ。


 妊娠を、失敗だとか、被害だとかいうこと自体に、おまえらとは思ったものの。

 働いている人が、急に「働けなくなる」のであれば、そう捉えられるのもしかたがないのかとも知杖は思う。

 それは「病気」と同じカテゴリの問題になる。

 

 体調が崩れて当たり前なことこそが「妊娠と出産」というものなのだ。

 これに関しては、それをわかる気も無いと投げ捨てたのが昭和の時代で、今は、わかりつつ、でも配慮をするのが可能な限りというのが、一般的なありかたなのだろう。

 大手の企業なら、出産期の「女性」を手厚く扱う仕組みはできているものだ。

 それが「男性」にまでも適応されるのかは、もう、各社の考え次第だ。


 ちなみに、中小企業は、妊婦事件の被害者があまりいないので、通常運営といったところだろうか。

 それでも大手の混乱の余波というものはあるようで、いつもより働く時間は延びているという話も聞く。知杖の会社だって書かなければならない記事の数は増えていたりする。


「代わりの人間が今までと同じ仕事できてるわけじゃないだろ。この混乱っぷりを見てみろよ」

「えぇー、なんとかなってるほうだと思うけどなぁ」

 人間というものは集団で生活をするものだ。

 若い妊婦が換えのきくパーツだというのなら、年配の妊夫だって換えはきいていると思う。

 あとは、不慣れな役職になじんで慣れてくれば、もうちょっとマシに回るようになるだろう。

 

 確かにあの動画が流出した頃は、パニックが起きたし、株価もがくんと下がったりもした。

 特に、社長が妊夫になってしまったところなんかは、一時半額まで株価は落ちたという。

 その後、社長は後継者を指名して、会長に退き、株価は戻ったそうだけれど。


 うん。なんだかんだで、代わりの人はいて、なんとかなっているのが実際だ。


「まあな。でも重要なポストだからこそ、妊娠というリスクを負っている人間には任せられないわけだよ」

「あ、先輩、妊娠をリスクっていったぁ。妊活の雑誌書いてるライターの前で、リスクって言ったぁ」

 ひどーい、というと、いや、そりゃさ……と先輩はばつが悪そうに頭をかいた。


 妊娠はリスクって考えが広まっちゃったら、それこそ少子化が加速されてしまう。

 頑張って低収入でも安心して産めるようにって無い頭を絞って頑張って考えているというのに。

 この男は……くっ。先輩が妊夫になればいいのに!


「今はちょうど皆さん安定期に入ってます。流産のリスクも減ってます。今ならまだ仕事はできると思いますよ」

 なのに、このいきなりの肩たたき感はどういうことですか!? と知杖は言った。

 シゲさんはあの例の中では珍しく仕事をしている人だ。

 でも、大抵は「妊夫」だからと仕事をほされてしまう。


 どうせ、今の世の中デスクワークで、パソコンがあれば遠隔で仕事もできますし、ほとんどみなさん頭使って仕事するんだから、そこまで過保護にしなくてもいいじゃないですか、と言うと先輩は難しそうな顔を浮かべた。


「普通の妊娠と一緒にしていいのかってのが、みんなの発想だな。流産すれば本人もたぶん死ぬだろうし」

 ただでさえ、妊婦が職場にいれば気をつかうんだぜ、と先輩は言った。

 それはどういう気なのだろう?


「例えば、私が妊娠したとしたら、先輩は何をしてくれるんですか?」

 ちなみに、先輩以外の男性の子を宿していたとします、とびしぃと言ってやると、おまえなぁと情けない声が浮かんだ。

 でも、先輩とは恋愛関係でもなんでもないし。

 それに、お腹の子の父親としてやること、と、会社としてやってくれることはもちろん別物だと思っている。


「いや……その。なるべく夜勤させないとか、重い物は持つ、とか?」

「ずいぶん古典的な答えが来ましたね。でも、仕事を制限するとか言い出さないのは好感が持てます。いまの妊夫のみなさんは、一昔前の妊婦そのものだと思うんですよね。男の人が、妊婦の扱いわかんないし、どうすりゃいいかもわからん、下手して流産でもしたら、会社潰れるどーってな感じです」

 実際、妊婦だって、できる仕事はいっぱいあるし、やれることもあるし、それこそ産前休暇の前はちょっとつらいから有給欲しいなくらいが、正しいことです、というと、なぜか先輩は、くぅ、どうせ俺は三十路の魔法使いだよ! とすねてしまった。

 なにをそんなにダメージを負っているのかよくわからない。

 いや、別に、「自分の妻で体験していない」から「知らない」というのはダメだろう。


 というか、今回の妊夫になっている人らは、「妻が妊娠していても、自分は仕事に集中してて、妻の状態すら知らない」人達がほとんどだ。

 まあ当時は専業主婦制で国は回っていて、夫の収入だけでやりくりはできた時代だ。

 夫はただ、仕事に邁進して家庭を顧みない。それが昭和の男という物だった。

 土産にすし詰めを持って、ネクタイを額に巻いて帰るというのはさすがに、漫画チックだけれども、知杖の父、ないしもうちょっと上の世代は、多くがそれで回っていた。

 

 でも、いまはその理屈ではどうにもならない。

 いつの間にかこの国は専業主婦を雇えない国になってしまった。

 だからお互いのことをもっとしっかり気遣いあって、それぞれ仕事や育児を共有しなければならないのである。


「先輩に尋ねます。世の男性の年収を上げるにはどうすればいいでしょうか? 妻が専業主婦をやれるレベルで」

 ほい、思考タイムは二分あげますといいつつ、知杖は、つまらさなさそうに言った。

 わかりきった答えだからだ。


「……二倍、男が働く?」

「いえ、二倍、男が稼ぐ、が正解です」

 考えるまでもない。専業主婦とは、夫一人で家族をまかなえるだけの収入がなければ成り立たない。

 昭和の時代はそれが多くの家族の姿だったのかもしれないのだが、今、それができるのは、有益な固定資産を持っている一部の資産家か、鬼才を発揮して稼ぎまくった人の子供くらいなものだろうか。


 つまりは、「サラリーで暮らす人達は、二倍稼ぐのは難しい時代」なのだ。

「二倍働く」ことはできるかもしれない。本人の体力と、技術でそれは可能だ。

 でも、結果をだしても給料は純粋に二倍にはならない。

 下手をすれば、働き方改革の恩恵で、「1と、おまけ」程度になることもあり得る。

 サラリーとはそういうものだ。

 

 業績を上げればベースアップに色がつくことはあっても、二倍にはならない。せいぜい数パーセントの賃上げか、よくて昇進して一割増しなんて感じだろうか。

 

「逆に、今の世の中は、一発当てた人が、嫁さんめとれる感じですね。それこそ所得税の額で嫁さんの数決めていくみたいなことすれば、専業主婦とかもいけるかもしれませんが」

 あ、でも、そういう男によってく人って、自分に投資しまくりな美ボディで、徹夜必至でぼろぼろな私なんて無理だなーと、知杖はおちゃらけた様子で言った。


 前にセレブ婚みたいなのの取材に行ったことがあったけれど、自分としてはあれは、ないなと思ったものだった。

 本人達がいいなら、それでいいけれど、なんというか知杖としては。

 それは「セレブの家への就職なのではないか」とすら思ってしまうのだ。


 貧富の差、というとあれなのだけど、大成功した人は、多くの女性を囲うことができて、一般の人は夫婦共働きではならないといけないというのが、今だ。

 ちなみに、大成功した女性なら、多くの男性を囲うこともできるのだろうけど、残念な事に知杖はそれに該当する人物を知らない。

 物語の中にだって、そういう人はあまりいないように思う。


 社会系の雑誌の記者なら、そこらへんを見て「上層に搾取されている」みたいなので売り上げを伸ばすのだろうけれど。残念ながら知杖には、そういった経済の流れを感じるセンスはない。

 「たぶん」そうなんだろうし、金持ちはけしからんという感情で雑誌を買わせるわけなのだけれど。

 情報源(ソース)が明確ではない場合が多いのだ。だから知杖は、しゃーないな、とそこで思考を閉じている。


 そっちを考えるより、自分としては、「こうなってしまった中での幸せ」を考える方が大切だと思うからだ。

 どうにかしたいのなら政治家になるべきだし、そんな熱もお金も知杖は持ち合わせてはいなかった。


 あとは、せめて選挙にいって「こいつはねーな!」とけした以外の中から誰かを選ぶだけである。

 全部消えたら、該当無しで無効票としているスタイルだ。

 自分はならずとも、自分だったら「ぜってぇ、この考えが通るのは嫌だ!」という場合は、きちんと意思表明できるのが、選挙の場なのだから、使わないわけには行かない。


 ちょっと遠い目をしていたら、先輩がちょっと恥ずかしそうにきりだしてきた。

「じゃあ年収五百万の俺が専業主婦をかこうことは?」

「浪費癖のない人を選ぶといいですね。買い物とか、旅行とか、そういうのしないで、貴方のそばにいれればいいの、みたいな天然記念物が居れば、なんとかやってけるのでは?」

 ほら、扶養控除とかもありますよ? というと、なにその聖女、と先輩は嫌そうな顔をした。

 今までの女性経験からなのか、そんな女性がいるんですか? というような感じだった。

 

 そこらへんは、恋に落ちたらなんとかなる……のは賞味期限があるのだっけ、と知杖は思いつつ、貧乏性の人、大人気説というのを頭にトピックした。恋愛系雑誌の友人から、次来るトレンドのモテ系ってなんすかね、とか聞かれていたのだ。

 ちなみに今年二年目でフレッシュなリア充さんだ。

 ネット上に写真を撮って、いいね! をもらうのが趣味という感じの、今時男子である。


 そこに、「貧乏性の彼女」を持って行って、はぁ!? とか言われないかが不安だけれど、少ない収入でなんとかやっていくには、少なくとも浪費癖がある彼女はダメだし、そういう相手に浮気をするのもダメだ。


 今までの記事やらデータを見た限りだと、地味目女子と結婚して家庭を持った男性は、ふと、夜遊びをしてしまって、破綻してしまうのだという。

 気持ちは知杖もわかる。

 

「それと、浮気はダメですよ? そういう子にとって、浮気は痛い。っていうか、自分の魅力ないのかな、とか、結局おまえも、でっかいおっぱいで、お化粧綺麗な相手の方がいいんだろおおぅ! とかガチ切れです。あたしはお金かけずにがんばってんのに! ってのもつきます」

 そうですね、例えば先輩の好きな相手が、先輩はカッパ巻きだけの回転寿司にしか連れて行ってくれないのに、ほかの子にはネギトロ巻きをおごってくれる! なんてなったらガチ切れます、というと、先輩は呆れた顔を浮かべた。


「カッパ巻きだけの寿司屋とか、なにそれ、お客みんなカッパかよ……」

「表現の問題です。奥さんにできないサービスをほかの女にやるな、ってことですよ」

 ちなみに、私は納豆巻きが好きです、と知杖がいうと、おまえはリーズナブルだよなぁと先輩が言った。

 そんなことを言っても、先輩はただの記者としての先輩です。男として意識したことは、全然ないのでご容赦ください。あ、でも先輩年収五百万か。いいなぁ。


「ともかく、今は安定期に入ったわけですから、経過はしっかり見るにしても、お仕事はしててOKな時期ではあるんです。それこそ通常の妊婦なら、マタ旅とかしちゃうレベルで安定するんですから、そんな病室のベットにくくりつけられて、絶対安静! なんていう時期ではないのです」

「いやいやいや、それで流産したらやばいだろ」

 マタ旅っていっても、海外旅行とかはダメだろ? と先輩は信じられないという顔を浮かべた。

 まあ、実際、出かけられても電車に乗ってそこそこ、落ち着いたところに行くくらいがいいとは言われているけれど。

 裏を返せば、妊娠のことだけ必死に考えなくてもいい、息抜きできる時期でもある、というわけだ。


「しかし、なにが正解なのか、正直よくわからないですね。黒い影の意思にそぐわなければ溶けるということなら、父体が最優先で、いわゆる昔ながらの実家に帰って出産なんて話になるんでしょうけれど」

 でも、それができるだけの経済力……あぁ、あの人達はあるのか、と知杖は本業の方の記事をちらりと見ながら、うなだれたのだった。

妊婦をどう扱うのか、というのは現代日本でも困る職場は多いと聞きます。

うちは割とそこらへんしっかりしていて、産休育休取得100%だったりしますが、その分のしわ寄せは全部現場のスタッフにかかったりします。

産休前も、うちはどこまで働けるのかというのは本人の意向が通るのですが、出産系の知識が薄いと「どう扱って良いのやら」と壊れ物の扱いに悩むというような感じになりえます。


今回はそんな話だったのですが、伝わってるといいなぁ。雑談しすぎた感が……orz


次話はもうちょっと動きがありますよ! だまって妊夫にさせられてたまるか! 的な感じです。だって当事者はみんなトップ付近に上り詰められる優秀な人達なのだもの。

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