第3話:悪夢
「創世記」
蛇が女に近付き、善悪の知識の木の実を食べるよう唆す。
女はその実を食べた後、男にもそれを勧めた。
実を食べた2人は目が開けて自分達が裸であることに気付き、それを恥じてイチジクの葉で腰を覆った。
その結果、神の怒りに触れ蛇は腹這いの生物となり、地上に縛られ。
女は妊娠と出産の苦痛が増し、また、男が呪われることによって、
額に汗して働かなければ食料を手に出来ないほど、地の実りが減少することを神は言い渡した。
主なる神は命の木の実をも食べることを恐れ、彼らに衣を与えると、2人と一匹の蛇を園から追放する。
「憎き神を我は許さぬ・・・・必ず復讐する。もうすぐ・・・・もうすぐだ」
「水族館楽しみにしてるね」
「ん?あぁ、明日朝イチで迎えに行くよ」
開夢は、恥ずかしそうにそう答えた。
「うん。待ってる」
もうすぐ、彼が私の目の前で死ぬ時間が刻々と迫ってくる中、私の決意は変わらない。
絶対に死なせない!そう決めたのだから・・・・
もう何度も彼の死を超えてここまで辿り着いた私には、このチャンスに賭けるしかない。
でも、二人が生きる世界に未来は進んではくれない
絶望の中に見出した私が望む世界を創る
例え開夢が私を失って、私を憎む事になっても
私は彼に生きてもらいたい
「それじゃ、今日はそろそろ帰るよ。また明日な」
「ちょっと待って」
帰ろうとする彼を私は止めた。
そして、腕を掴み彼を抱きしめた。
震える私の手をそっと彼は握ってくれた
その温もりが、私にはとても心地の良いものだった
そんな時間が永遠に続けばいいとそう思った
だが、現実は無情にも簡単に壊されるという事を私は知っている
「大丈夫・・・・私が守るよ絶対に」
自分を奮いたたせる声が自然と口ぐさんでいたが、彼には聞こえていなかった
その瞬間、ドンと大きな音と共に私と彼は突然現れた車に跳ねられた
跳ねられる瞬間・・・・私は彼をかばった
衝撃によって数メートルふっ飛ばされたが、私は彼をかばうように守った
暫くして、痛みが現実だと実感させるには十分な程全身痛かった
「夢開・・・・大丈夫?」
「あぁ、だけど・・・・君の血が止まらない」
「大丈夫・・・・君を守る事が私には大事だったの」
「馬鹿野郎!お前の居ない世界で俺がどうやって生きていくんだよ!」
「だ、大丈夫・・・・私は死なないよ」
そう、私の選んだ結末
私の望んだ世界・・・・
私は新たな分岐点を選んだ
「リヴァイアサン・・・・これが私の選んだ世界よ!」
「おめでとう378回目によって遂に世界を選択したか!」
明るかった世界が、砕け散りそして無数の扉のある白い部屋に戻ってきていた
「現実とは、無情よなぁ・・・・無くした記憶を再構築して同じことをするんだから」
「え?」
「お前は既に死んでいるのだ。だが、実際に彼を追い詰め彼を殺したのも君なのだよ」
「!?」
その瞬間私は、蛇の囚われた人形に過ぎなかったことを知った
自分自身を呪いそして、守ろうとした者が死んだことを知り私の心は闇に覆われてゆく
憎しみ・悲しみという闇に・・・・
「わ、私は・・・・彼を、開夢を苦しめただけだったの・・・・教えて開夢・・・・」
そして、私はリヴァイアサンに取り込まれてゆくのであった
補足説明
この物語には二人の人物の交差していく物語を想定してました
pixivでの話とこちらでUPしている話は、ここから大きく変わるのだと思います
いくつものパラレルワールド的なお話になりそうですw