1番好きな人と付き合ったり、結婚したりしないから!
夢設定です。こんな未来が来るのかも?っと思ったので一気書き。
「ドリームライフ」以外は現代とほぼ同じ世界です。
◆1◆
20××年。
wikipedia「ドリームライフ」
全世界で大ヒットを記録した娯楽VR(仮想世界)ソフト、『ドリームライフ』。
専用のヘッドギアを付けることで、脳波を読み取り仮想世界にダイブする事が出来る。
仮想世界内では、現実とほぼ同じような感覚を得ることが可能。
仮想世界でリンゴを食べれば、現実世界と変わらない味覚と感触を得、裸足で地面を歩けば土の感触がする。人に触れれば体温を感じることが出来る。
ソフトの売りは、現実と変わらない感覚を得ることが出来る技術ともう一つ、誰でも個人情報(ソフト使用時に機器がスキャンした生態データ)を公開でき、DLされた数に応じて収入を得ることが出来る仕組み。
発売当初は、個人情報を後悔することに心理的な壁があったため、公開されるデータは少なかった。しかし、とある女の子が個人情報をアップロードすると、爆発的なDL数を発揮し、その子は一生遊んで暮らせるだけのお金を一瞬で得た。
その話が広がると、データ公開の勢いはとどまらなかった。
皆が皆、個人情報の公開を始め、何人かの億万長者がでてきた。ただ何もせず、データをUPするだけで一生遊んで暮らせる。アイドルや俳優も『ドリームライフ』に参入し始め競争が激しくなると、それに合わせてより多くの人々が『ドリームライフ』に参加した。
そうしていつしか、国民のほぼ全員が『ドリームライフ』を所持するようになった。それは前世期のTVや携帯と同じ普及率だった。
皆が皆、ドリームライフを通して娯楽を得るようになったため、その影では既存の娯楽産業が衰退を余儀なくされたが、ドリームライフ内に支店を持つことでその立ち位置を確保したのもまた事実であった。
こうして、今の『ドリームライフ』の常識が出来た。
誰もが『ドリームライフ』で個人情報を公開するのはごく一般的な行動となり、DLするのも日常行動の一環。
そのため、好きなクラスメイト、好きなアイドルの個人情報をDLして、デートも握手も思いのまま。旧時代の様に、仲良くなり、告白し、付き合うというプロセスは不要。付き会える者が選ばれた1人というわけでもない。ただデータをDLすれば、仮想世界の中では誰でも仲良くできる。
つまり、恋愛感情と言う「娯楽」要素を効率的に甘受できる社会となった。
これは、ある種、画期的な発明であった。
皆が皆、仮想世界の中で、自分の好きな人と暮らせる社会が到来したのであった。
それは誰もが夢見た社会、人類のコミュニケーションを根底から変えた革命的なツールの登場だった。
その衝撃を表し、ドリームライフ前の時代は「旧夢」と呼ばれている。
それは一握りの者のみしか夢を見られなかった社会である。
今では信じられない事だが、旧夢時代では、1番好きな人と恋人になる訳でもなく、結婚する訳でもない時代だった。現代では仮想空間でその感情を満たすことが出来るが、旧夢時代の人はそれにひたすら耐え、想いを封印していたのである。
だが、そんな常識と衝動の狭間から生まれたものが、「ドリームライフ」かもしれない。
※直、「ドリームライフ」はプライバシーコードが有り、18禁行為は本人の許可がなければ禁止されております。又、18歳未満は本人の許可があってもコード該当行為は禁止されております。
◆◆◆◆◆◆
俺こと四宮紀一朗は、久しぶりに『ドリームライフ』のwikipediaを見た。
高校1年生の、特にこれといった特徴がない俺だけど、本当に良い時代がきたと思う。
もし、「旧夢」の時代に生まれていたと思うとぞっとする。
好きな子と話したり遊ぶのが、気軽に出来ない社会なんて、夢も希望もなかった時代ではないかと思う。
さて、今は21時。
宿題も終えたし、今日はどの子と遊ぼうかな。
ベッドに横になり、ヘッドギアを装着する。
すると、馴染みのログイン画面が出てきて、直ぐに夢の世界『ドリームライフ』にダイブする。
西洋の教会風に風にカスタマイズしているホーム画面で、男子高校生向きのDLランキングを見る。
う~ん、どれにしようか。
やはり、ランキング上位には芸能人やアイドルといった子が多いが、値段も高い。
親から貰えるお小遣いは少ないが、自分もドリームライフ内で個人データを公開しているためそこそこ収入はあるが、なるべく貯金しておきたい。
1学年300人(男150人、女150人)の内の高校で、俺は男子ランキング11位と、微妙な所にいた。後1位上がれば、ランカ―と呼ばれるトップ10に入り、DL数も大きく上がるのだけど。でも、一体誰が俺のデータをDLしてるんだろうと毎回思うが、深く考えないことにした。
仮想世界で自分と全く姿かたちが同じ人、データが他人に何をされているか想像すると、あまりいい気はしないが、その事は皆も同じだ。皆が皆データを公開しており、その事に対しては割り切っている。アップされるデータは、アニメや漫画のキャラと同じただのデータであって、俺本人ではない。アニメのキャラと何をしようが人が気にしないように、俺のデータに何をされようが気にしてはいけない。それが社会常識。
それにプライバシーコードが有り、暴力や性行為が禁止されているので、最低限の倫理観は守られている。変な事がされているわけでもないであろう。決して、サンドバックにして殴られている事もないはず。
リストを次々にめくり、内の高校の女子生徒を見る。
同じクラスで時々話す子や、女友達も含まれている。
「へぇ~、あの子が人気なんだ。普通の子だと思うけど・・・」と感心しつつ、次々リストをめくる。
そうして見つけた。
秘かに好意を抱いている隣のクラスの「早乙女沙耶」さんだ。
ランキングでは学年49/150位と、あまり人気がないようだが、それは周りの目がおかしいのだろう。彼女の魅力を全くもって分かっていない。彼女が俺の中では圧倒的NO1だった。
それに予算も問題ない。一般学生の値段はそれ程高くないので、データを公開した収入で購入可能だ。
しかし問題は別の所にあった。それは心理的な壁の様なもの。
彼女の事は好きだが、好き過ぎて購入できなかった。
何かとてもいけない事をしているような感覚に襲われた。
彼女の事を、例えデータだとしても、金で買う事に躊躇していた。
だが同時に、彼女のデータを買っている人が自分以外にもいる事がランキングから分かると、それが悔しかった。彼女の魅力を分かってくれる人がいるのは嬉しいけど、同時に誰にも分かって欲しくないと思った。それは醜く自分勝手な独占欲なのかもしれない。
友達にそれとなく聞いてみたが、皆、その葛藤は乗り越えたらしい。
「ゲームや漫画を買うのと変わらないよ、ただのデータなんだからと」と。
確かに、世間の認識はそんなものなんだと思う。俺も頭ではそう思っているし、友達に聞かれたら同じように答えると思う。
いちいち罪悪感など抱いていたら、やっていられないだろうし、誰もDLしないだろう。
でも、中々行動できずにいた。何度も同じ葛藤に苦しみながら、迷い続けた。
だが、もうそろそろ前に一歩進む時なのかもしれない。
ただのデータなんだし、皆やっている事なんだから。
それになにより、現実世界では恥ずかしくて声すらかけられない早乙女さんと話したかった。それだけで良かった。
今日、初めて「早乙女さん」をDLした。
◆
早乙女さん(データ)を初めて呼ぶ場所は、桜舞い散る草原にした。
背景は南アルプスで、多くの山羊が草原に放たれており、時折、羊飼いが鳴らしている笛の音が聞こえる。
データ名は「桜アルプス」で、作者は「青桜」という人らしい。
この作者のシリーズは気に入っているので少しづつ買っている。
『ドリームライフ』では、こういったシチュエーション別の環境セットが公開されており、無料の物から有料の物まで幅広く揃っている。因みに、今回のは有料だが、DL数を見ると、あまり人気は無いらしい。
しかし、隠れた名作ではないかと思っているので、早乙女さんも不快な感情は抱かないと思う。例えデータだとして、早乙女さんには気をつかわなければいけないと思う。
草原に座りながら、山羊の数を数えながら心を落ち着ける。
そうして100程数えた後、操作パネルを呼び出し、早乙女さんを呼ぶ。
すると、データ人を呼ぶ時独特の演出、次元を裂くように扉が出現し、その中から早乙女さんが登場する。
いつもの学生服姿の彼女は、微笑んでこちらを見ている。
データの彼女だが、その姿を見るだけで緊張してしまい、ただ彼女を見つめたまま硬直する。
数秒沈黙が流れ、「め~」っという山羊の声で正気を取り戻す。
危なかった、彼女の魅力に取り込まれかけたが、山羊に助けられた。
とりあえず、何か話さないと。
何を話すか事前に決めていたはずだが、頭が真っ白で何も言葉が出ない。
彼女は時間が経つとデータ人がする、標準ポーズと言われる仕草をしている。
いくつかある動作の一つ、足で地面の草をつついている。
「早乙女さん」
「何?」
おっ、声が聞こえた。彼女が返事をした。
現実の学校で、遠くからさりげなく聞いていた、彼女の声と同じだ。
その声に心が震え、思わず感激する。生きてて良かった。
「山羊、好きかな?一杯用意したんだけど」
そう、秘かに彼女の好きな事を把握していた。
女友達にそれとなく聞いた結果、彼女は山羊が好きらしいことが判明した。
その証拠に、彼女のスクールバックには山羊のマスコットの様なちっこい変なぬいぐるみがついている。かわいいとキモいの中間の様なキャラで、どこがいいのかよく分からなかったけれど、多分、何かが彼女の心を捉えたんだと思う。
「好きだよ。本当に、一杯いるね」
彼女は頬を緩ませて喜んでいる。データだとしても関係ない。
その表情を見ているとこちらまで心が温かくなり、嬉しくなってくる。
データの人格設定は、元の個人データが参照されるため、ある程度は現実に近い彼女のはずだ。しかし技術的に問題があるためか、完璧に一緒という訳はない。身体データは完璧なコピーが出来ても、精神的なものは再現できないようである。
「1029匹いるんだ。近くで触ってみる?この笛を吹くと寄ってくるんだ」
「うん、触りたいな。ふかふかで気持ちよさそう」
「まかせて」
アイテムボックスから羊笛を取り出し、呼び出す羊の番号を入力し、笛を吹く。
とりあえず、「300」番の羊を呼んでみた。
すると、群れから離れた羊が「め~め~」と泣きながら、ふさふさの白い毛をゆらしながら1匹こちらにやってくる。
笛を拭き終えると、ちょうど目の前まできた。
試に羊に触れてみると、感触が有るような無いようなふかふかの感触で、中々病み付きになる。もふもふされている羊は、腰を下ろしてその場でくつろぐ始めた。
早乙女さんもこちらに近寄り、羊に触れる。
「わー、きゃっ、本当にふわふわしてるね」
羊よりも、近くに早乙女さんが来た事に動揺する。
1mも距離がないんじゃないかと思う。人生史上最も早乙女さんに近づいた瞬間かもしれない。
ふわふわした早乙女さんが、ふわふわした羊と戯れている絵は、まさに至福の時間だった。思わずその絵に目が奪われてしまう。おっと、忘れないうちに今のシーンを動画に収めなければ。パネルを操作して録画を始める。
すると、突然アラーム音がする。
これは現実、外からの連絡で、俺の体に何かあったのかもしれない。
この空間、至福の時間から離れたくないが、ログアウトするしかない。
自分からしなくても、強制的にはじき出されるのだから。
しょうがない、さよなら、夢の時間。
◆
目を覚ますと、そこには中2の妹の未紅がおり、ベッドに寝ている俺を上から見つめている。どうやら、アラームの原因は彼女らしい。
「お兄ちゃん、ドリームライフ貸してよ。昨日貸してくれるっていったじゃん」
「そんなこと言ったけ?」
といいながら記憶を思い出すと、確かに言った様な気がする。
寝ぼけながら朝食を食べていた時に聞かれたと思う。曖昧な記憶だが。
「言ったよ、早く貸してよ。演義に会いたいの。昨日からずっと楽しみにしてたんだから。早く貸してよ」
そういえば、内の妹は「演義」というアイドルグループが大好きだった。
部屋にドデカいポスターを張って、へんてこなうちわが飾ってある。
直ぐに「ドリームライフ」に戻り、早乙女さんとの至福の時間を味わいたいが、約束したらならしょうがないか。
それに、あれ以上早乙女さんといると、心がドキドキしすぎて持たなかったかもしれない。まずは徐々に接触時間を増やしていくべきだろう。
プールに入る前と同様に、まずは手足を少しづ浸していく。そうして心を慣らしていかないと、精神が持たない。
「お兄ちゃん、顔、きもいよ。せっかくそこそこ良い顔してるのに。今、すっごく、きもいよ、きもち悪い」
2度言わんでも分かるわ!愚妹が。
「分かった。ほら、貸すけど、絶対に壊すなよ」
「大丈夫、大丈夫。やったー、これで今日は良い夢見れるよ。ありがと、お兄ちゃん」
ドタドタと部屋を出ていく妹。
部屋を出ていく際に、「ドリームライフ」のヘッドギアが入口の壁にあたったような気がしたが、気にしない。壊れてない事を祈る。
静かになった部屋でベッドに寝転がり、今さっきの記憶を思い出す。
早乙女さん、かわいかったな。
◆2◆
学校。一年B組。
席に着くと、隣にはいつもの女子生徒、美影美波。
見た目はそこそこいい、サバサバ系女子。
確か『ドリームライフ』でも、そこそこの順位だったと思う。
覚えてないが、1年女子で8位ぐらいだったかな。ランカ―、つまりトップ10に入っていたことだけは覚えている。なぜなら、その名前を見た時に衝撃を受けたから。
彼女とはよく話すが、美影のどこがいいかはさっぱり分からない。友達としては楽しいけれど、女の子って感じはしないと思う。
ランカ―だけあってリアルでも男子の人気は高いと聞くけど、不思議だ。
世間には物好きもいるんだろう。
「四宮、また代わり映えの無い顔してるね」
「毎日変わったら嫌だろ」
「それより、何かいい事あったの?いつもより嬉しそうだけど?」
ほほ~う。美影さんは気づきましたか。
今日の登校中は、昨夜の早乙女さん姿が頭にチラついて、ほぼ記憶がない。
いつの間にか学校についていた。
今思い返すと、交通事故に合わなくてよかった。とんでもなく危ない事してたんじゃないかと思う。
教室に入ってからは、変顔をしないように、クールな仮面をかぶり注意していたけれど、気づかれてしまいましたか。
「ちょっとな。昨日、いい夢をみた」
「うわぁ!最低、へんな事してないよね」
思いっきり引く美影。
夢=「ドリームライフ」というのは最早常識だ。寝ている時に見る夢の事を話すときは、寝ている時に見た夢、寝夢という。
それに男子が「夢」というと、「夢」=エロい事という認識がまかり通っている現状はどうかと思う。俺みたいな健全な者がいらぬ風評被害を受ける。
「違う、勘違いするなよ。それに、ちゃんとプライバシーコードがあるんだから、変な事できるわけないだろ」
「分かってるって。四宮は案外そっち系じゃないって知ってるから」
なんだ、よかった。
勘違いされているんじゃないかと、ちょっと焦ってしまった。
「それで、誰と遊んだの?アイドルか何か。最近のアイドルとか知らないけど」
「別に、誰だっていいだろ」
「なんで?教えてよ。別に変な事してないならいいでしょ。興味あるし」
確かに、隠す必要はないかもしれない。
別にいかがわしい事をしていたわけではない。
それに、早乙女さんが羊好きだという情報は美影に探ってもらったものだ。
まぁ、彼女のカバン見れば一発で分かるような話だけど。
「誰にもいうなよ」
「うん、いわない。で、誰よ?誰?」
「隣のクラスの早乙女さんだよ」
一つ間を置き、目を細めてこちらに微笑む彼女。
気のせいかもしれないけど、何が起きても動じないように思える彼女にしては珍しく、一瞬顔が硬直したように思えた。昨夜の早乙女さんとの楽しい思い出のせいで頭がおかしくなってるのかもしれないので、見間違えかもしれないが。
「ふ~ん。やっぱりそうなんだ。ついに買ったんだ。お金でかったんだ、彼女を」
「変な風にいうなよ。皆、やってる事だろ。それに、ただのデータだ」
ついつい言い返してしまう。
でも、別に変な事ではないはず。皆データを買ってるはずなんだから。
「いや、四宮にしては思い切った事したなと思って。だって、ずっと買わなかったじゃん。クールぶってるかしらないけど。何か心境の変化でもあったの?私、気になるな」
「特に何もないよ。ただ、気が向いたんだよ」
そう、ただ気が向いただけだ。
これといって何か劇的な事があった訳じゃないし、理由があったわけじゃない。
ただ、買っただけだ。彼女に会いたかったから。
「そうなんだ。それで、何したの?手を繋いでデートでもしたの?」
「一緒に羊の毛をふわふわした」
「・・・?ごめん、よく聞こえなかったから、もう一度言って」
「一緒に羊の毛をふわふわした」
「私にはよく分からないけど、それって、楽しいの?」
言葉に出すと確かになんだかよく分からない。
他人がそんな事しても全く楽しそうに思えない。
でも、
「楽しかった。間違いなく楽しかったよ。ほら、前に教えてくれただろ、早乙女さん羊好きだって。彼女も喜んでたし」
「喜んでたって、データでしょ・・・」
口を僅かに開けて硬直している彼女。魚みたいだ。
そんな間抜けな顔を他の人に見られたら、ランキングトップ10から落ちると思う。
幸い、誰にも見られていないようだけど。
それにそういえば、美影は俺と話している時と、他の人と話している時の雰囲気が違うようにも思える。女子だからか、そういうものかもしれないけれど。内の妹も家ではヤバいけど、学校でも真面だと聞いている。
「いいんだ。彼女の笑顔が見れたんだから。データでも嬉しい」
「そ、そうなんだ・・・良く分からないけど、良かったね。四宮が嬉しいんならそれでいいよ。羊でも・・・」
明らかに同情するような目でこちらを見ている美影。
それじゃ、早乙女さんが楽しんでいなかったように思える。データだけど。
「なんだよ。それなら美影は何するんだよ?好きな人と夢の中で」
そう、他の人なら何をするんだろう?
普通にデートでもするのだろうか?
でも、美影からはそういった雰囲気がない。さっぱりしているというか、サバサバしているというか、異性に興味がないように思える。
だからこそ、こうして気軽に話せるのかもしれない。
「う~ん。忘れちゃった。思い出せないなぁ」
まぁ、そんな所だろうと思ってた。
話を逸らしているように思えるけど、彼女が夢の中でイチャコラしてるのは想像がつかない。でも、一応煽ってみよう。何か出るかもしれない。
「嘘つくなよ。んな事忘れる訳ないだろ。どうせ人に言えない事してるんだろ。毎日してるんだろ」
「してません」
きっぱりという彼女。冷たい雰囲気を放つ。
ちょっと言い過ぎたかもしれない。
「まぁ、いいや。早乙女さんの好み、また聞いてきてよ。彼女を喜ばせたいんだ」
「四宮、そんなデータの子じゃなくて、実際の彼女を喜ばせればいいでしょ」
「無理いうなよ。データでさえ緊張するのに、リアルで話せるわけないだろ」
「だって四宮11位で彼女49位でしょ。それなら問題ないよ」
ほう、どうやら美影も俺の順位を把握しているらしい。
興味ない振りして、男子のランキングは見ているのかもしれない。
美影も一応女の子らしい。だが、ランキングで人を測るとは浅はか成り。
「さすがランカ―様はいう事は違いますなぁ~。でも、ランキングなんて関係ないだろ。所詮、データのそれなんだから」
そう、所詮はデータ上のランキングだ。
間に受ける者はいないだろう。仮想空間で一緒にいたい人と、現実世界で一緒にいたい人は違うと思う。多分だけど。
「でも、私、四宮の事好きな子、何人も知ってるよ。何なら紹介しようか?」
「面白いよ、その冗談。それにいたとしても、適当に断ってくれよ、そういうの面倒臭いから。それにドリームライフがあるわけだし」
「分かってたけど、四宮って、女の子に興味ないんだね・・・」
「変な事言うなよ、早乙女さんがいるだろ」
そう、今だって早乙女さん、つまり女の子の話をしているのに。
おかしな事を言う美影だ。
「彼女は、その、ちょっと違うでしょ。女の子だけど・・・他の男子が好きそうな、ランキング上位の子って訳じゃないでしょ。意味、分かるでしょ?」
何が言いたいかよく分からない。
確かに、彼女は見た目がいいだけの普通の女の子とは違うと思うけど・・・
そういう事でもないと思う。
「なんでもいいけど、頼むよ、聞いてきてよ。『ドリームライフ』の羊あげるから。買い過ぎて余ってるんだ。ふかふかだし」
「いいけど、羊はいらないから。別の物ね」
◆3◆
帰宅して、夕食と宿題を追え、至福の時間がきた。
妹がしれっと狩りパクしようとした『ドリームライフ』を力づくで奪い返し、ベッドに横たわる。妹は泣きマネをして抵抗しようとしたが、嘘泣きに騙されるほど愚かではない。
愚妹から離れた後は、夢の世界へダイブだ。
『ドリームライフ』のホーム画面にくると、メッセージが来ていた。
美影からで、早乙女さんの好きな物一覧が添えられていた。
――――――――
◆好きな物
・羊
・羊
・レモンケーキ
・百人一首
・ポッキー(一番細い奴)
・羊
・スキー
・・・
・・・
PS、22時に「月の森」に来て、どうせ今夜もログインしてるんでしょ。
――――――――
中々有望なリストだ。
途中、羊、羊と小刻みに書かれているのが気になるが、美影の創作でなければかなり使える資料だ。
しかし、最後に書いてある呼び出しが気になる。
今は21時30だから、あまり時間がない。
それに「月の森」か。
最初は月が見える夜の森かと思ってたんだけど、本当に月にある森なんだよね。
月面に木がわさわさ茂っている姿は衝撃だった。
あんな辺鄙なところで何のようだか・・・
『ドリームライフ』の公共スペースだから、皆が行ける場所なはずだけど。
でも、行くか。明日も顔合わせるんだし、「悪い、寝てた」といっても速攻でばれそうな気がする。変な所で勘が鋭いのが美影だ。それに、ちゃんと早乙女さんの好きな事調べてくれたみたいだし。その事に対して不義理な事はできない。
ふと、合流前に早乙女さん(データ)に一目会おうと思ったが、それはやめて「月の森」に急いだ。彼女の姿を見てしまうと、時間を忘れそうになってしまうと思ったし、美影に会う前に早乙女さんに会うのは、何故だか悪い気がした。
◆
22時。
久しぶりに来た「月の森」は、木が増えており、運営もバージョンアップを繰り返しているのかもしれない。同じ種類の木ではなく、複数のそれが生い茂っている。
木々の間から見える地球の姿は青く綺麗で、暫らく眺めていても全く退屈しない光景だった。
ベンチに座っていると、見慣れた顔の者が見慣れない姿で現れた。
それは今日も顔を合わせた美影美波、学校の制服ではなくラフなジャージ姿だったけれど、やはり美影だった。
特に学校と印象が違う訳でもなく、とくに新鮮味などはなかったけれど、月の森のいるせいか、いつもの彼女より透明度が高いように見えた。
俺も同じような姿だから、彼女にとっては同じように違った印象を持たれているのかもしれない。
「ちゃんと来たんだね、四宮。もしかしたら来ないかもと思ってたけど」
「あぁ、リスト貰ったからな。それより、なんだよ、こんな人気のない場所で」
「えっとね、私だけじゃないんだ。もう一人いるの?」
「!?誰もいないじゃん」
「いるよ。ほら、沙耶もステルスモード解除して」
沙耶?聞き覚えのある名前。
それは、早乙女さんの名前で・・・
「分かった」
昨夜聞いたその声と全く同じ声。
その声と同時に、何もない空間から彼女が現れる。
早乙女沙耶が。
その姿に目が奪われる。
彼女は私服なのか、ズボンとトレーナーだ。
木が生い茂る森の中の格好としては似合っている。
って、俺、無茶苦茶適当な恰好なんだけど。
「お、おい、美影、な、なんで彼女がここにいるんだよ?」
「私が誘ったから。だって、四宮、彼女と話したいんでしょ」
「ば、馬鹿、彼女の前でそういう事言うなよ」
「面倒臭いからこうしたの。それに、沙耶も嫌いじゃないって」
嫌いじゃない。
なんだその微妙なニュアンスの表現は。
歯に何かか挟まったような言葉は。
しかし、今はあたふたしている場合じゃない。
一応学校ではクールで通っている俺だ、早乙女さんがいる前ではシャキッとしなければ。
「ごめんね。美影の馬鹿が変な事して。しかも、こんな殺風景で消去リストに載ってそうなマップで」
「ううん。そんな事ないよ。私、前から四宮君と話してみたかったの」
「そうなんだ」
嘘でも冗談でも、お世辞でも、早乙女さんがそう言ってくれたことは嬉しかった。
だが、それを感じる間もなく、アラーム音が鳴り響く。
これは昨日と同じそれ、俺のリアルボディに何かあったらしい。
昨日に引き続きまたしてもいい所で・・・
「ごめん、ログアウトしなきゃ」
「ううん、いいよ、アラーム出てるみたいだし」
「それじゃね早乙女さん、後、ついでに美影も」
「うん」
「まだ、お返し貰ってないよ」
夢から離脱する間際、美影の不満げな声が聞こえた。
◆
『ドリームライフ』から目覚めると、そこには再び妹、いや、愚かしい妹がいた。
頬を膨らませて怒っているようだった。俺が中2の時って、こんなに子供ぽかったっけと思いながら、ちっこくふて腐れている妹を見る。
「お兄ちゃん。ドリームライフ貸してよ。演技に会いたいよ。今すぐ会いたい!」
「なんで、昨日貸したばっかだろ」
「それでも貸してよ。ずるいよ、お兄ちゃんばっか。ずるいよ。ずるい」
「これは大人向けなんだよ。それに、そんな欲しければ金ためて買えばいいだろう」
「とにかく貸してよ。貸してよ。貸してよ。貸してよ」
う、うざい・・・うざすぎる。
うざくて、ほんの時たま神様の偶然の様にかわいいのが妹だけれど、今日はいつも以上にうざかった。
早乙女さんとの衝撃的な時間が、愚妹との時間で塗りつぶされていく。
記憶が侵略され、妹のキンキン声が耳に響き頭が痛くなる。
「早く部屋に戻って寝ろよ。もう22時過ぎてるだろ」
「演技に会ってから寝たいの。そうしないと寝れないよ。それに、早乙女さんって誰?」
何故に妹が彼女の名前を知っている。
・・・
そうか、昨日データをロックする前に『ドリームライフ』妹に貸してしまった。
無駄に好奇心旺盛な妹がデータを漁ってみたのかもしれない。
それならば・・・
「お兄ちゃん、羊デートとか、すっごくダサいよ。小学生もしないよ」
ぐぬぬ。妹に言われると、尋常じゃない羞恥心を感じる。
美影に話した時は特に何も感じなかったけれど、この愚妹に言われると半端ない。
「ねぇ、お兄ちゃん、お母さんに早乙女さんの事言っていい。羊ふさふさしてたって」
だんだん羞恥心が脹れあがってきて、怒りに変化しそうになった。
何がおかしいのか、ケタケタ笑っている妹。
だが、ここでは強く出れない気がした。最早兄の威厳は消えていた。
「30分だけだからな。1分も延長するなよ。1分も」
「うん、ありがと」
『ドリームライフ』を持ってドタドタと部屋を出て行った愚妹であった。
結局、その日、ドリームライフは返ってこなかった。
知ってたけど。
◆3◆
次の日。学校。
いつものように、横には美影の姿、代わり映えのしない風景だ。
毎日見ているせいか、彼女の姿を見ると「学校に来た」という気分になる。
「四宮、お返しは何かアイテムでいいよ。でも、羊はダメだよ」
羊の何が一体にいけないのか。
それより、あの在庫の山はどうしよう・・・
有限のアイテムボックスの大半は羊で埋まっている。
「分かったよ。アイテムリスト探ってみる。それより、昨日なんで早乙女さんがいたんだよ?」
そう、ずっとその事が疑問だった。
何故、彼女があの場所に居たのか、よく分からない。
「四宮が面倒な事してたから、呼んでみたの?どうだった?」
さらっと告げる美影。
さも簡単そうに、何でもない事の様に。
俺にとっては人生誌に残る衝撃展開だったのだけれど。
「別に、特に何もないよ。一瞬だったし。それに、本物でもデータだろ」
そう、データだ。
リアルの早乙女さんではなくで、本物でもデータの早乙女さんだ。
データ人の早乙女さんよりは早乙女さんだけど、データには変わらない。
「そうだよね、データはデータだ。ちゃんと分かってるじゃん。それより、早乙女さん、四宮と付き合いたいんだって?」
「はぁ?」
何を言っている、美影は。
よく分からない。
よく分からないけれど、予期しなかった言葉に頭の中の時が止まる。
「だから、四宮と付きあいたいんだって」
「聞こえてるよ。でも、なんで?」
「そんな事言わなくても分かるでしょ。そこまで四宮も鈍感じゃないでしょ」
付き合いたいという事は、早乙女さんが俺に好意を持っているという事だろう。
でも、特に話し事もないはず。
それなのに、俺に好意を抱いたのだろうか?
「そうなんだ・・・」
「あれ?嬉しくないの?昨日、夢で羊をふさふさしただけで喜んでいたのに」
「それは・・・データと本物は違うだろ」
そう、違うはず。
生身の人間とデータ上の彼女は違う。
データの上の彼女であれば・・・
「それじゃ、断る?私からそれとなく伝えておくけど」
どうしようか?
リアルの彼女の事は良く分からない。
これまで遠くで見ていただけで、話したことすらないのに。
それに、これからデータ上の彼女と徐々に慣れようと思っていたのに。
でも、これはチャンスなのかもしれない。この機会を逃すことはできない。
「付き合うよ。そうする」
「ふ~ん。付き合うんだ。意外だね。てっきり断るのかと思った」
「別にそうでもないだろ。それに、さっきと言ってる事違うだろ」
「一緒だよ。四宮って、そういう事しないタイプかと思ってた」
・・・
「それは美影の思い過ごしだよ」
そう言ったものの、早乙女さんと付き合う事に対しては、何か言いようのないしこりのようなものが残った。
でも、これでいいんだと思う事にした。
ずっと好意を抱いてきた彼女と付き合うのだから。
今を逃せば、もう巡ってこないチャンスだと思ったから。
◆4◆
早乙女さんと付き合い始めた。
でも、特にどうこうする訳でもなく、どうでもいい話をしたり、時々一緒に帰ったりするだけだ。
何気ない日常生活を一緒に送り、時を過ごす。
「ドリームライフ」全盛の時代でも、付き合う人はいる。
でも、それはどこか旧夢時代と違ったものかもしれない。
リアルで付き合う恋人は、大抵「ドリームライフ」内では会わない。
それは、現実と仮想世界を分けているからだ。
現実は現実で、夢は夢。それを一緒にはしない。
だからこそ、夢を見られる。
それを混同する事で生じる問題を無意識的に察知しているからかもしれない。
現実で恋人がいたとしても、「ドリームライフ」内にも別の恋人がいるのが一般的だ。
現実の相手に不満な点が一点もないことはありえないし、ずっと思いが続くわけでもない。「ドリームライフ」内では、膨大な数の異性から手軽に選ぶことが出来る。それは現実世界で出会う数少ない異性とは比べ物にならないし、何しろ楽だった。
データ上の恋人は裏切ることはないし、想いがなくなったら他の者と取り換えればいい。
だからこそ、娯楽と割り切って楽しむ事が出来る。
早乙女さんと付き合い始めた俺も、どこか彼女に満足できないでいた。
一緒にいて楽しいのだけど、それはどこか違和感があった。別に彼女に不満な点があるという訳でもないけれど、何かが足りなかった。
でも、そんな些細な点を気にすることなく、付き合いを続けた。
◆
1ヵ月後。
学校。
変わり映えのしないクラスの風景。
隣には、いつものように美影がいる。
学校=美影、毎日見る彼女の顔だけれど、最近は違った印象を受ける。
「早乙女さんとはどうなの?」
「どうってことないよ。普通だよ」
普通、そうとしかいえない現状だった。
早乙女さんといると、楽しくない訳じゃない。
でも、それは普通の楽しさで、普通の充実度で、特別な何かではなかった。
「だろうね。四宮、あんまり楽しそうじゃないもん」
「分かるんだ?」
美影はその強気な目でこちらを見ている。
彼女の表情は毎日見ているが、それがどういう意味を持っているのかよく分からない。
何を考えているのか分かる時もあるけど、分からない時の方が圧倒的に多い。
「毎日見てれば分かるよ。でも、早乙女さんには言ってないんでしょ」
「言う訳ないだろ。別に、彼女に何かあるわけじゃないんだから」
彼女が悲しむようなことは出来ない。
一緒に居て、1カ月も楽しく過ごしていれば、冷たく当たる事は出来ない。
そこにはある種の人間関係というか、繋がりが出来始めていた。だからこそ、そこには壁もあるし、触れられない部分もある。
「なら、なんで付き合ってるの?」
彼女の問いに、一瞬頭が真っ白になる。
なんで付き合ってるんだろうか?
ドリームライフがあり、わざわざリアルで付き合わなくても夢の中で出会うことが出来るのに。
考えても、答えは出てこない。
何故、付き合っているのだろうか?
「付き合ってるから付き合ってるんだよ。それ以外に理由はないよ」
それしか言えなかった。
今出せる言葉はそれだけだった。
でも、分からないとは言いたくなかったし、何か理由が欲しかった。
「面倒な事するね。ドリームライフがあるのに」
ドリームライフ。
夢の生活が送れる仮想空間。
確かに、それに比べると、リアルの関係など彼女が言う様に、「面倒」なのかもしれない。
だからこそ、これ程ドリームライフが普及しているんだと思う。
その夢の空間に、俺も入っているのだから。
そして目の前の少女、美影は・・・
「ねぇ、四宮。私との事、早乙女さんに話したの?」
「話すわけないだろ。ドリームライフ内と現実は別だろ。現実と夢は一緒にしない」
現実と仮想空間。
それは明確に違う。
データとして俺と、現実での俺は別物だと思う。
だからこうして目の前にいる美影と、データの美影も違うはずだ。
だからこそ、早乙女さんに対して罪悪感など抱く必要もない。
「そうなんだ。それじゃ、今夜も「月の森」で待ってるね」
「・・・あぁ、いつもの時間に行くよ」
美影は、俺の声が僅かに弱い事を察したのか、頬を緩めて笑う。
こちらの心の内を察したのかもしれない。この手の事に関しては、俺は彼女に適わないと思った。
「データなんだからいいでしょ、何したって。今さら、クールぶらなくても。ただの娯楽、遊びなんだから」
「分かってるよ、現実とデータは違う。それはどこでも言われてる事だし、俺もちゃんと分かってる。そう、だから、恋人がいても、結婚していても、夢の中では何でもできるんだから」
美影はこちらを見ながら、いつも通りのサバサバした表情をしている。
クールといえばそうだけど、それはどこか冷たい表情、いや、何かを諦めている様な表情にも見えた。そんな愁いを帯びた彼女の表情を見ていると、どこか悲しくなるけれど、惹かれるものもあった。
だからこそ、毎日ドリームライフの中で彼女と会うのかもしれない。
「四宮、そういうとこ、かわいいよね。今の時代にあまりいないタイプ」
「別に、普通の高校生だよ。普通すぎるぐらい普通だよ」
普通とはなんだろうか、よく分からないけど、その言葉をただ言いたかった。
そうすれば、今の自分自身を許せると思ったからかもしれない。
普通、皆やってるんだから問題ない。何も悪くないと。
彼女の様に、達観出来たら楽なんだると思ったけれど、そうなりたいとは思わなかった。
そうしてしまえば、もう戻れないと思ったから。
「ほら、早乙女さん、廊下に来てるよ。彼女待たすと悪いよ」
「分かってるよ」
そうして俺は席を立ち、恋人である早乙女さんの元へ向かう。
でも、夢、ドリームライフの中では、美影と会う日々を送った。
美影と会うようになったのは、ちょうど1ヵ月前、初めて「月の森」で会った日からだった。早乙女さんの好きな物リストをくれたお礼に、美影とドリームライフ内で遊ぶようになった。
現実で早乙女さんと過ごす平穏な日常よりも、ドリームライフ内で過ごす時間の方が刺激的なのは間違いなかった。夢の中では、魔法も不思議なアイテムも使えるし、月にだって行ける。
その経験の差からか、徐々に早乙女さんよりも、美影の事を好きになっていたように思う。いや、好きと言うのは違うかもしれない。好きと言う感情だけなら、美影よりも早乙女さんに多く抱いていると思う。
でも、美影といる方が楽しかったのは事実、その経験が2人を明確に区別する。それが偶然なのか、彼女が仕組んだ事なのか分からない。
ただ、1ヵ月前まではあんなに光輝いて見えた早乙女さんも、今ではその輝きを失っており、彼女を見るたびに罪悪感の様なものを感じる。
夢と現実。
それは比べるものじゃなかったのかもしれない。
夢の世界は、夢の中で完結すべきで、決して現実にもってくるものではないと思った。
旧夢時代の人は、1番好きな人と付き合ったり、結婚したりしなかったと聞く。
以前までは、1ヵ月前までは、その事に対して強い憤りを感じたけれど、今ではよく分からなかった。もしかしたら、それが正しい事ではないかと思った。
【END】