変な男
(油断していた・・・)
まだ幼さが残る顔立ちの女性が必死に裏道を走り抜けていた。
(もう少し走れば廃墟がある・・・最悪巻き込まれる人は居ないだろう・・・)
少女に近い女性はそんなことを考えながら走っていた
多くの気配を引き連れて・・・
目的地に着く
するとすぐ後ろから男の声が聞こえた
「鬼ごっこはもう終わりかい?お嬢ちゃん・・いや、こう呼んだ方がいいかな?紅の戦姫リーシャ」
リーシャと呼ばれた女性は振り返る
心のなかで冷静になれと自分を責めるが周りの状況がそうはさせてくれない
(前衛が四人、後方支援が6人と言ったところか・・・私を知っていると言うことは全員それなりの実力者だろう)
リーシャは自分の絶望的状況を理解しながらも少し安堵していた
自国の民を傷つけなくて済むことに
「まぁ、細かいことは抜きだ!要求は一つ」
リーダーらしき男はにやにやしながらしかし最後の一言は冷徹に言葉を放つ
「死ね!」
リーシャはサッと身構えると要求じゃ無いじゃないかと心の中で突っ込みながらも言葉を返す
「ただでは死なない、真っ先に死にたい人からかかってきなさい」
お互いの距離を探りながらじりじりと間合いを積める
正に今一触即発しそうなそんな最中、ふと上の方から柔らかな声色がリーシャに降り注いだ
「お嬢さん僕を雇わない?」
その声は余りにゆったりとそして眠たそうだった