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決して戦ってはいけません。  作者: グリーンティ
第二章『猶予編』
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要望の八歩目

3日以内更新とは何だっのか。

舌の根が乾かない内に予定更新できず申し訳ありません。

(やぁ。元気にしているようだね。)


湯浴みを終え、さっぱりした体で就寝しようとベッドに潜り込むと、突然、亡霊のような白い影がすっと現れた。


影は人の形を成し、見る見るうちに十代前半くらいの白い髪をした少年に姿を変える。


もちろん、仙人(笑)である。


(なんだか侮辱的な紹介をされた気がするんだけど。)


「気のせいだ。」


この姿になって、マーサと暮らし始めてから時折姿をあらわす仙人。

存在がやや希薄なのは、こいつが本体ではなく、立体映像のように姿を投影しているかららしい。


それも、見せる人を選ぶことができるそうだ。


・・・そのせいで、マーサと初めて会った時は大恥をかいたものだ。



俺が目覚めてから、彼女が心配そうに事情を聞いてくるそばで、こいつはニコニコ笑っていたのだ。

色々と警戒しつつ、自分の姿を見て混乱し、どういうことだ!何の目的なんだ!とマーサと仙人が共犯ということを前提に糾弾してしまった。


一通り喚いたところで、仙人によるネタばらし。

(あ、この人にはボクの姿は見えないし、声も聞こえてないから。)


マーサから見たら、混乱の極致で気がおかしくなった子という感じだったのだろう。


壊れ物を扱うかのように抱きしめられた上に、「大丈夫。私が守ってあげるから。」などと優しい言葉をかけてくる始末。


込み上げてくる気恥ずかしさと仙人への怒りが爆発しそうだったが、自分を抱きしめている人に対して危害が及びそうだったというのもあり、最終的には諦めた。

もうどうにでもなれ。という感じだった。



まさか、それが魔力制御の第一歩だったとは思わなかったけれど。


(感情の発露を抑える。というのは、魔力暴走を抑える要領に似ているんだ。だから一度感情が爆発しそうな状況を作り、体感させたんだよ。あれはアレで面白かったけど、必要な過程だから許してね。)


だそうだ。

許すも何もこの立体映像仙人は殴れないので怒りをぶつけようがないのだが。



「今日は何の用なんだ?」


(うん。実は君に伝えないといけないことがあってね。というより、要望かな。)


そう言うと、仙人は両手を広げてテレビ画面のような四角い映像を表示させる。


そこには、一人の赤髪の少年が映っていた。

夜なのに眠らず、どこかをじっと睨みつけている。


「こいつは誰だ?客じゃこんな奴いなかったけど。・・・何をじっと見ているんだ?」


画面からだと少年がどこかを見つめている事しか分からない。


(うん。彼はこの町で警備の仕事をしている冒険者なんだ。ランクはB、年齢は14。若いのに随分と才気あふれる少年でね。ボクのお気に入りなんだ。彼が睨んでいるのは、魔の森入り口だよ。一般的にSランクでないと対処できないような魔物が大量に巣食う恐ろしい場所でもあるね。)


そんなおっかない場所があるのか。


(原因は不明とされてるけど、ここ最近、森からはぐれ出てくる高位の魔物が増えてきているんだ。森に隣接する町は、警備に冒険者や傭兵まで駆り出す事態になっていてね。年若い彼も駆り出されているわけさ。)


「そうなのか。としか言いようがないんだが、要するに俺はどうしたらいいんだ?」


(やってほしいことはただ一つ。彼を助けてほしい。タイミング的には恐らく今夜くらいだろうね。彼が警備しているところに魔物が現れるだろう。)


「タイミング?・・・お前、まさか魔物をけしかけたのか!?」


まさかの黒幕発言・・・やっぱりこいつ、信用ならない。魔の森からの魔物が増えている原因もこいつにあるんじゃないだろうな。


(違うよ。)


白々しい。


(君が森の中央を破壊してから、一月が経つからね。森の中央付近にいた強力な魔物の一部が期間的にそろそろ来ると予想出来たんだよ。君、魔物にすごく恐れられてるね。)


ああ〜。俺が現れたあの森って魔の森だったのか。拾われたっていう町外れの森だと思ってたわ。

そういえば、初めて仙人の声を聞いた時言っていたような言われていないような。


つまり、あれだ。俺が落下で生み出したクレーターと漏れ出てた魔力にビビった強力な魔物が一部外へ逃げ出ている・・・と。

んで、森近郊にある町が日々襲われている・・・と。



原因、俺じゃねぇかっ!!!



「よし。すぐに行こう。道案内を頼む。」


(乗り気で非常に助かるよ。)


ニコニコ笑う仙人にイラっとするが、何も言うまい。というか、俺が完全に火種なのに何も言えるわけがない。


「といっても、俺は水魔法と火の魔法しか使えないぞ。どっちも家事しかできない奴。」


マーサから教わった、火加減魔法と洗浄のみである。


「攻撃魔法を使ったら不味いんだろう?」


(まぁね。今君の体内で抑えているものが一気にコントロールを失う、と言っていいかもしれないね。)


圧縮しているコレがコントロール出来なくなるのか。

うん。キノコ雲が見えた。


(だから、君には家事を活かして貰いたいんだよ。)



頓智とんちだろうか。

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