第6話:再開②
旧約聖書の創世記によると、主なる神はアダムとエバを追放した後、
命の木への道を守らせるためにエデンの園の東に回転する炎の剣とともにケルビムを置いたという。
輝美
「お前は・・・・死ね」
両手で大鎌を頭上に構え躊躇いなく下に振りぬく
殺意を感じ咄嗟に一歩下がった為、右腕にかすり傷を負った位で済んだ
一瞬の判断が、功を奏したのだ
開夢
「輝美・・・・どーしちまったんだ?」
突然の事で何がなんだか解らなかった
掠めた右腕に鈍い痛みが、現実だと叩きつける
殺される・・・・そう思った
輝美
「私を誑かす偽者がぁ」
素早く右から左になぎ払う
ガチンと武器と武器が爆ぜる音が辺りに響いた
開夢
「俺は、お前と戦う気はない!話をしたいだけだ!」
輝美
「偽者と話す気はない!」
鍔迫り合いをするも、輝美の気迫に負け弱腰になった所に更に追撃を受け倒れた
輝美
「私は話すことなんて無いわ!ただ、偽者のアナタに死んでもらいたいだけ」
彼女の目を見て本気だという事を理解した
今の彼女に何を言っても、無駄だということを瞬時に理解した
このままでは、俺は彼女によって殺されるだろう
いとも簡単に・・・・
輝美
「さようなら。偽者さん」
俺は覚悟を決め目を瞑った
????
「やれやれ・・・・開夢」
「そんな事じゃ先が思いやられる」
その声の持ち主は、ケルビムだった
目を開けると目の前には、回転する炎の剣があり彼女を退けていたのである
開夢
「ケルビムが助けてくれたのか・・・・ありがとう」
リヴァイアサン
「この剣は見覚えがある・・・・輝美!一時、引くのだ」
輝美
「解りました。リヴァイアサン様」
「偽者さん・・・・一旦命は奪わないであげる!」
「でも、近いうちに私が必ず殺してあげるわ」
リヴァイアサン
「・・・・忌々しい・・・・エデンの使いよ」
そう言うと、輝美とリヴァイアサンは夜の町へと消えていった
間一髪助かった俺は、立ち上がりケルビムを見た
ケルビム
「危なかったな開夢」
開夢
「お前が居なきゃ殺されてた・・・・輝美は本気だった」
「あんなに優しかったのに彼女に何があったって言うんだ!」
「あの目は、本気だった。輝美は俺を殺そうとした!」
「教えてくれ!ケルビム!なんで、俺は殺されそうにならなきゃいけないんだ!」
ケルビム
「その昔、一匹の蛇にそそのかれ、禁断の果実を食べたのがイブさ」
「その果実をアダムにすすめたのがイブなんだ」
「そして生命の樹の実を食べたことから永遠に生きることを恐れた神が地上へと追放した」
「アダムとイブと蛇を・・・・」
開夢
「・・・・」
ケルビム
「今の彼女は、その時の蛇に操られているんだろう」
「結局・・・・歴史は繰り返されるという事か」
開夢
「なんなんだよ!ちくしょう!わけが分からねぇ・・・・」
ケルビム
「最初に言ったろ?」
「君が死ぬ瞬間に新たな分岐点が訪れたと・・・・」
「今の現世は、君が死ななかった世界と死んだ世界が重なって空間のねじれによって君は生かされた」
開夢
「なんだよそれ・・・・俺はどうしたらいいんだよ」
「訳の解らないまま死ぬのはごめんだ!」
ケルビム
「開夢・・・・君の気持ちはよく分かる」
「けど、これはチャンスでもある」
開夢
「チャンス?」
ケルビム
「そうチャンスだ。全てのセフィラを集め君の望む世界を作り変えればいい」
「君はセフィラを持っていないただの人間だ」
「さっきの彼女の様にセフィラの守護もないただの人間だ」
「この世界は君か彼女が望む世界のどちらかになるはずさ」
「僕はそんな君に賭けたい」
開夢
「世界なんかどうでもいい・・・・彼女・・・・輝美だけは、取り戻したい」
ケルビム
「それだけで十分だ」
「もう一度聞こう・・・・参加するかい?」
開夢
「ああ。参加する」
「俺は、彼女をこの手に取り戻す!」
新たな決意をし、ケルビムと共にセフィラ争奪ゲームへと参加したのだった