第肆話【変わった時間】
長引いてしまいましたができました!!今回は少しだけ天喰の過去についてデス!
懐かしい夢を見ていた。
何年前だっただろう…。あぁ、あれは中学の時だ。市立の中学校でいつもと変わらない日だった。
(あいつ)が来るまでは。あの時から俺は人生が変わった。
朝いつもの時間に起きて、朝食は取らず学校に向かう。同じクラスの奴にあった時は最低限のあいさつを交わし教室に入る。俺の席は窓側の一番後ろで、天気が今日みたいに良いと日差しが当たって寝るのにはうってつけの場所だ。鞄を横に掛け椅子に座りぼんやりと外を見ていた。桜の木が風に煽られ、花が辺りに舞う、花びらが踊ってるように見えた。妖精が居てもいいほど綺麗だった。欠伸をして目尻に涙が少したまる。ふと、誰かの視線を感じた。外を見渡すと自分と変わらない歳の青年がこっちを見ていた。
目が合った。その瞬間、青年は微笑んだ。青年の肩まである黒髪が風に揺られ、不思議に見惚れていた。
はっと、して直ぐに視線を青年から外した。なんだあいつ。見たことない、転校生…か?顔が整っているから相当モテるんだろうなぁ。などと思っていると、授業のチャイムが鳴り皆席に座る。
教師が入ってきて転校生を紹介すると言って、教室の外のいた転校生に入ってくるよう指示をした。
さっきみた青年だった。女子や男子までもが歓声を漏らす。俺はその様子に興味がないと同時に呆れていた。最初だけで、あとは皆何もないように過ごす。その答えを分かっている。
だから、人に興味がない…。俺はそんな人間だから、人が好きではない―――――。
「隣良い?」
突然の声に肩が少し上がった。声のする方に目顔を向けると先ほどの青年がこっちを見ていた。
「あ、えっ…」
「席、此処しか空いてないから」
「あ、あぁ」
戸惑いながら曖昧に返事をすると、青年は口元を緩ませた。椅子に座った。
何時の間に自己紹介が終わったんだ…。一瞬考えたがすぐに止めた。何故だか視線を感じるのだ。背筋を舐められるような、ゾクリとくる生暖かい視線。だが、睡魔が襲い瞼が重くなり机に俯せた。だんだんと微睡の中に引きずり込まれ、目を閉じた。
あぁ――、寝てしまったか…。もっといろんな表情を見たい。眠りに落ちた天喰を見つめている、転校生
雪楕は少し寂しく思った。会った時以前に知っていた。一方的に雪楕が知っているだけだが、会った瞬間に天喰に魅了された。彼の全てが好きになったといっても雪楕にとって過言ではなかった。同性愛ではないが、彼の全てが見なくなったのだ。人がペットを飼う気持ちに似ていた。それ以上に愛おしく愛くるしかった。
天喰の全てが俺のモノ―――、誰にも渡しはしない。絶対に…。
それから一週間も経たないうちに俺と雪楕はいつの間にか仲がとても良くなっていた。雪楕はすごく俺の事が分かる奴で、今までの人とは何かが違っていたんだと思う。
この前、チンピラに絡まれた時雪楕に初めて恐怖を感じた。
あの時は学校の帰りで雪楕と一緒に他愛ない話をして帰っていた。運が悪かったのか人気のない路上を歩いたら、チンピラに絡まれた。2~3人の男に金を出せと脅された。普通の中学だったら脅えてすぐに差し出すが、天喰は普通とは違い度胸がこの頃から芽生えていたおかげで、脅えというものがなかった。無視をして通り過ぎようとしたがチンピラの男が天喰の肩を掴まえようと手を伸ばした。その瞬間、横から手が伸びてきて男の手を異常な方向えと曲げた。ミシッと骨の軋む音が路上に響くと同時に男の悲鳴が飛んだ。掴まれた腕を振りほどき男は痛みに耐えきれず蹲った。
他の男達がその光景にたじろむ中、天喰はなにが起こったのか理解が出来ずその場に立ち尽くしていた。
「失せろ…」
低い声で雪楕はチンピラ達に言った。チンピラ達はすぐに蹲っている男を連れてその場から走り去った。
天喰は雪楕の顔を見た瞬間、恐ろしくなった。怒りが全身から込み上げてきているそんな様子が伺えた。
怖い…何で、こんな顔するんだ……。
雪楕が天喰の方を向いた瞬間、いつもの顔に戻っていた。ほっと胸を撫で下ろした。
そのあとは、なにもなく家に帰ってぐっすりと眠りにつけた。
君に触れていいのは、俺だけだ。誰にも触れさせない――――――。
「…ぃ……ぉ………おい!」
大声が耳元で響き、眠りから一気に冷めた天喰辺りを見渡した。助手席で嵯峨が眉間に眉を寄せていた。
夢か……。天喰は内心呟いた。
「着いたぞ。良く眠ってたな」
タバコの先を口に含みライターで火を付けた。身動きを取ろうとした天喰は硬直した。動かない。頸しか動かなかった。身体全体が荒縄で縛られ席に固定されていたからだ。全身から血の気が引いて青ざめた。
「おい、何してんだ!人が寝ている間に、縛ってんじゃねぇよ!!!」
「んー、中々いい仕上がりだ。お前は亀甲縛りが似合うな」
「こんなのが似合っても誰も嬉しくないぃぃぃぃぃぃいいいいい!!!」
はい、第四話終了!!前に鳥兜だす言ってましたけど、スイマセン!!!次でます!!雪楕ってほm…じゃないよね!