僕と弟子の出会い 後編
「私を買ってくれませんか?」
僕は口に含んだお茶を勢いよく吹き出した
遡ること半日前
僕らは近くので洞穴を見つけてそこで暖を取ることにした。
彼女は少し落ち着きを取り戻したようだったので
「はじめまして、僕はシルク、宜しくね」
そう自己紹介する
すると彼女も少し戸惑いながら
「は・・・はじめましてなの・・セルシアといいますなの」
どうやら「なの」は口癖のようだ
そしてとてももうしわけなさそうな顔で
「さっきはありがとうございましたなの、そしてごめんなさいなの。」
耳と尻尾もしゅんとしていた
「どういたしまして、取り敢えず暖かいものでも飲もう」
そう言いながらハチミツ入りの紅茶を作る、セリシアに渡すと、どうやら飲むのは初めてなようで一口目は恐々としながらだったが甘いと分かったとたんにカップはあっという間に空になった。
どうやら甘いものは好きならしい
暫くしてセルシア
「シルクさんお願いがありますなの」
僕は助けた以上は出来る限りの事はしようと思って居たので軽く頷きながら次の言葉を待つことにしたのだが・・・
「私を買ってくれませんか?・・・・なの」
口に含んでいたものをつい吹き出してしまった
さて、先程の奴らを地のはてまで追い詰めて生き地獄を味あわせてやるか、なんて些細な事を考えながらセルシアに問いかける
一応
「何でそう思ったの?」っと聞いてみる
すると少し時間を開けてセルシアが口を開いた
「私は・・・高く売れるらしいの。私は珍しい?らしいなの、
良くはわからないなの、でも私たち二人だけでは生きていけないなの。私たちの両親はもう居ないなの。」
そう言いながら悲しそうに笑う、
「でも、さっきの人たちが私を売れば一生遊べる金になるだろうっていってたの、売られるくらいなら自分で決めて弟にお金をあげて幸せになってほしいなの」
「私は、・・・ずっと弟に助けてもらってばかりなの、私には何も出来ないなの、あるけなくなったら背負ってもらって弱音を吐いたら慰めてくれて、だから・・-」そこで言葉が途切れもう一度悲しそうに笑った。
自己犠牲は僕は好きじゃない、だけど彼女なりに悩んで出した答えかなんだと思う、
暫くの沈黙の後に僕は僕の思いを整理して伝えらる事にした。
「セルシア、僕は奴隷とかは好きじゃないんだ、奴隷がじゃなくてそういう制度がね、」付け加えてお金も無いしね、と笑いながら伝える。
少ししゅんとするセルシア、感情がそのまま耳と尻尾に現れるから分かりやすい、
「だけどね、君たちに生きるってことを僕のできる範囲でなら教えてあげれるかもしれない、」
「へっ?」っと抜けた返事とは裏腹に尻尾は激しく動き出す
「セルシアもしも君が良ければ弟子にならないかい?もちろん弟君もだよ。」
尻尾が・・・ちぎれないよね!?大丈夫だよね??そう思いながら
続けた
「ただし、強制はしないし、でも弟子になった時には泣き言は許さない、そして、君が思っている以上に厳しいよ、僕は。だからよく考えて欲しい、
断ったときは近くの村まで送って生きていける場所を探してあげる、ゆっくりでいいから答えが出たら教えてね。」
暫くしてして
「私は弟子になりたいですなの、よろしくお願いしますなの」
こうして僕の旅は初めて一人旅じゃなくなった、
急に後ろから「お姉ちゃんに近づくな、」そんな声がした
一人旅では無くなった・・・・・うん・・・・
弟君には何処から話始めようかな。