僕と弟子の出会い 前編
あれは雨下がりの夜だった。
いつも通り行き先なく旅をしているとき森の方から大人の怒鳴り声が聞こえてきた。
夜も深いし大人同士の喧嘩かとも思ったけど、どうしてか何となく気になり声のする方向へ足を伸ばした。
そして目にした光景は・・・
小さな子供が何かに覆い被さるようにしていてその小さな子供を三人の大人が殴り、蹴り、暴力で引きはなそうとしていた、時々に笑いながら・・・。
その小さな子供は声も出さずひたすら何かを守っていた。
どれくらいぶりなのだろうかこれだけ怒りの感情が芽生えたのは、
あまりにも酷いしかしそれがまかり通る世間の現実、
考えるよりも先に体が動く、僕は声をかける
「何をやっておられるのですか?」
大人は急に現れた僕に驚きながらも
「お前には関係無いだろ」
とか
「消えな」
とか様々に返事をくれた、話は通じないようだ。
仕方無いので僕の要求を単刀直入に伝えることにする、
「その子を離してください」
感情のまま動いたら殺してしまいそうなのだから。
その大人たちは脅迫じみた言葉を返す、当たり前か。多分その子は彼らにしたら自分の所有物なのだろう。
もしかしたら奴隷なのかもしれない、理不尽だけと今のこの世界の現実。
でも、変えられるかもしれない理不尽ならば、手の届く事くらいの、目に写る範囲の理不尽にくらい逆らったって良いよね?
僕は自分自身にそう問いかけ行動に移す事にした。
まさか行動に出るとは思っていなかったのか三人のうちの一人が簡単に沈む、まぁ骨が2、3本折れただけだろうから感謝して欲しい。
僕はもう一度彼らに声をかける殺気ももう隠す意味も無いだろう。
「選んでください、僕の目の前から消えるか、死ぬか」
彼らは不利になったとたん訴えるやらなんやらほざいていたが残りの二人に近づいたるら情けなく「ひぃ」とか言いながらうずくまる一人を抱えながら何処かへ消えてくれた。
そして雨の降るこの森には僕と子供とその子の守る何かだけになった。